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<第3分科会>
「市町村と家族会」
発表者 岡山県 慈圭病院家族会 楢村良男
 
1 市町村の福祉に対する対応について
 
2 家族会(作業所を含む)の現状について
 
3 市町村と家族会の連絡協調について
―中核市である岡山市の場合―
 
4 今後の問題点について
 
5 その他
 
<第3分科会>
市町村と家族会
―今年度からホームヘルプの制度化、窓口の市町村移行を踏まえて―
発表者 三原病院患者家族会(のぎく会)
会長 松本良人
 
 家族会の活動をスムーズに進めていくために、どのような関係機関・団体と連携をとっていけば良いか。
 1. 市町村 2. 保健所 3. ボランティアとの関係 4. 地域との関係、民生委員、自治会、医療関係と うかんできます。
 今日は市町村と家族会ということなので、その点について、わたしの思っている事を述べてみます。
 「平成14年4月より市町村において、精神障害をお持ちの方への福祉サービスが開始されます。」という広告やチラシを良く見かけました。しかし、現実は異なります。
 7月の初め、私は市役所の保健福祉課に行き、精神障害者に対する保健福祉についての取り組み、またこれからの市としての支援事業の制度化について説明を求めました。
 説明によりますと、まだ保健所と協議・研修中とのことでした。時、既に7月。市町村での福祉サービスは4月1日開始のはずなのです。
 精神障害の場合、外見はどこが悪いのかヘルパーさんにも理解されにくい面があると思います。
 精神障害者に必要なホームヘルプサービスを、サービスガイドラインに基づき、その援助内容を多くの人に普及していく必要があります。
 この中で、「関係づくり」というものが、重要な援助項目となっております。
 精神障害の場合は「関係づくり」をするというところからサービスを導入していかなければなりません。清潔保持や身だしなみへの助言など、身辺管理への援助、受診や服薬など健康管理への配慮、金銭管理への助言など身体障害を持つ人に対するのとは異なった援助サービスが重要であるということが再認識されました。
 
ホームヘルプの制度化、制度の発展のための条件
1. ホームヘルプサービスのニーズの明確化と顕在化
2. ニーズに合致した援助方法、援助技術の確立と発展
3. サービス提供組織をどうするか
4. 提供組織内の協力体制
5. サービス提供組織のバックアップ体制の確立
6. ヘルパーの人材確保
7. 財政システムの確立
 
 ホームヘルプサービスがきちんと立ち上がっていくように、推進していく主体としては、いろいろ考えられます。しかし最も重要なのが家族ではないかと思います。
 それは介護等に関する援助をこれまでは家族が担ってきたからです。そのニーズも援助方法もよくわかっているわけです。
 
 家族は、その援助内容を市町村に示すとともに、自分たちがこれまで担ってきた援助サービスを、市町村が充分行えるように積極的に働きかけて行かなければならないのではないかと思います。
 
<第3分科会>
精神障害者ホームヘルプサービス事業について
発表者 松江市生活福祉課 岩本美智子
 
 4月から松江市では精神障害者関係の担当課は福祉課にかわり、障害者福祉係で他の知的、身体の二障害と同じ部署で担当することになりました。
 私は保健師ですが、保健の部署でここ2年間精神保健の担当をし、市民からの相談を受けて訪問などをしてきました。松江市では14年度からの精神障害者ホームヘルプ事業開始にそなえて、12・13年度と福祉課での他の二障害に合わせて精神障害者のホームヘルプ事業を試行的に行ないましたが、コーディネートを担当する障害者生活支援センターの相談員とともに、私もホームヘルプサービスの調整等の仕事をしてきました。
 
 精神障害者に関わる新しい法律の制定や改正に伴って、精神障害者への施策は医療の確保、誰もが医療を受けられるための体制整備、社会復帰のための施設の整備等の流れがあり、今年度から始まった居宅生活支援事業は、在宅の生活を支援していこうというものです。
 この2年間で中止も含めて、17人の方にホームヘルプサービスを行なってきました。12年度当初、私自身もヘルパーさんが時々家に行って掃除や炊事をすることで利用者の方の生活がどう変わるのか、想像することができませんでした。が、実際に始めてみて、単なる家事援助にとどまらない生活支援としてのホームヘルプサービスの重要性を知ることができました。ホームヘルプサービスが利用者にとってどういう意味があるかを考えてみましたので、2点ほどあげて、お話したいと思います。
 まず一点目は「生活の質の向上」ということです。埃では死なないとよく言いますが、家庭訪問をするとそれを地でいく人が沢山いらっしゃいます。定期的に掃除されて、利用者の方が納得のいく程度に整頓された部屋で生活することは、精神的な安定をもたらすことにつながるのだと思います。病状が悪くなると部屋の散らかし方がひどくなるという方がおられます。部屋の掃除を断られるようなことがあるとヘルパーステーションから相談員に連絡が入り、相談員か保健師が訪問して状況を把握します。そして次回のヘルパー訪問時に同行して掃除をしてもらわれることをお勧めします。それで掃除が再開し、病状も落ち着いて、そのくり返しで最近は近隣との大きなトラブルもなく在宅生活を続けておられます。
 食事についても同様です。作れないし、空腹を満たせればいいからと、パンやお菓子、外食などですませてしまうといった人も多くおられます。糖尿病等の生活習慣病にかかる人も増えています。1日3食、毎日ではなくてもヘルパーがバランスのとれた食事の手助けをすることで、それ以外の食事の時にも自分でバランスを考えて食べることもできるようになります。
 次にあげたいのは家族以外の人との交流ということです。このサービスを受けている人は、独り暮しの人が多いのですが、ご家族の方以外に尋ねてくる人はあまりないと思います。ヘルパーさんは大体一週間単位で定期的に来て、利用者が苦手な家事をプロとして手伝ってくれます。家事をするだけでなく世間話もできます。病気のことも隠すことなく話すこともできます。「ヘルパーさんに来てもらうまでは誰が来るわけでもないので散らかしたままにしていたけど、明日は来てもらえると思うと少し片付けておこうかな、という気持になります。」と言われた利用者がおられます。私はこの言葉を聞いた時に、ホームヘルプサービスは在宅生活を支援する上で、不可欠のサービスだと思いました。
 発病されてからこれまでの歴史があり、ご家族のみなさんは当事者の方の自立なんて思いもよらないとお考えかもしれませんが、このホームヘルプサービスをはじめとしたサービスを使って、ご家族の方とともに、自立に向けた支援をしていきたいと考えます。







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