<第2分科会>
改めて家族会のあり方を問う
―家族会は作業所にどう向き合えばよいか―
発表者 府中新市地区精神障害者家族会(さつき会)
会長 福本花子
今回、本テーマでの意見発表の機会を与えられ、さつき会の現状と家族会活動の一環としての作業所運営の一端を報告し、皆さんのご意見、ご批判をいただきたいと思います。
なお、さつき会の活動については、平成11年度開催の広島会場で、私が報告いたしました。また、平成13年度開催の島根玉造会場では、当さつき会の高山が報告いたしました。
〜作業所運営について〜
S62年4月に作業所は、行政(府中市、新市町)、両市町の社会福祉協議会、保健所、地元関係者の支援を得て開設されました。現在では、福山市と同社会福祉協議会の支援も得ています。また開設当初から保健所の指導ならびに協力を得ながら家族会が運営に携わってまいりました。平成12年からは、府中市社会福祉協議会会長が運営委員会会長として、また、同民生委員協議会会長が新たに運営委員として、選任されました。そして、月1回定例に開催する運営会議には、会計の運営委員(新市町社会福祉協議会事務局長)とともに出席してもらっています。今年はさらに、市の保健師(主幹)も運営委員として、この運営会議に出席してもらうことになりました。このように少しずつではありますが、運営体制が変化してまいりまして、これまで限られた家族にのしかかっていた、運営の重圧から幾分かは救われた思いと、同時にこれから一層地域の財産として、充実することを目指したいものと思っています。
〜ボランティアによる支援について〜
開設以来、民生委員をはじめ地域の精神保健ボランティア(ふれあい会)、虹の会などボランティアとの支援交流は徐々に充実してまいりました。研修会や一日研修旅行などにも1〜2名ずつ参加してもらうよう計画してきました。
〜利用者の家族による支援について〜
これまで利用者の家族は、運営委員を除くと残念ですが、数人の家族(高齢家族)がバザー等で懸命に協力してくださるにとどまっていました。利用者(当事者)の支援は、家庭での支援も大きく影響していると考えられることから、家族との連携をとるため、昨年から保護者会(兄弟姉妹)を年一回開催しています。昨年は3名、今年は4名参加があり、家族(兄弟)の思いや、家族の関わり方を知ることができ、運営に携わる立場として利用者を理解する機会になりました。家族会へ加入していない方には、説明して加入していただくよう働きかけ手続きしてもらいました。
〜家族会と作業所との交流について〜
家族会は作業所の運営主体との建前のもと、家族会の例会でも作業所の指導員にも参加してもらい、作業所の活動など伝えてきましたが、最近数年は、例会出席者(通常6〜7名)の大半が作業所を利用しない在宅の当事者をかかえているという事情もあり、作業所への関心はうすく家族会員だからといって、運営に協力するという状況には至っていません。そこで、作業所に足を運ぶこと、我が子以外の当事者に親しむことも必要と考えまして、今年度は7月と8月の例会を作業交流という内容を計画してみました。
このような状況ですから、運営面での関わりについては、比較的古参の会員が体調を厭いながら、協力しあって活動しているというのが実態です。
家族会の発足当初、家族は作業所ができることで、行き場所ができる、友達ができる、家族も息抜きができるなどのさまざまな悩みから少し救われたことと思います。そして、頑張って作業所の運営にも携わってきました。しかし活動を支える次の世代が見えない今の家族会としては、残念ですが作業所への関わり方にも修正が必要であると思います。
作業所が地域の有益な社会資源として、充実発展するために、家族会は家族会の枠をこえた活動を一方では模索すべきかなと思います。
以上
<第2分科会>
改めて家族会のあり方を問う
―原点に返って―
発表者 豊菊精神保健家族会・共同作業所「野の花工房」
指導員 先本みす江
昭和56年に豊田・菊川両町を対象として精神保健家族会が結成されました。この家族会は精神障害者をかかえた家族がお互いの悩みや問題を話し合い交流するとともに、病気についての正しい知識を深め障害者の社会復帰をめざして地域で活動をするとの目的を持って発足して約20年、家族の高齢化ゆえに家族・当事者の不安も増すばかりです。高齢化した家族会、年一回の総会、又2〜3回の研修会の参加数が減少しています。理事会・役員会も同じく声をかけますが、集まりの悪い近頃です。今のままではと総会の時期になると考えてしまいます。家族会って何なのだろう。原点に返って家族会の目的を思い起して見ると不安で一杯です。ささえあい、学びあい、働きかけの三つの柱は、家族会が元気を出すには何か目標を持って努力する事、私達家族会は作業所と連携を取って、地域の方・ボランティア・行政を巻込んで、ぜひほしいと思っていた憩いの家を昨年7月7日開所することが出きたことです。一人では何も出きなくても多くの力が一つになり思い続ければ、又目標に向って努力すれば実現することを確認したことです。また総会の準備として、各個、各家に声を掛け訪問をしたこと、家族それぞれの話も聞けました。たとえば、家族の方が老人ホームに入られて当事者だけの所、また足腰が弱って出かけられない、親が亡くなり兄弟と一緒に住まれていて総会までは出席できない、又送迎があれば出かけようと、それぞれ理由があり無理は言えませんでした。総会は個別訪問の成果が実り、参加人数が増え、とてもうれしく思いました。総会後の研修会も家族の上手なかかわり方と題して講話があり、家族交流、意見交換、質問もたくさん出て実のある研修会ができ、家族会の三つの柱、ささえあい・学びあい・働きかけができ家族に元気が出たように思います。
憩いの家「野の花」
憩いの家は作業所から歩いて2〜3分の所、町の中心部にあり廻りは広く、小川のせせらぎが聞こえ風通しがよく居心地の良い場所にあります。以前より憩いの場があればと願い、地域の方に声掛けをしていました。プレハブですが、土木事務所の後で無料で借用する事ができ、以外に早く開所する事ができました。部屋数は台所を含め5部屋ありますが、今年は台所の改装を計画しました。資金集めに家族・ボランティアに声を掛けフリーマーケット出店又は寄付を集め何とか材料代を集めることができました。大工仕事は、ボランティアで家族も当事者も出きる事は手伝い、明るい台所ができあがりました。毎月第1・2・3土曜日、午前10時〜午後3時迄開所、当事者・ボランティアの方と一緒に食事作りを楽しんでます。昼食代として300円をいただいています。月曜日と金曜日には家族とボランティアで作業所の昼食作りをお願いしています。誰もが、ゆっくりと集える、人と人、人と地域のふれあいの場を目的として、心の病をもつ人も、もたない人もゆっくりとくつろぎ、落ち込んでいるとき、寂しいとき、人恋しいとき「野の花」でみんなと話をして、お茶を飲みながらリフレッシュしませんか。そして多くの人と出会い、ふれあい、共に生活しやすい地域づくりを考えてみましょう。又今年5月から行政を巻込み心の健康相談(無料)毎週月曜日及び金曜日午後1時〜5時迄行っています。私達が自分らしくいきいきと暮らしていくには身体と心から健康であること。ストレスの多い現代にあって「心の病」をかかえながらも地域で生活できるように、そのための支えの一つになればと憩いの家で専門の相談員が相談に応じます。家族会のこれからの目標として、家族同志の心の交流・ストレス解消・病気や生活上の出来ごとの理解や相談会・地域で生活する本人の正しい理解援護を求める活動を皆さんと一緒に勉強して行きたいと思います。
<第2分科会>
改めて家族会の在り方を問う
発表者 岡山県 もみじの会 鵜川克己
1 家族会とは
(1)共通の悩みを持つ家族同士が、親睦と情報交換などを通じて「支え合い」
(2)病気や福祉制度を学ぶための「研修会」、先進地の「視察」「見学」
(3)ご本人や家族が地域で安心して暮らして行くために必要な、共同作業所づくり、偏見解消、医療や福祉制度の拡充にむけた「運動」
2 「もみじの会」(家族会)のアンケート結果から(H14年4月実施)
イ 家族の平均年齢=68.9歳 [最年長=83歳 最年少=48歳]
無職の母親
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80歳代
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=
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28%
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70歳代
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=
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20%
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60歳代
|
=
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28%
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50歳代
|
=
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16%
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40歳代
|
=
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4%
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ロ ご本人 |
=52%が共同作業所に通所 または 会社勤め |
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=16%は、自宅で何もしていない |
ハ ご本人と一緒の生活で、困ったり、心配なことは
*将来の見通しがたたない
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・・・
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24%
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*病状の悪化や再発が心配
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・・・
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22%
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*心身共に疲れる
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・・・
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13%
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*経済的負担、職場や訓練の場が無い、対応の仕方が判らない
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・・・
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5%
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*薬を呑まない、家族自身の時間が欲しい
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・・・
|
3%
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ニ 誰に相談していますか
*医師
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・・・
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27%
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*家族
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・・・
|
17%
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*指導員・ケースワーカー・友人
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・・・
|
11%
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*保健所
|
・・・
|
8%
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*市町村役場・本人の兄弟
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・・・
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4%
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*親戚・家族会・相談する人がいない
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・・・
|
2%
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ホ 家族に何を求めますか
*他の家族と話したい
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・・・
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33%
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*病気に関する情報を得たい
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・・・
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28%
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*対応について勉強したい
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・・・
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24%
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ヘ もみじの会の会報はお役にたっていますか
*とても役にたっている+まあ役にたっている
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・・・
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72%
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3 当事者ご本人に自立した社会生活を促すには、家族自身が自立すること、そのためには・・・?
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