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宍道湖のヤマトシジミの大量斃死と、その後のシジミ資源の回復状況
―第1報 1996年〜1998年の宍道湖シジミ漁場のヤマトシジミ生息状況―
 
島根医科大学生命科学講座
坂本 巌
 
1. はじめに
 宍道湖のヤマトシジミ大量斃死が、1997年(平成9年)宍道湖全域で発生し、漁業者はもとより、地域住民にも生活環境の異変に起因するものとして衝撃的に受けとめられた。しかしシジミ漁場のヤマトシジミ斃死は、すでに1994年(平成6年)斐川沖、一畑口沖および来待沖で起こっていた(坂本1998)。この原因として、宍道湖が長期にわたり富栄養化が持続し、湖底に有機堆積物(detritus)が広範囲かつ大量に堆積した結果、夏場の水温上昇時貧酸素層が形成されることによると考えた。また中海本庄工区の森山堤防の完成による大根島北への海水の流入停止により、大橋川を介して宍道湖に遡上する汚濁した中海の水の影響も斃死の原因の一つとして考えられた。しかし1997年の宍道湖全域に発生したヤマトシジミの大量斃死は、6月頃より宍道湖に流入する河川(小河川)の河口域を中心に、湖岸に近い浅い水域から大量斃死が発生し、降雨の度に著しい斃死が見られ、全域に及んだ。ヤマトシジミの斃死の状態は、従来水深の比較的深い水域でみられた様な(坂本1998)、貝殻を閉じ、殻皮が煤けて光沢のない状態と異なり、貝殻が開いて、軟体部を保持した状態で斃死していた。
 本調査報告は、1997年の大量斃死の前年(1996年)、斃死後の1年間(1998年)、計3年間に渡り宍道湖のヤマトシジミの大量斃死と、その後の資源の回復状況を調査したものである。なお本調査のもとになったのはヤマトシジミの宍道湖への適応(生活)を解明する目的で行って来た調査の中で、常に比較対照調査として行って来たシジミ漁場の定点・定期調査である。
 
2. 調査地点および調査方法
 調査地点は、宍道湖西部2地点、湖北部4地点、湖南部5地点、東部2地点の計13地点とした(図1)。なお湖南のSt.11(玉造)と東部St.12(嫁ヶ島)は、ヤマトシジミの大量斃死年(1997年)より調査地点とした。各調査地点での標本の採集は、湖岸渚より沖50mまで、渚沖50〜200m、渚より200m以上沖の3カ所で、スミス・マッキンタイヤ採泥器(重量負荷型)を用いて、各5本採集した。従って、採泥面積は底平面積にして2500cm2(500cm2×5本)であった。また標本採集時、各採集地点の水深、水温、底質、塩素イオン濃度も測定した。なお調査地点はいずれもシジミ漁場で、漁業者の鋤簾による操業方法により、手掻操業区、機械操業区(動力曳操業)からなるが、禁漁の漁場も含まれる。調査日時は、1996年と1997年の調査は8月16日、17日、1998年は8月22日、23日で、いずれも宍道湖のヤマトシジミ繁殖期間(坂本1989)であった。
 
※生命科学講座非常勤講師
 
図1 宍道湖のヤマトシジミ調査地点
(拡大画面:54KB)
 
表1. 1996年の調査地点の底質、水深、水温、塩素イオン濃度、漁場
(1996年8月16日、17日調査)
調査地点 水深(m) 水温℃ 塩素イオン濃度(ppm) 底質 漁場
表層 底層 表層 底層
St.1
(平田)
a 1 30.6 30.2 2,080 2,105 細砂・シルト 機械操業区
b 1.6 30.5 30.2 2,070 2,085 シルト・細砂
c 2.8 30.5 30 2,075 2,260 シルト・デトリタス
St.2
(斐川)
a 2 30.2 30 1,985 1,995 永年禁漁区
b 2.8 30.5 30.2 1,945 1,950 シルト・砂・デトリタス 1年禁漁区
c 3.5 30.5 30.5 1,975 1,995 シルト・デトリタス
St.3
(一畑口)
a 1.6 31.2 30.5 2,100 2,010 機械操業区
b 2.9 30.5 30.5 2,040 2,025 シルト・デトリタス
c 3.5 30.5 30.3 2,080 2,080 シルト・デトリタス 永年保護区
St.4
(伊野)
a 2.1 30.6 30.6 1,865 1,865 砂・シルト・デトリタス 手掻操業区
b 2.4 30.5 30.5 1,885 1,885
c 3.2 30.5 30.5 1,975 1,980 機械操業区
St.5
(白石)
a 1.7 31 30.5 2,005 2,025 細砂 手掻操業区
b 2.5 31 30.5 2,040 2,110 細砂・シルト・デトリタス
c 3.2 31 30.8 2,110 2,110 砂・シルト
St.6
(津ノ森)
a 2 30.1 30.8 2,275 2,250 砂・シルト・デトリタス 手掻操業区
b 2.8 30.5 30.5 2,095 2,135
c 3.7 30.5 30 2,095 2,095 シルト・デトリタス 機械操業区
St.7
(来待)
a 1.6 31.2 30.8 1,800 1,800 砂・デトリタス 手掻操業区
b 2.5 31 30.5 1,915 1,950
c 3 31 31 1,940 2,020
St.8
(鳥ヶ崎)
a 1.5 30 30 2,300 2,275 手掻操業区
b 2.5 30 30 2,330 2,350 砂・シルト
c 3.2 30 30.3 2,320 2,440 砂・粗砂・デトリタス
St.9
(長江)
a 2 30 30 2,910 2,935 シルト・デトリタス 手掻操業区
b 3 30 30 2,950 3,175 シルト
c 3.9 30 29.5 3,005 3,300 シルト・デトリタス 機械操業区
St.10
(玉湯)
a 1.5 30.5 30 2,470 2,550 細砂 1年保護区
b 3 30.5 30.4 2,450 2,575 砂・粗砂・デトリタス
c 4 30.5 30.3 2,505 2,625 砂・細砂・デトリタス
St.12
(嫁ヶ島)
a 1.5 30 30 2,800 2,975 手掻操業区
c 3.3 30.5 30 2,885 3,005 シルト・細砂・デトリタス 永年保護区
St.13
(松江温泉)
a 1.5 30 30 2,850 2,985 手掻操業区
b 2 30.5 30.3 2,610 2,870
c 3.5 30.5 30 2,725 2,885 シルト・デトリタス
a:岸より沖50mまで、 b:岸より50m〜200m、 c:岸より200m以上沖
 
3. 調査結果
1)1996年(平成8年)の調査結果
 本調査は宍道湖のヤマトシジミ大量斃死の1年前の調査で、調査日時は8月16日、17日であった。調査時の宍道湖の水位は、8月14日台風12号が中国地方の山陽側を縦断通過した影響で、約40cm上昇していた。
 
(1)無機的生息環境(表1)
 各調査地点の標本採集地点の底質は、宍道湖西部のSt.1(平田)は、湖岸渚沖200mまでは細砂・シルトで、200m以上沖はシルト・detritusであった。St.2(斐川)は渚沖50mまでは砂で、50m以上沖はシルトで、detritusを含んでいた。湖北のSt.3(一畑口)とSt.4(伊野)は沖50mまでは砂で、50m以上沖はシルトからなり、detritusはSt.3では沖50mより沖に、St.4は湖岸に近い所からみられた。またSt.6(津森)、St.9(長江)もdetritusが湖岸に近い浅所からみられた。湖南のSt.5(白石)は渚より沖50mまでは細砂で、50m以上沖は細砂・砂に軽度シルトを含み、detritusは沖50〜200mに軽度含有するのみであった。St.7(来待)は砂で、湖岸に近い浅い所からdetritusが認められた。St.8(島ヶ崎)は渚沖50mまでは砂、沖50〜200では砂・シルト、200m以上沖では砂・粗砂・detritusであった。St.10(玉湯)は渚沖50mは細砂で、detritusを含まず、50m以上沖は砂に粗砂混ざりで、detritusを少量含む。宍道湖東部のSt.12(嫁ヶ島)は南岸沖50mまでは砂で、detritusを含まないが、岸より南200m以上沖はシルトを含んでいた。St.13(松江温泉)は渚沖200mまでは砂で、detritusを含まないが、200m以上伸はシルトでdetritusを含んでいた。detritusは、渚より50m以上沖では、ほとんどの調査地点で認められたが、渚沖50mまでの浅所でみられたのはSt.4(伊野)、St.6(津森)、St.7(来待)およびSt.9(長江)であった。これらと比較してdetritusの少ないのはSt.13(松江温泉)で、湖岸より200mまでの水深3.0m以浅ではみられなかった。
各調査地点の水温は29.5〜31.2℃で表層と底層の差はほとんどなかった。塩素イオン濃度は1800〜3300ppmの範囲で、表層と底層水との差はほとんどみられなかった。
 
(2)シジミ漁場のヤマトシジミ生息数(表2、図345
 各調査地点(シジミ漁場)の岸より沖30mまで、沖50〜200m、200m以上沖の3カ所で、それぞれスミス・マッキンタイヤ採泥器を用いて、各5本標本採集を行った(底平面積2500cm2;500cm2×5本)。
 漁獲対象の殻長17mm(殻幅11mm)以上の貝の生息数は、調査地点により著しい差が認められた。生息数の著しく多い地点は、St.4(伊野)で1m2当り1250個体、St.5(白石)の988個体、St.13(松江温泉)の928個体であった。St.6(津森)、St.7(来待)、St.9(長江)は822〜877個体で、St.2(斐川)、St.8(島崎)、St.10(玉湯)は464〜689個体であった。生息数の著しく少ない地点はSt.1(平田)の169個体、次いでSt.3(一畑口)の333個体であった。
 殻長15〜<17mmの成貝は、漁獲対象貝に成長する前段階の貝であり、生息密度の高いSt.5、St.7、St.8、St.13は1m2当り867〜1084個体であった。次いでSt.4、St.6、St.9、St.10は499〜634個体で、他の地点と比較して生息数の少ないSt.1、St.2、St.3は145〜193個体であった。
 殻長8〜<15mm(成貝に近い幼貝と、若い成貝)の生息数は、ほとんどの地点で1m2当り1052個体〜2941個体の生息が認められたが、St.1、St.2、St.3は279〜607個体と他の地点と比較して少なかった。
 殻長5〜<8mmの幼貝は、1m2当り136〜415個体と成貝の生息数と比較して少なく、ことにSt.1とSt.2は56〜93個体で少なかった。
 殻長2〜<5mmの稚貝は、St.13は1m2当り1392個体と著しく多く、St.4、St.6、St.7は572〜688個体、St.3、St.8、St.9、St.10は281〜368個体、St.5は159で、St.1およびSt.2は28と55個体と著しく少なかった。
 
表2. 1996年の漁場のヤマトシジミ生息数(1996年8月16日、17日調査)
スミス・マッキンタイヤ採泥器で採集、底平面積2500cm2(500cm2×5本)当りの生息数、( )1m2当りの生息数
調査地点名 水深(m) 殻長(mm)
2〜<5 5〜<8 8〜<15 15〜<17 17〜<30
St.1
(平田)
a 1.0 11 (44) 26 (104) 161 (644) 87 (348) 49 (196) 334 (1336)
b 1.6 3 (12) 6 (24) 10 (40) 24 (96) 47 (188) 90 (360)
c 2.8 7 (28) 10 (40) 38 (152) 18 (72) 31 (124) 104 (416)
St.2
(斐川)
a 2.0 23 (92) 83 (332) 322 (1288) 82 (328) 147 (588) 657 (2628)
b 2.8 0 (0) 2 (8) 14 (56) 15 (60) 151 (604) 182 (728)
c 3.5 18 (72) 42 (168) 47 (188) 12 (48) 50 (200) 169 (676)
St.3
(一畑口)
a 1.6 176 (704) 22 (88) 329 (1316) 102 (408) 164 (656) 793 (3172)
b 2.9 67 (268) 45 (180) 97 (388) 35 (140) 49 (196) 293 (1172)
c 3.5 2 (8) 3 (12) 29 (116) 8 (32) 37 (148) 79 (316)
St.4
(伊野)
a 2.1 117 (468) 20 (80) 304 (1216) 115 (460) 315 (1260) 871 (3484)
b 2.4 158 (632) 26 (104) 509 (2036) 161 (644) 409 (1636) 1263 (5052)
c 3.2 154 (616) 120 (480) 619 (2476) 148 (592) 214 (856) 1255 (5020)
St.5
(白石)
a 1.7 93 (372) 58 (232) 93 (372) 68 (272) 127 (508) 439 (1756)
b 2.5 19 (76) 8 (32) 315 (1260) 294 (1176) 193 (772) 829 (3316)
c 3.2 7 (28) 36 (144) 381 (1524) 288 (1152) 421 (1684) 1133 (4532)
St.6
(津ノ森)
a 2.0 115 (460) 44 (176) 461 (1844) 182 (728) 182 (728) 984 (3936)
b 2.8 277 (1108) 28 (112) 498 (1992) 268 (1072) 434 (1736) 1505 (6020)
c 3.7 124 (496) 77 (308) 128 (512) 28 (112) 42 (168) 399 (1596)
St.7
(来待)
a 1.6 57 (228) 1 (4) 100 (400) 115 (460) 92 (368) 365 (1460)
b 2.5 338 (1352) 23 (92) 284 (1136) 148 (592) 178 (712) 971 (3884)
c 3.0 84 (336) 83 (332) 820 (3280) 465 (1860) 361 (1444) 1813 (7252)
St.8
(鳥ヶ崎)
a 1.5 205 (820) 78 (312) 189 (756) 150 (600) 132 (528) 754 (3016)
b 2.5 5 (20) 111 (444) 905 (3620) 338 (1352) 270 (1080) 1629 (6516)
c 3.2 13 (52) 42 (168) 943 (3772) 208 (832) 115 (460) 1321 (5284)
St.9
(長江)
a 2.0 35 (140) 129 (516) 752 (3008) 264 (1056) 421 (1684) 1601 (6404)
b 3.0 114 (456) 41 (164) 156 (624) 77 (308) 168 (672) 556 (2224)
c 3.9 62 (248) 120 (480) 227 (908) 33 (132) 28 (112) 470 (1880)
St.10
(玉湯)
a 1.5 224 (896) 98 (392) 176 (704) 63 (252) 117 (468) 678 (2712)
b 3.0 34 (136) 21 (84) 490 (1960) 161 (644) 136 (544) 842 (3368)
c 4.0 18 (72) 39 (156) 661 (2644) 211 (844) 163 (652) 1092 (4368)
St.12
(嫁ヶ島)
a 1.5 218 (872) 32 (128) 330 (1320) 105 (420) 29 (116) 714 (2856)
c 3.3 71 (284) 62 (248) 233 (932) 66 (264) 171 (684) 603 (2412)
St.13
(松江温泉)
a 1.5 620 (2480) 196 (784) 1041 (4164) 398 (1592) 374 (1496) 2629 (10516)
b 2.0 357 (1428) 51 (204) 937 (3748) 383 (1532) 276 (1104) 2004 (8016)
c 3.5 67 (268) 64 (256) 228 (912) 32 (128) 47 (188) 438 (1752)
a:岸より沖50mまで、 b:岸より沖50m〜200m、 c:岸より200m以上沖
 
(3)シジミ漁場の水域別(渚沖50mまで、沖50〜200m、200m以上沖)ヤマトシジミ生息状況(表2.)
 各漁場のヤマトシジミ生息状況を標本採集した、湖岸渚より沖50mまで、沖50〜200m、200m以上沖の3地点の水域別にみると、西岸域のSt.1(平田)およびSt.2(斐川)の漁場は、200m以上沖は渚沖50mまでの水域と比較して生息数は著しく少なかった。
 湖北のSt.3(一畑口)もSt.1(平田)、St.2と同様の生息傾向がみられた。St.4(伊野)は渚沖200m以上沖の漁場水域でも多数の生息がみられた。St.5(津ノ森)では渚沖200mまでの水域では多数の生息がみられるが、200m以上沖では生息数は著しく少なかった。St.9(長江)は、殻長8mm以上の貝は渚沖50mまでの水域に多数の生息がみられ、50m以上沖の水域では生息数が著しく少なかった。しかし殻長8mm以下の幼貝、稚貝は200m以上沖の水域でも多数みられた。
 湖南のSt.5(白石)、St.7(来待)、St.8(鳥ヶ崎)およびSt.10(玉湯)では、殻長8mm以上の貝は渚沖50mまでの水域よりも、渚沖50〜200m、200m以上沖の漁場水域で多数の生息がみられた。しかし稚貝、幼貝は渚沖50mまでの水域に多数生息する傾向がみられるが、St.7(来待)の渚沖50mまでの漁場水域は渚50〜200m、200m以上の漁場水域と比較して稚貝、幼貝の生息数は少なかった。
 宍道湖東部のSt.13(松江温泉)は渚沖200mまでの水域は多数の生息が見られ、200m以上沖は生息数は少なかった。St.12(嫁ヶ島)では、殻長17〜<30mmの成貝は渚沖50mまでより200m以上沖が多く、殻長15〜17mmは逆に湖岸に近い沖50mまでの水域に多数生息していた。殻長2〜5mmの稚貝は湖岸に近い沖50mまでの水域に多数みられた。
 以上の様に漁場のシジミの生息状況は、湖岸水域から200m以上沖の漁場水域にかけて次第に生息数が少なくなる漁場(西岸域のSt.1、St.2、湖北のSt.3、St.4、St.8、東部のSt.12、St.13)と、湖岸渚沖50mまでの漁場水域の生息数よりも沖50〜200mの漁場水域が生息数が多く、200m以上沖の漁場水域になると急激に生息数が少なくなる漁場(湖南のSt.8、湖北のSt.6、また渚沖200mまでの生息はこのタイプに類似するが、200m以上沖の漁場水域は、むしろ生息数が多くみられる漁場(湖南のSt.5、St.7、St.10)の3タイプに分けられた。
 
表3. 1996年の漁場のヤマトシジミ斃死数(1996年8月16日、17日調査)
スミス・マッキンタイヤ採泥器で採集・底平面積2500cm2(500cm2×5本)当りの斃死数、( )1m2当りの斃死数
調査地点名 水深(m) 殻長(mm)
2〜<5 5〜<8 8〜<15 15〜<17 17〜<30
St.1
(平田)
a 1.0 11 (44) 26 (104) 161 (644) 87 (348) 49 (196) 334 (1336)
b 1.6 3 (12) 6 (24) 10 (40) 24 (96) 47 (188) 90 (360)
c 2.8 7 (28) 10 (40) 38 (152) 18 (72) 31 (124) 104 (416)
St.2
(斐川)
a 2.0 23 (92) 83 (332) 322 (1288) 82 (328) 147 (588) 657 (2628)
b 2.8 0 (0) 2 (8) 14 (56) 15 (60) 151 (604) 182 (728)
c 3.5 18 (72) 42 (168) 47 (188) 12 (48) 50 (200) 169 (676)
St.3
(一畑口)
a 1.6 176 (704) 22 (88) 329 (1316) 102 (408) 164 (656) 793 (3172)
b 2.9 67 (268) 45 (180) 97 (388) 35 (140) 49 (196) 293 (1172)
c 3.5 2 (8) 3 (12) 29 (116) 8 (32) 37 (148) 79 (316)
St.4
(伊野)
a 2.1 117 (468) 20 (80) 304 (1216) 115 (460) 315 (1260) 871 (3484)
b 2.4 158 (632) 26 (104) 509 (2036) 161 (644) 409 (1636) 1263 (5052)
c 3.2 154 (616) 120 (480) 619 (2476) 148 (592) 214 (856) 1255 (5020)
St.5
(白石)
a 1.7 93 (372) 58 (232) 93 (372) 68 (272) 127 (508) 439 (1756)
b 2.5 19 (76) 8 (32) 315 (1260) 294 (1176) 193 (772) 829 (3316)
c 3.2 7 (28) 36 (144) 381 (1524) 288 (1152) 421 (1684) 1133 (4532)
St.6
(津ノ森)
a 2.0 115 (460) 44 (176) 461 (1844) 182 (728) 182 (728) 984 (3936)
b 2.8 277 (1108) 28 (112) 498 (1992) 268 (1072) 434 (1736) 1505 (6020)
c 3.7 124 (496) 77 (308) 128 (512) 28 (112) 42 (168) 399 (1596)
St.7
(来待)
a 1.6 57 (228) 1 (4) 100 (400) 115 (460) 92 (368) 365 (1460)
b 2.5 338 (1352) 23 (92) 284 (1136) 148 (592) 178 (712) 971 (3884)
c 3.0 84 (336) 83 (332) 820 (3280) 465 (1860) 361 (1444) 1813 (7252)
St.8
(鳥ヶ崎)
a 1.5 205 (820) 78 (312) 189 (756) 150 (600) 132 (528) 754 (3016)
b 2.5 5 (20) 111 (444) 905 (3620) 338 (1352) 270 (1080) 1629 (6516)
c 3.2 13 (52) 42 (168) 943 (3772) 208 (832) 115 (460) 1321 (5284)
St.9
(長江)
a 2.0 35 (140) 129 (516) 752 (3008) 264 (1056) 421 (1684) 1601 (6404)
b 3.0 114 (456) 41 (164) 156 (624) 77 (308) 168 (672) 556 (2224)
c 3.9 62 (248) 120 (480) 227 (908) 33 (132) 28 (112) 470 (1880)
St.10
(玉湯)
a 1.5 224 (896) 98 (392) 176 (704) 63 (252) 117 (468) 678 (2712)
b 3.0 34 (136) 21 (84) 490 (1960) 161 (644) 136 (544) 842 (3368)
c 4.0 18 (72) 39 (156) 661 (2644) 211 (844) 163 (652) 1092 (4368)
St.12
(嫁ヶ島)
a 1.5 218 (872) 32 (128) 330 (1320) 105 (420) 29 (116) 714 (2856)
c 3.3 71 (284) 62 (248) 233 (932) 66 (264) 171 (684) 603 (2412)
St.13
(松江温泉)
a 1.5 620 (2480) 196 (784) 1041 (4164) 398 (1592) 374 (1496) 2629 (10516)
b 2.0 357 (1428) 51 (204) 937 (3748) 383 (1532) 276 (1104) 2004 (8016)
c 3.5 67 (268) 64 (256) 228 (912) 32 (128) 47 (188) 438 (1752)
a:岸より沖50mまで、 b:岸より沖50m〜200m、 c:岸より200m以上沖
 
(4)シジミ漁場のヤマトシジミ斃死(表3、図67
 ヤマトシジミの斃死は、貝殻を開き軟体部を保有しているもの、軟体部を保有しないが貝殻の開く角度が60℃以下で、靱帯が確りしているものを斃死貝として算定した。
 斃死の状態は各漁場ともすべて貝殻を開いて斃死し、貝殻を閉じた状態で斃死した貝は認められなかった。漁場のシジミの斃死率は、St.2(斐川)およびSt.4(伊野)が6%、St.7(来待)が5%であった。著しく生息数の多いSt.13(松江温泉)は3%で、他の漁場は2%以下であった。
 殻長17mm以上の漁獲対象となる貝の斃死は、斃死個体の多いSt.4(伊野)で1m2当たり92個体(斃死率9%)、St7(来待)は67個体(斃死率10%)、St.2(斐川)は47個体(斃死率12%)で、他の漁場は斃死率5%以下であった。
 殻長15〜<17mmの成貝は、St.4で1m2当たり27個体斃死率6%、St.7は34個体(斃死率4%)、St.13は31個体(斃死率4%)であった。他の漁場は斃死数20個体以下で斃死率も4%以下であった。
 殻長8〜<15mmの貝の斃死は、St.4で1m2当たり78個体(斃死率5%)、St.13で60個体(斃死率3%)、St.7で42個体(斃死率も3%)であった。他の漁場では斃死数28個体以下で、斃死率も3%以下であった。
 殻長8mml以下の幼貝、稚貝の斃死は非常に少なかった。この様な斃死状況を湖岸渚から沖にかけての水域別でみると、斃死が湖岸渚から沖50mまでの水域で主に起きている漁場はSt.13(松江温泉)、St.12(嫁ヶ島)で、湖岸沖200mまでの斃死がみられるのはSt.5(白石)、St.7(来待)であった。斃死が湖岸渚より200m以上沖の水域におよぶのはSt.4(伊野)の漁場であった。斃死が湖岸渚沖50mまでの漁場水域では、ほとんどみられないが、沖50〜200m、200m以上沖の漁場水域にかけて次第に斃死個体が多くなっていたのはSt.2(斐川)、St.3(一畑口)、St.6(津ノ森)、St.10(玉湯)であった。
 以上の様に漁場のヤマトシジミの斃死は、水深の深い沖(湖岸より200m以上沖)にみられるのと、湖岸水域(湖岸より50mまで)から多くみられるのと、湖岸水域と沖の水域でみられる3タイプであった。







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