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2−4 精神障害者で、同じ精神障害者の生活を支えている人もいます。
了解事項
●精神障害者同士は自分の経験や体験をもとに、病院や薬のこと、福祉制度の利用の仕方等の情報交換をしています。
 
●精神障害者の多くが、精神障害者であることを隠し孤立しています。障害者であることを隠さずにすむ作業所やデイケアが安心する居場所となり、仲間意識を育てています。
●精神障害者にも身体的に不自由な人もいます。仲間の精神障害者が通院や買物などの送迎をすることで、その人を支えています。
●精神障害者同士で、差別・偏見を受けたことの辛さ、怖さ、惨めさ等を共感し合い、お互いに元気づけています。わたくしたちがどんなに推し量ろうとしても、当事者とは共感できないことが沢山あるのです。
●精神障害者が自分の出来ることをとおして他の精神障害者を支援することは、社会参加を促進する機会となります。
一般的な関わり
●訪問先で利用者の友だちと出会うこともあります。サービスを受ける精神障害者の人間関係を知ることを通した、ホームヘルプの仕方の工夫が必要です。
●作業所やデイケアとの連携をとおして、生活支援としての一貫したホームヘルプができます。作業所やデイケアの活動状況の把握は大切なことです。
●訪問先で偶然見知った精神障害者の名前や個人情報は、絶対に外部に漏らさないことが大事です。
一般的なリスク
●利用者以外の精神障害者と顔見知りになることで、仲間同士による人間関係のもつれやトラブルに巻き込まれることが出てきます。
●ホームヘルパーに対する不満を、利用者からではなく仲間の精神障害者から言われることも出てきます。
●利用者の友人の精神障害者が、ホームヘルパーを頼ったり、依存してくることもあります。
了解事項
●精神障害者は、身体障害者や視覚障害者などとは異なり、一見どこに障害があるのかわからない人たちです。働かない・動けないことを怠けているとか、やる気がないといった見方をされています。
●「空笑」といって、目の前に笑いの対象がないのに笑っていると受け取られることがあります。相手が真剣に話しているときや、怒っているときでも顔が笑っているように見えます。相手は馬鹿にされたとか、気味が悪いという感じをもつことになります。
●気分転換のために昼間散歩やジョギングなどをすることがあります。そのことが近所をウロウロすると受け取られ、周囲から変な人と思われる原因となります。
●自分が納得するまで、何度も同じことを繰り返すのはごく当たり前のことです。精神障害者の場合、玄関の出入を繰り返したり、時間や数へのこだわり等が強いことで、変な人と思われてしまいます。
●精神障害者もそれぞれに個性をもっています。症状として出ていることに注意が向けられがちですが、それは個性の一部のことです。
一般的な関わり
●精神障害者は見た目に分り難いために、何でもできそうに見えます。利用者が、ホームヘルプをなぜ必要とするかをきちんと押さえることが大切です。
●精神障害者の体調の波に一喜一憂しないことです。波が大きい時にはサービスを厚く、小さい時はサービスを薄くといった工夫が必要です。
●どのようなストレスを利用者は受けているのか、精神障害者を取巻く生活状況をよく知ることは大事なことです。
一般的なリスク
●精神障害者であることを意識させないと思うあまり、知らないうちに利用者に無理な期待を押しつけていることがあります。その結果、できるのにやらないのではないかといった不信感を持つことになります。
●精神障害者の体調の波を把握できずに振り回されてしまうと、利用者だけでなくホームヘルパー自身が疲れてしまいます。
●利用者が変な行動をとっているという苦情を、近隣からホームヘルパーが直接受けることもあります。







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