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2 精神障害についての理解
了解事項
●精神障害者の多くは、病気との付き合いが長いので、調子の悪くなる時や疲れやすさなどは自分でわかります。通院が必要と感じたときは、自分から医療の手当を受けに行けます。
●周囲の人に調子が悪いと訴えてアドバイスを受け、自分で無理せずバランスを保つことができます。
●服薬の中断が原因で病気が再発したことに気づいた精神障害者は、服薬の大切さを実感しています。
●精神障害者であることを隠さずに居られる作業所やデイケアの利用は、生活リズムの維持や、再発防止に役立っています。
●自分で健康管理が出来るようになるには、薬についての内容や効果、副作用、病気の特徴等々、主治医のインフォームドコンセントの仕方やあり方が影響します。
一般的な関わり
●利用者が調子を崩したときは、以前に同じようなことを経験しているか、その時どのように乗り越えたかを丁寧に聞くことが大切です。人によって乗り越え方が違います。
●人それぞれ一日の生活リズム、一週間のリズムが違います。訪問日程やホームヘルパーが変わる時は、利用者へ早めに連絡することです。
●ホームヘルパーが仕事を済ませてからの長居は、利用者に不必要な気を使わせます。調子が悪いときには精神障害者の方からサービスを早めに切り上げてほしいとか、断れるような関係づくりが大切です。
一般的なリスク
●利用者から自分の病気は一生治らないとか、いつまで薬を飲み続けるのかといった質問を受けた時の対応に工夫が必要です。
●自分で健康管理をすることに慎重な利用者にとって新しいことへの挑戦は、失敗することが大切なステップとなることもあれば、病状に影響する挫折感しか残らないこともあります。
●こちらの都合からの急な日程や人の変更は、利用者に動揺を与え、信頼関係が崩れます。毎回違う人がホームヘルプサービスに入るといったことも同様です。
了解事項
●これまで、精神病院を退院するには、家族のもとに帰ることが大きな条件となっていました。それのできない人は精神病院で生涯の大半を過ごしてきました。
●家族が一生精神障害者の面倒を見ることは当り前とされてきました。今でも多くの家族や本人が、親から独立して自分の暮らしを立てることは出来ないと思い込んでいます。
●一人暮らしはできなくても何人かのグループで住み、日常生活の相談ができる世話人の援助を受けたり、ホームヘルプサービスを利用して生活できる精神障害者は多いのです。
●県内にあるグループホームの大半は、精神病院の近くにあります。入院している時と状況がほとんど変わらず、社会の中で暮らしている実感のもてない生活です。
●精神障害者であることで、賃貸契約を結べない現状は未だに変わっていません。
 県営住宅は精神障害者の入居を認めていますが、市町村の住宅では身体障害者用住居が整備されてきた程度です。精神障害者の入居を公には認めていません。
一般的な関わり
●グループホームの世話人や支援者との連携をとり、ホームヘルプサービスを提供していくことが大切です。一貫した関わりを造りサービスを受ける側の混乱を少なくします。
●地域との関係を保つためには、ゴミの分別や収集日を守ることが必要です。環境問題に関連して、ゴミの分別はますます複雑化します。細かい分別は、利用者には大変なことなので、ホームヘルパーの注意が大切です。
●ホームヘルパーが出入りしていることを近所に知られたくない人もいます。訪問の際に、「ホームヘルパーの○○です」と言う声かけにも、人によって配慮が必要です。
一般的なリスク
●ゴミ出しは、地域住民との接点となります。ゴミを出す曜日を間違えたり、分別がきちんと出来ていないこと等が原因で、地域住民とのトラブルを招くことがあります。
●一人暮らしの寂しさから、ホームヘルパー個人の住所や電話番号を教えて欲しいという人も出てきます。ホームヘルパー間で、どのように対処するか一貫性をもつことです。
●一人暮らしを始めたばかりの人は、慣れるまでに時間がかかります。利用者自身が気負い過ぎて調子を崩し、中断することが出てきます。
了解事項
●精神病院に5年、10年と入院したことで、利用の際にやってもらうのが当たり前という生活態度をもっている人がいます。
●精神障害者の中には、身内の結婚式や葬式への出席を拒否されてきたことで、社会的儀礼を体験できていない人もいます。
●役所や銀行等を自分で利用したことがないために、手続きの仕方や誰に手助けしてもらえるかについても知りません。
●交通機関や街の変化についていけず、地域の生活に疲れて病気の再発を繰り返すという悪循環が続いています。
●明らかに社会的な不利を受ける身だしなみや振舞い方を、精神障害者だからしょうがないという見方で許すような、支援する側の問題があります。
一般的な関わり
●買物や銀行へ行く等、一緒に行動することが大切です。
●あいさつや行儀作法などは社会全体で崩れてきているにもかかわらず、精神障害者については特に厳しい目でみられがちです。きちんと注意することも大切です。
●自分で作って食べた経験がない利用者は、おかずを決めることや野菜炒めを作ること、お米を焚くことも大変だと感じます。一緒につくりながら簡単な料理の仕方を教えることが必要です。
一般的なリスク
●ホームヘルパーが何でもやり過ぎると、利用者がそのことに依存する関係が出来てしまいます。そのことは、精神障害者の生活支援になりません。
●きちんとした料理が出来ることや整理整頓を目標にすると、自分には出来ないという思いを強くしてしまいます。
●注意を受けたことで、自分は嫌われたと思い込むことがあります。







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