1−4 無理して厳しい社会生活を送るより、精神病院で苦労なく過ごす方が本人にはいいと考えていませんか?
了解事項
●ハンセン病患者は療養所、精神障害者は精神病院へといった隔離収容の考え方は、日本でもノーマライゼーションに反すると考えるようになりました。
●精神障害者は精神病院で苦労なく過ごしているわけではありません。
他に居るところがない、長く病院生活をしていて社会生活を送る力がなくなってしまった、社会の差別・偏見を受けるのが怖い等々、様々な理由で入院しています。
●社会生活に疲れてしまった、家族としばらく離れていたいといった時、休息するために精神病院を利用する精神障害者も最近はいます。
●ゆっくり休める場や家族と離れる場として使える施設は、現在のところ一部のショートステイの他ほとんど整備されていません。
●入院という手段を上手に使うことで、社会生活を維持していくことができるのです。
一般的な関わり
●入院を繰り返さないようにすることは大切なことです。しかし、本人が疲れて入院を希望したときは、そのことを受け入れることが必要です。
●入院したときは、コーディネーターをとおして本人の様子を聞いておくことが必要です。退院した時の支援体制が組みやすくなります。
●楽しいこともあれば辛いことも悲しいこともあるからこそ、わたくしたちは生きていることを実感するのです。苦労なく過ごすことは、人の一生を平板化させることになりかねません。ホームヘルパーと共に、いろいろなことを味わっていける関係づくりが大切です。
一般的なリスク
●ヘルパーとの人間関係が辛くなって、入院することもあります。その時には、ヘルパーの交代も視野に入れることです。
●長い入院生活で、何ごとにも指示がないと動けない習慣が身についている精神障害者がいます。看護者と同じような関係をホームヘルパーに求めてきたときの対処の仕方を工夫してください。
●ホームヘルパーから見るとたいしたことではないように思えても、体験や経験の不足から、苦しいこと、大変なことになっていることがあります。
了解事項
●精神的に具合が悪くなって入院した人でも、適切な治療を受け、休息をとることで、早く退院できるのです。
●具合が悪い状態を長く引きのばすと、周囲にはその人のひどい面しか印象に残らなくなります。そのことが原因となって社会生活をしづらくさせる基になります。
●地域にある共同作業所やデイケア等を利用する精神障害者は重要な情報源です。自分が入院した病院の様子を伝えたり、薬の内容を確認したり、精神病院の中で何が行われているかといった情報を提供してくれます。
●同級生や友人が、精神病院へ見舞いに来るような人間関係を維持できている人もいます。
●精神病院に入院した体験を気軽に話せる状況は、未だにありません。精神病院への入院経験があると聞いて構えてしまうことは、精神障害者に対する偏見や差別を克服できていないことを示します。
一般的な関わり
●入院したことに触れないようにする必要はありません。入院生活を聞く機会があった時は、そのまま受け入れて聞くことが大切です。
●医療従事者や専門家ほど、精神障害者の本音を知らない場合が多いのです。ホームヘルパーは、精神障害者と対等な関係をつくり、身近な理解者となることです。
●精神障害者ということが強調されてしまうと、一人の人間として見る見方を忘れてしまいがちです。人と人との関係づくりが大切です。
一般的なリスク
●精神障害者の中には、入院したときのことを忘れたいと思っている人もいます。それなのに、かかわりを通して過去をえぐり出すことがあります。
●精神病院に入院歴のあることを知られるのが嫌だと思っている人もいます。
●援助・支援したいというこちら側の思いが優先すると、サービスを受ける精神障害者の真意を受け取れず、関係を悪くしてしまいます。
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