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4)北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)
 国連環境計画(UNEP)は、閉鎖性の高い国際海域の環境保全のため「地域海計画」と呼ばれる環境協力を世界の各地域で進めているが、わが国周辺海域については、平成6年9月に日本海および黄海を対象とする「北西太平洋地域海行動計画」(NOWPAP)が、日本、中国、韓国、ロシアの4カ国間で採択された。同計画には、以下に示す8つのプログラムがある(カッコ内は担当省庁)。
NOWPAP/1:対象海域の海洋環境に関するデータベースの構築(国土交通省)
NOWPAP/2:各国の海洋環境保全に関する法令等の内容の調査(環境省)
NOWPAP/3:対象海域の環境モニタリングプログラムの作成(〃)
NOWPAP/4:海洋汚染事故(油汚染)への準備及び対応(海上保安庁)
NOWPAP/5:各分野の活動の拠点となる地域活動センターの指定(外務省)
NOWPAP/6:海洋・沿岸環境に関する普及啓発(〃)
NOWPAP/7:陸上起因の汚染に対する評価と管理(〃)
 わが国では、「特殊モニタリング・沿岸環境評価に関する地域活動センター」(CEA-RAC)として環日本海環境協力センター(富山)が指定されるとともに、富山と釜山にNOWPAPの事務局である地域調整ユニット(RCU)を共同設置することになった。図1−9にNOWPAPの概要を示す。
 
 
(拡大画像:78KB)
図1−9 NAWPOPの概要
出典:国土交通省提供資料
 
(4)離島の保全
 平成15年4月に施行された改正離島振興法では、その目的条項に「わが国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担っていること」が明記された。
 また、今まで離島振興計画は国が定めることになっていたが、今回の改正で、国が離島振興基本方針を定め、それに基づいて地方自治体が離島振興計画を作成することとなった。同基本方針で離島の国家的役割として掲げられている5項目、および国民的役割として掲げられている2項目のうち、以下の4項目は特に200海里水域の管理に直結する事項である。
〔国家的役割〕
○わが国の領域、排他的経済水域等を保全するとともに、水産資源をはじめとした大陸棚諸資源や各種エネルギーの開発、利用及び保全に関する権利を確保する役割
○外国と直に接するがゆえの、密航、薬物、銃器の持ち込み等の防止における役割
○地理的優位性に基づく海洋資源を活用した実験・研究施設の場としての役割
〔国民的役割〕
○広大な水域からの良質な食料を安定的に供給する等の役割
 なお、沖ノ鳥島については、侵食による水没を防ぐことを目的として、国土交通省(旧建設省)が昭和62年度から平成5年度にかけて保全工事を行った。現在、同省の沖ノ鳥島関連事業として、以下の施策が展開されている。
(1)沖ノ鳥島保全対策検討業務
(2)基盤上および実験池における建設材料の耐久性試験
(3)GPS観測(国土地理院)
(4)沖ノ鳥島の定期モニタリング
(5)護岸コンクリートの点検・補修・除去作業
(6)サンゴの生育調査・移植方法の検討
 なお、沖ノ鳥島では、同省のほか、海上保安庁、経済産業省、文部科学省、国土技術政策総合研究所、独立行政法人土木研究所が各種観測や調査を実施している。







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