1−3−7 経済産業省(独立行政法人産業技術総合研究所を含む)
(1)深海底鉱物資源開発等の推進
1)深海底鉱物資源開発調査
深海底鉱物資源のうち、マンガン団塊については、1975年度から金属鉱業事業団が所有する深海底鉱物資源探査船「第2白嶺丸」を用いてハワイ南東沖の公海上において賦存状況調査が実施された(延べ421万平方キロメートル)。その結果、2001年6月にハワイ南東沖の7.5万平方キロメートル(北海道の面積相当)の鉱区について、国際海底機構3と探査に係る契約を締結し権利を確定した。現在は、海底熱水鉱床(伊豆・小笠原海域)およびコバルト・リッチ・クラスト鉱床(中部・西部太平洋海域)の調査を実施している。
2)南太平洋諸国(SOPAC)に対する賦存状況調査等協力事業の実施
SOPAC諸国からの要請に応じて、そのEEZ内において海底鉱物資源賦存量調査(有望地域の抽出およびポテンシャル評価など)を「第2白嶺丸」を利用して行っている。
(2)EEZ管理に係る関連法令
わが国のEEZ管理に係る関連法令のうち、経済産業省所掌のものは以下のとおりである。
○鉱業法
鉱業に関する基本的制度を定めることを目的とする法律で、鉱業権(採掘権と試掘権)および粗鉱権(他人の鉱区における掘採および取得の権利)に関する規定がある。海域・海底に関する特別の規定はなく、陸上における規定がそのまま準用されている。
わが国の領海を越える鉱業権の設定状況は表1−5のとおりである。
○深海底鉱業暫定措置法
深海底鉱業の事業活動の調整等に関し必要な暫定措置を定める法律で、深海底鉱業の探査・採鉱に係る許可申請手続きなどを定めるものである。
○鉱山保安法
○砂利採取法
○採石法
3 International Sea−bed Authority(ISA):国連海洋法条約第11部第4節第156条に基づいて設置された国際機関で、深海底における活動の組織・管理を目的とした機関。
表1−5 わが国の領海を越える鉱業権の設定状況
登録番号 |
鉱業権者 |
設定年月日 |
期間満了年月日 |
胆振国 |
試掘権 |
登録第10118号 |
石油資源開発(株)他2 |
平成13年6月26日 |
|
青森県 |
試掘権 |
登録第11718号 |
石油資源開発(株)他3 |
平成10年11月11日 |
|
福島県 |
試掘権 |
登録第16471号〜登録第16476号 |
帝国石油(株) |
平成11年3月1日 |
|
採掘権 |
登録第1556号〜登録第1577号 |
磐城沖石油開発(株) |
昭和57年2月23日 |
- |
静岡県 |
試掘権 |
登録第5712号〜登録第5715号 |
石油資源開発(株) |
平成11年7月23日 |
|
石川県 |
試掘権 |
登録第2872号〜登録第2889号 |
帝国石油(株) |
昭和53年6月2日 |
昭和59年6月2日 |
出典:経済産業省提供資料 |
|
(3)海洋地質調査
独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター(旧地質調査所)が実施する海洋地質調査は、わが国の周辺海域を49の海域に区分し、これら分割された海域ごとに、国土保全、海洋空間利用、海底資源確保、環境管理等に資する基盤データとなる海底地質情報等を把握・整備するために必要な調査として順次実施されている。平成14年度末現在で46海域の調査が終了しており、これらの結果は日本周辺海域における海洋地質図として順次刊行されている。図1−7に海洋地質図の整備状況を示す。
(4)関連事項
○海上保安庁が実施する大陸棚調査に対する協力
○海洋調査を行う際の漁業関係者との調整
資源エネルギー庁において、海洋調査を、東海・紀伊沖、高知沖、種子島東方沖の海域で実施する際に、関係自治体(静岡、愛知、三重、和歌山、高知、宮崎、鹿児島)の各漁業組合等に対して理解を求めるため説明を行った例がある。
(拡大画像:409KB) |
 |
図1−7 海洋地質図の刊行状況
出典:産業技術総合研究所地質調査総合センターホームページ(一部加工)
|