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1−3. リン酸塩取り込み実験
 250ml培養容器20本にリン酸塩濃度を2.5、5、10、20、40、80、160、320、640、1280μMに調整したL1培地80mlを各2本ずつ分注した(図4)。これらの培養液に前培養で得られたNitzschia sp.細胞を含む培養液を20mlずつ添加し、一定時間培養後、濾過培養液中のリン酸塩濃度を測定した。培養時間は上記の取り込み速度の経時変化に基づき、90分間とした(結果参照)。また、Nitzschia sp.細胞を含むリン酸塩枯渇培養液を添加することで実験開始時のリン酸塩濃度は低下するので、前培養の濾過培養液および各濃度に調整した培養液の濃度を測定して、両者の容量から実際の濃度を算出した。
 これら全ての実験は明期中期に行った。取り込み速度は実験前後のリン酸塩濃度の差から求め、実験初期のリン酸塩濃度の関数として次のMichaelis−Menten式(式1、Dugdale 1967)で表すことで、その濃度依存性について定量的に評価した(図5)。
ρ=ρmax・S/Ks+S (1)、
 ここで、
ρmax :最大取り込み速度(p mol cell−1 hr−1
Ks :半飽和定数(μM)
S :初期リン酸塩濃度(μM)
 
 である。パラメータ(ρmax、Ks)は、実験値を式(1)に当てはめ、非線形最小自乗法(岩井 1980)を適用することによって算出した。
 
 
図4 リン酸塩取り込み実験操作手順。先に行った予備実験により求めた設定時間で行う。リン酸塩濃度の測定と細胞数の計数を行うことにより、取り込み速度を定量的に評価する。
 
 
 
図5 リン酸塩取り込み実験で得られた値の評価方法。







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