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第3部 カヌー編
1. カヌーってどんな乗り物ですか?
 
(1)カヌーとボート
 水上を動力を利用せずに、安全に移動する用具のひとつにカヌーがあります。ローボートも水上を人力で移動する用具です。何人もの人が協力して水上を移動するカッターもボートの仲間です。では、どこがカヌーとボート、違うのでしょうか。
 大きく2つの違いがあります。一つ目の違いは、「水をかく櫂(かい)」にあります。ボートでは櫂のことをオールと呼び、カヌーではパドルといいますが、この櫂が船に固定されて操作するのがボート、固定されないで操作するのがカヌーです。そのためカヌーでは様々にパドルを操作することができ、多様なストロークが可能となります。2つ目の違いは、漕ぎ手の向いている方向にあります。ボートでは漕ぎ手はスターン(船尾)を向いてオールを漕ぎます。カヌーでは逆にバウ(船首)に向いてパドルを操作します。カヌーでは進行方向を向いてのパドリングになるわけです。
 
(2)カヌーとカヤック
 カヌーとカヤック違いは何でしょう。広い意味ではカヤックまで含めてカヌーと呼びます。しかし、狭い意味ではカヌーとカヤックを区別して用います。その違いは使用する「パドル」にあります。パドルには水をかくためのブレード(水を捕らえる場所)と呼ばれる部分があります。このブレードがシャフトの両側にあるか、片側にだけにあるかです。両側にブレードがあるパドル(ダブルブレード)を利用するものをカヤック、片側だけにブレードがあるパドル(シングルブレード)を利用するものをカヌーと呼びます。当然ダブルブレードのパドルとシングルブレードのパドルでは必要な技術が異なってくるわけです。つまり、ダブルブレードがカヤック、シングルブレードがカヌーです。狭義でのカヌーのことをカナディアンカヌーとも言います。
 
(3)カヌーの語源
 
 
 カヌー(CANOE)の語源のひとつに、西インド諸島に住むカリブ族の小舟(Canaoa)をコロンブスがヨーロッパに伝えたことによるという説があります。また、南米アマゾンの原住民の丸木舟(Canoas)がスペイン語(Canoa)を経て英語Canoeになったという説もあります。
 しかし、カヌーの原型となると語源にもなったようなポリネシア等の南方系の丸太をくり抜いた丸木舟タイプ海洋カヌーから、北米のインディアンがカバの木の表皮を使い木の枠の外側に張り付けたカナディアン型オープンデッキカヌーやエスキモーの人達がアザラシの獣骨や皮を用いて浸水や転覆に耐えることができるカヤック型のカヌー等、世界各地に様々なタイプが見られます。
 
(4)カヤックの語源とその原型
 
 
 エスキモーが使用していた“QUAJA(クアヤ)”は海獣狩猟が目的の船足の速い「獣皮船」で、KAYAK(カヤック)の語源になりました。「男の舟」として使用されていた“QUAJA”は、ダブルブレードのパドルで漕がれコックピットにカバーがされ、転覆してもエスキモーロールというテクニックで起き上がることができました。現代のカヤックに非常に似ています。
 一方、主に運搬用として使われていたオープンデッキの「皮舟」は“UMIAK(ウミアク)”と呼ばれ、「女の舟」という意味でした。
 
2. カヌー・カヤックの種類
 カヌーとカヤックの違いは、既に述べましたが、それぞれ用途や形状によって様々な種類があります。
 
(1)カヤックの種類
(1)静水での競技用カヤック:「レーシング」「ポロ」
 静水でスピードを競う競技に使用するのは「レーシング」です。非常にデリケートで軽量にできた艇で非常に速い。馴れない人には多少操作が難しい艇です。国体などの正式種目で言うカヌー競技とはこれをさします。カヌーポロ競技に使用するのが「ポロ」です。艇の長さも短く船底も丸く回転性能が非常に高い艇です。
(2)海洋で使用するシーカヤック:「オーシャン」「フォールディング」「シットオントップ」
 「オーシャン」は、海を移動する手段として生まれたカヤック。海洋の波やうねりを突き進んでいくために艇の底にはキールと呼ばれる竜骨があり、直進性がよいのが特徴です。潮の流れや回転には舵(ラダー)を使用する艇が多い。外洋を航行するのに向いたアリューシャン・タイプと、沿岸をクルージングするのに向いたグリーンランドタイプに分けることができます。
 
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 組立式のシーカヤックが「フォールディング」タイプのシーカヤックです。木やアルミなどの軽量金属でできたフレームの上に、ナイロンキャンバスなどの布地で船体を覆います。荷物の収容量も大きく、折りたためばコンパクトになるので、ツーリングに適しています。
 「シットオントップ」はオープンデッキのシーカヤックです。コクピットが無いのでとてもオープンな気持ちにさせてくれる反面、お尻はいつも濡れやすいので寒い季節は防水、防寒の対策が必要となります。一体成形の一枚の板のような艇で、たとえひっくり返っても艇を起こしそのままよじ登ればOKです。自動排水で水を出す必要もありません。
(3)河川で利用するリバーカヤック
 競技に使用される艇と、ツーリングに適した艇があります。
 急流にセットされたゲートを触れないように決められたとおりに通過して、時間を競うレースに使用される「スラローム」艇。これは回転性能が何より求められます。また同じ条件で競技を行う必要性から艇の長さや幅、重さなどに規定があります。
 激流の中を真っ直ぐに突き進み時間を競う競技に使用されるのが「ワイルドウォーター」艇です。直進性が重視されているために回転性や安定性はよくありません。
 「プレイボート」は、ひとつの瀬の中だけで技術(パフォーマンス)を楽しむことを目的にした艇です。暴れ馬を乗りこなすように瀬の中で様々なパフォーマンスをすることから「ロデオ」とも呼ばれています。
 川下りなどツーリングに使用されるのが「ダウンリバー」カヤックです。船底の状態が平らで、船首や船尾の反りが大きいほど直進性は悪く、逆に回転性能が良くなります。ツーリングの水面の状況や楽しみ方の内容で様々な種類があります。また、カヌーの形状により組立式の「フォールディングカヌー」や空気を入れて組み立てるゴムボートタイプのカヌー「インフレータブルカヌー」があります。
 
(2)カナディアンカヌーの種類
 シングルパドルを使用するカナディアンカヌーには、デッキの形状により分けられます。
(1)オープンデッキ
 デッキがないオープンデッキ、ボートタイプのカヌーです。たくさんの荷物を楽に積むことができるために、ツーリングや湖でのフィッシングなどに使用されます。デッキがないため開放感があるのも大きな特徴です。素材の発明によりカナディアンカヌーについても、組立式の「フォールディング」タイプや「インフレータブル」タイプがでてきました。
 ホワイトウォーター用のモデルでは、デッキに浮力体を付け競技が行われます。
(2)クローズドデッキ
 見た目にはクローズドデッキタイプのカヤックと大きく変わらないのですが、漕ぎ手はカヌーにヒザ立ちの状態でカヌーを操作します。競技にも使用されますし、ダウンリバーにも使われます。







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