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2−5−3 資金
 資金ワーキング(2−2−3節参照)で資金支援システムの検討を進めている間に、2件の助成金・寄付金提供の提案があった。
 
 1件目は、資金ワーキング参加団体でもある宮城労働金庫からの提案で、宮城労働金庫の50周年記念事業の一環として、NPO向けに総額200万円の助成金提供を行うものであった。2001年7月より具体的な打ち合わせを開始、8月〜10月にかけて宮城県内の団体を対象に募集を行った。最終的に27団体から応募があり、書類審査の結果、以下の16団体に助成が決定、11月16日に開催された宮城労働金庫50周年記念祝賀会の中で、助成金の贈呈が行われた。
 
<助成額 20万円>
東北HIVコミュニケーションズ 障害者生活支援TIJ
ゆうあんどあい 子ども虐待防止ネットワーク・みやぎ
<助成額 10万円>
仙台点訳奉仕会 仙台生ごみリサイクルネットワーク
いしのまきNPOセンター 心の図書室
日本ガーディアン・エンジェルス ボランティアグループ ひまわり会
いっぽいっぽの会 杜の伝言板ゆるる
宮城県ボランティア協会 宮城県断酒会
しあわせ会 グループみずほ
 
 サポート資源提供システムとしては、この一連のプロセスに対し、以下の2点について、協力を行った。
 
(1) 助成申請書の送付協力 宮城県内のNPO・市民活動団体・ボランティア団体、約1,000団体への告知協力(申請書送付)を実施。
(2) 書類審査基準設定協力 書類審査の基準として、当初、宮城労働金庫側で設定していた「社会貢献性」「実現性」「使途の妥当性」「福祉性」の4点に加えて「投資効果」の基準を提案。審査においても協力を行った。
 
 宮城労働金庫では、来年度以降もサポート資源提供システムと連動する形で、同様の助成の実施を検討している。より効果的な助成がおこなえるように、今後とも、募集の方法や審査基準などの開発を進めていく必要がある。
 もう1件は、仙台青葉ライオンズクラブからの提案であった。仙台青葉ライオンズクラブでは、2002年に発足40周年を迎えるのを機に、2001年度から、NPO向けの助成を始めることとなった。公開コンペ方式で選考した団体(3団体)に各10万円ずつ、計30万円の助成を行う事業である。
 具体的な打ち合わせは2001年7月から始まった。比較的少額の助成事業であることから、一定程度分野を限定した募集を行うことになった。検討の結果、元来ライオンズクラブの活動目的にある「青少年健全育成(子ども・教育)」関連の団体に加えて、他の分野と比べて助成制度が充実していない「男女共同参画」「人権」の2分野を加えた3分野限定の助成事業として実施することとなった。その後、10月〜11月上旬にかけて募集、応募のあった13団体について、11月12日に書類審査を行った後、11月25日に開催された公開コンペ(12団体参加)の審査を経て、以下の3団体に助成先が決定した。
 
子ども虐待防止ネットワーク・みやぎ
(キャプネット・みやぎ)
人権・子ども
フリースクール西の平 子ども
リプロネットみやぎ
(リプロダクティブ・ヘルス/ライツネットワークみやぎ)
男女共同参画
 
 
 また、惜しくも助成対象とならなかった9団体についても、ライオンズメンバーから提供された物品(FAX、印刷用紙、食器など)が寄贈された。また、コンペの後、同じ会場で交流会が開催され、普段あまり接することのないNPO関係者と企業関係者の交流の場となった。
 
 この一連のプロセスの中で、サポート資源提供システムからは、以下のような協力を行った。
 
(1) 申請書送付先団体の紹介 システムで把握している、宮城県内の団体のうち、「青少年(子ども・教育)」「男女共同参画」「人権」のいずれかをテーマとして活動している105団体の連絡先を紹介。
(2) 審査基準の検討 審査基準として「社会性」「助成効果」の2つを提案。また、審査方法として、事前の書類審査で各審査員が点数を付け、当日のコンペの発表内容によって、各自点数修正の上、最終結果とする案を提案、採用された。
(3) 審査協力 事前の書類審査および当日の公開コンペに審査員2名を派遣。仙台青葉ライオンズクラブ側の審査員6名とともに審査にあたった。
 
 仙台青葉ライオンズクラブでも、2002年度以降も、助成事業の継続を検討しており、引き続き、サポート資源提供システムからの協力を続けていきたい。
 
 以上、2件の実際の資金提供の他に、ワーキングでは、継続的な資金支援システムとして、以下の3つのシステム開発を進めた。
 
(1)「NPO基金のための日専連カード」
 サポート資源提供システム開発参加企業・団体の、日専連仙台、(株)日専連ライフサービス両社との連携により開発した仕組みである。クレジットカード利用額の0.2%が、(株)日専連ライフサービスより基金に寄付される仕組み。カード利用者の負担なしで、NPOへの資金提供ができる仕組みであることが特徴である。基金からNPOへの資金提供は、一般公募の上で行う計画である。
 このようなクレジットカードによる寄付の仕組みは、前年度のプロジェクトでも検討されていたものである。具体的には、2001年7月より、実現に向けた打ち合わせを開始、11月よりカードの発行を開始した。
 
図2−6 「NPO基金のための日専連カード」システム図
 
 クレジットカードによる寄付の仕組みは、カードの登録数次第で、その成否が決まる。そこで、今回のケースでは、各NPOが会員や関係者をカードに勧誘すると、カード登録1名ごとに、団体に1,000円の活動支援金が日専連側から支払われるキャンペーンを展開した。
 
<キャンペーン参加団体(順不同)>
 片平たてもの應援團、宮城県断酒会、麦の会、チャイルドラインin MIYAGI、障害者生活支援TIJ、MIYAGI子どもネットワーク、みやぎボクシングクラブ、Act53仙台、「少年非行」を考えるみやぎ市民フォーラム、ビーズリング、環境保全米ネットワーク、せんだい・みやぎNPOセンター 計12団体
 
 これらのキャンペーン参加団体や、サポート資源提供システム開発参加企業などに協力をいただきながら、カード登録の拡大を進めたが、残念ながら、2002年3月末現在でのカード登録数は50数件にとどまる結果となった。この結果を受けて、当初、3月までとしていたキャンペーン期間を延長して、現在も、カード登録拡大の努力を続けている。
 カード登録の伸び悩みの1つの原因としては、基金からの資金提供が公募によって行われるため、キャンペーン参加団体にとって、カードの利用が必ずしも自分の団体の利益に結びつかないことがあると考えられる。このようなNPOセクター全体の資金開発のシステムを、どれだけ多くのNPOに理解していただき、参加していただけるかが、今後の発展の1つのカギであろう。また、このカードは、NPOを支援したい企業の側にとっても利用しやすい仕組みとなっている。今後は、このような企業への働きかけも行っていきたい。
 
(2)「宮城ろうきん NPO寄付システム」
 サポート資源提供システム開発参加団体である、宮城労働金庫との連携により開発した。宮城労働金庫に口座を持っている預金者が、定期的(毎月、ボーナス時、毎月+ボーナス時、年1回)に各自希望する分野(8分野を設定)へ一定額(100円単位)の寄付ができる仕組みである。送金手数料が無料であることが特徴である。
 
(拡大画面:59KB)
図2−7 「宮城ろうきん NPO寄付システム」システム図
 
 近畿労働金庫など全国のいくつかの労働金庫が同様のシステムをすでに導入している。このような各地の事例を参考にしながら、実質的には2001年7月より本格的な検討を始め、独自のアイデアを盛りこみながら開発を進めた。
 
 2002年3月にシステム紹介のリーフレットが完成したのを受けて、4月以降、本格的な登録推進キャンペーンを行う計画である。キャンペーンにあたっては、宮城労働金庫から直接預金者へよびかけていただくなど、連携を密にしながら進めていきたい。
 
(3)「宮城ろうきん NPO振込手数料免除制度」
 NPO法人が受け取る寄付金・会費・売上代金などの振込手数料を、一定件数まで、宮城労働金庫本支店間について免除する制度。宮城労働金庫に口座を持つNPO法人で、一定の審査を通過した団体が対象となる。
 この制度については、2001年秋より運用を開始、上記助成金と同時に対象団体を募集し、審査した結果、以下の6法人が対象となった(順不同)。
広瀬川の清流を守る会、 日本ガーディアン・エンジェルス、
宮城県断酒会、 みやぎ災害救援ボランティアセンター、
宮城県ボランティア協会、 せんだい・みやぎNPOセンター、
 対象団体には、年間100枚を限度に振込手数料が無料になる「NPO専用振込依頼書」が交付されている。







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