序章 調査研究の概要
序−1 調査研究の目的と対象地域
序−1−1 調査研究の目的
本調査研究は、国や地方公共団体による沿岸域管理のための具体的な計画づくりがすすめられている伊勢湾沿岸域において、重要な地場産業としての造船や舟艇等の海事産業が沿岸域管理のために如何なる貢献をなしえるかを検討することを目的とし実施したものである。
とくに、調査研究2年度目である本年度は、昨年度の調査研究でとりあげた、伊勢市における海レク振興および放置艇対策をテーマとした沿岸域造船所のマリーナ等舟艇保管施設としての活用に関する提案をもとにした、整備にあたっての制度面の整理、港内の他の緊急収容係留施設や近隣マリーナとの差別化の検討、マリーナの想定、採算性の検討、マリンレジャー振興のための関連施策の検討、地域活性化のための連携施策の検討、造船技術や文化の保持のため関連施策の検討などの結果をふまえ、マリーナ整備候補地について、具体的な整備構想案の策定および採算性の検討などにもとづく構想実現化方策について検討をおこなった。
序−1−2 調査研究の対象地域
本調査研究の対象地域は、宇治山田港およびその周辺地域を中心とした。また、必要に応じて、全国の事例等について収集・分析し、本調査研究の参考とした。
序−2 調査研究の方法と体制
序−2−1 調査研究のスキーム
本調査研究のスキームは下図のとおりである。
図 調査のスキーム
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序−2−2 調査研究の体制
本調査研究を達成するために、内容について適宜指導・助言を得る場として、学識経験者、関連事業者、行政機関からなる委員会を設置した(3回)。なお、委員会の構成は下表に示したとおりである。
表 委員会の構成
順不同、敬称略
区分 |
氏名 |
所属・役職 |
委員長 |
石原 義剛 |
海の博物館館長 |
委 員 |
東 恵子 |
東海大学短期大学部助教授 |
木下 一 |
中部マリン事業協会会長 |
森田 隆 |
(株)清水マリーナ代表取締役会長 |
渡邊 眞男 |
(社)東海小型船舶工業会会長 |
吉兼 秀典 |
三重県県土整備部長 |
樋口 勝典 |
三重県農林水産商工部長 |
加藤 光徳 |
伊勢市助役 |
片平 和夫 |
中部地方整備局河川部長 |
岡部 安水 |
中部地方整備局港湾空港部長 |
遠藤 護 |
中部運輸局海上安全環境部長 |
弓桁 和雄 |
中部運輸局海事振興部長 |
杉浦 幸雄 |
中部運輸局三重運輸支局鳥羽海事事務所長 |
宮本 一志 |
第四管区海上保安本部警備救難部長 |
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序−2−3 調査研究の手法
本調査研究は、昨年度の結果をふまえ、マリーナ整備候補地に対するケーススタディを中心に進めた。このケーススタディをおこなった際の補完的な方法として以下の手法を採用することにより、調査目的の効果的な実現をはかった。
(1)現地調査およびヒアリング調査の実施
(1)現地調査の実施
マリーナ整備候補地3ヶ所の立地特性や周辺マリーナの実態等を把握するために、現地調査を実施した。
(2)ヒアリング調査の実施
整備候補地における既存機能の把握、マリーナコンセプトや導入機能・施設の検討をおこなう際に利用者や整備候補地周辺で求められるマリーナ機能のニーズ等を把握するために、マリーナ事業者・関連団体等へのヒアリングを実施した。
(2)定量分析の実施
マリーナの事業収支状況を把握し事業展開のあり方について検討するために、定量分析をおこなった。
(3)事例研究
マリーナ整備構想、事業収支の検討をおこなう際の参考とするために、既存マリーナを対象に事例研究をおこなった。
序−3 調査研究のフロー
本調査研究は、マリーナ整備構想の策定を検討した「I. 企画ステップ」と、マリーナ整備の採算性から事業の実現性を検討したII. 検証ステップ」の大きく2つのステップから構成され、調査研究全体のフローは、下図のとおりである。
図 調査研究のフロー
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