はじめに
東海地方は、伊勢湾や駿河湾など美しい自然と豊富な海洋資源に恵まれ、プレジャーボートの利用がもともと大変盛んな地域でありますが、最近とみに、国土交通省や地方公共団体において、プレジャーボートを巡る利用環境の整備に向けた動きが盛んになってきていると感じており、一方で、私共中小の造船業界の経営環境は大変厳しく、都市近郊に位置する造船事業者を中心に、保管を始めとするプレジャーボート関連の施設や事業の動向には大きな関心を持っております。
この調査研究は、沿岸域管理のための重要な課題の一つである海洋性レクリエーションの振興や放置艇対策の推進に関して、造船業が如何なる貢献が出来るかについて検討するものであり、具体的な対象として、伊勢市大湊地区の造船施設を活用したマリーナ等施設整備の構想を取り上げ、そのあり方について様々な検討を行ったものであります。
二年間にわたる調査研究におきまして、委員の先生方から、大湊地区において期待される役割や事業可能性などについて様々なご検討をいただきました。その結果、地域全体における重要な課題の一つである海洋性レクリエーションの振興や放置艇対策の推進に関して、われわれ造船事業者が貢献できる分野が、安全面や技術面などにおいていくつかあり、地域とともに港づくり、まちづくりのために参画していく可能性を提示できたものと認識をしております。
今年度で調査研究はひとまず終了し、調査結果は宇治山田港湾整備促進協議会の検討に引き継がれることになっておりますが、有効に活用いただき、宇治山田港において秩序あるプレジャーボートの利用システムが実現することを強く期待をいたします。更には、中小造船事業者が、地方自治体等と連携し、地域の活性化を図る好例となれば幸いです。
最後に、この調査研究に対して、熱心なご協力とご指導を賜りました海の博物館館長石原義剛氏を始めとする各委員の方々と業界の現状を的確に汲んでいただき、企画段階からこの調査研究にご尽力をいただいた中部運輸局海事振興部の方々にこの場を借りて感謝いたします。また、当工業会の事業に対しご支援をいただいている日本財団に心よりお礼申し上げます。
平成15年3月
社団法人 東海小型船舶工業会
会長 渡邊眞男
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