協力:日本財団
ホームヘルパー3級養成講座通信 第7号
ヘルパーへの道
NPO文化学習協同ネットワーク 2001年11月22日発行
74歳!!ケアマネージャー・配食ボランティア(他にもいろいろ)こなすスーパーミラクルウーマン登場!
前回の橋本さん、露木さんに続き、今回もまたパワフルウーマンが登場しました。三鷹市井の頭でケアマネージャー(東京都で第一回目のケアマネージャー試験を最年長で合格!)をしながら、配食ボランティアで活躍なさっている河島かずさんが今回の講師でした。講座名は「家事援助の方法」です。
河島さんは45歳の時に自宅介護の仕事に目覚め、日赤の看護婦から訪問看護に転身し、その後利用者さんから食事作りを頼まれたことをきっかけに配食サービスもやり始めたと言うことでした。今でこそセブンイレブンなども始めている配食サービスですが、河島さんが始めた頃は全国で3番目のサービス開始だったということです。
三大栄養素の話
まずは、家事援助の重要な柱である調理についての講義から始まりました。配食サービスを何年も続けてこられただけあって、栄養についての知識はさすが。三大栄養素とは、タンパク質・炭水化物・ビタミンのことであり、それぞれが体をつくる、エネルギーとなる、体の潤滑油となるなどの働きをしているということです。最近話題のコレステロールの話もあり、植物性脂肪が善玉コレルテロールになり、動物性脂肪が悪玉コレステロールになるという話でした。悪玉コレステロールは血管の壁に付着するのであまりとりすぎると動脈硬化などを引き起こすということです。食物繊維は腸内の掃除をして老廃物を排出し、エネルギーを生み出すときに発生する活性酸素は体にたまるとよくないということでした。健康のためには一日30食以上とることが目標で、赤、黄色、茶色など色のバランスも考えると必要な栄養素がとれるということでした。つい偏った食事をしがちな一人暮らしスタッフにとっては、参考になると同時にちょっと耳の痛い話。結構偏食の受講生も多いのでは?今は若さでカバーできても、そのうち体のあちこちが故障してきます。今回の講義は家事援助だけでなく、自分の日々の食事についてもとっても参考になるお話でした。
今日の献立
白身魚のホイル焼き
大根菜ご飯
ブロッコリーのごまみそマヨネーズかけ
サツマイモの茶巾絞り
きゅうりわかめの酢の物
磯辺もち(いももち)
ギョーザ
実際に食事を作ってみようということで、2時間かけての調理実習となりました。今回の献立は、介護食というより普通食に近く、ほぼ600キロカロリーに計算されているということです。栄養という観点から見ると、大根の葉はビタミンCの王様で、捨ててしまうのはもったいないということでした。ブロッコリーはカルシウムやビタミンCが含まれ、ごまにはビタミンEが多く普段の料理にもごまを意識的に使うようにするといいそうです。さつまいもはのどに詰まることがあるので、お年よりは自分ではあまり調理しなくなってしまうため、茶巾絞りなどでやわらかくして食べてもらうように工夫するということでした。さつまいもには食物繊維が多くできるだけとりたい食品。ババロアやゼリーは流動食としても使え、ちょっとしたおやつとしても活用しているということでした。おもちはのどにつまってしまうことが多いので、じゃがいもを使って「芋もち」を作り、それで代用したりするということでした。このいももち(磯辺もち)が思った以上においしくて、びっくり!普段自分でも作って食べたい一品でした。受講生はとっても楽しんでいた様子。普段あまり調理しないメンバーも河島さんから手とり足とり指導を受けながらがんばっていました。みんなの格闘ぶり、なかなかでした。できばえはご飯がちょっと固かったものの(ごめん。たぶんスタッフMのせいです)、それ以外は上出来。おいしかったです。
食事介助
実際に食事介助を体験してみるということで、おとなりの人に食べさせてみました。以前鴨下さんの講義で強調された、相手の気持ちをまず確認する、ということから始めました。自分では口のサイズに合わせて小さくしたつもりでも、「それはちょっと大きすぎ」と河島さんのチェックが入ったりして、人に食べさせるのってとっても難しい!でも、いい体験ができました。
食品衛生
O157の事件以来、やはり食品衛生についてはかなり神経質にしているということでした。主な食中毒を引き起こす菌としては、腸炎ビブリオ・サルモネラ・病原性大腸菌・ウェルシュ菌、カンピロバスター・黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがあるそうで、病原性大腸菌というのが、いわゆる“O157”。黄色ブドウ球菌は人間が持っている菌で、傷口のある手で食品を触ったりすると感染することがあるということでした。手袋をしたり、怪我した手で食品を触らないことが大切とのこと。菌には、熱に弱いもの、真水で洗うとよいものなどいろいろな殺菌方法があるので、それぞれの特徴を知っておくことが大切ということです。
手などの消毒の方法は、逆性石鹸でを洗ったあと中性洗剤液につける、アルコールを脱脂綿でつけたり、噴射したりすることもあるとのことでした。
洗濯
利用者のお宅に伺って一番はじめにするのが、時間のかかる洗濯。今は洗濯機の種類が豊富で、使い方がわからないものが多いとのことでした。自分ではちゃんと操作したつもりでも、全く洗濯できていなかったりすることもあるそうです。受講生には、家電やなどに行ってどんな洗濯機が出ていて、操作方法はどうなのか、売れ筋はどれかなど、店員さんに聞いてみるようアドバイスがされました。あと、洗濯できるものなのかクリーニングに出した方がいいものなのかをチェックすることも重要で、洋服やバックの手入れの方法も覚えておくといいとのこと。
掃除
掃除の方法は、通ってくるヘルパーさんによって所属している業者のやり方があるので、違うことが多いとのことでした。でも他のヘルパーさんに合わせようとするのではなく、自分がしっかりときれいにしようという気持ちでやるのが一番ということでした。何かを落として割ってしまったりした場合は、まず素直に謝り、どうしたらいいか相談することが大切ということでした。業者によっては、保険をかけているところもあるそうです。
そのほか&質問に答えて
お年寄りは気温や湿度についてあまり敏感でないので、ヘルパーの方が意識する必要があるということでした。温度や湿度が適切かどうか判断するために、なるべく自分の体感で覚えておくといいそうです。温度は、22℃くらい、湿度は60%くらいがいいそうです。
Q. 買い物も時間内にすませるのですか?
A. はい。事前に電話で買っていくものを確認してから出かけるときもある。チラシを見てできるだけ安いところで買ってもらおうとする人もいて、店から店の移動が大変。時間オーバーはよくある。
★ヘルパーとして大切なこと☆
利用者本位の姿勢忘れずに!
★河島さんが大切にしていること☆
ヘルパーとして一番大切にしていることは、「相手の気持ちになってみること。」自分がどうしたいかでなく、自分だったらどうされたいかを基準に考える。そうするとめんどくさい気持ちや嫌な気持ちもなくなる。相性が悪い人とあっても、めげることなく相手が心開いてくれるように和ますなど工夫が必要。前回の露木先生の講義にあった「響き合い」が、まさしく重要である。健康的な生活を送るためのポイントはいくつかあるが、ストレスについては「自分がこなせる分はこなし、それ以外は横に置いておく」気持ちでやっている。思い煩うことがないように「ケセラセラ」の気持ちが大切。
★きみの声 わたしの声☆
☆わかったこと☆
・掃除や洗濯は訪問したお家のやり方に従うということ。
・食べさせるのが大変なんだということがわかった。
・お年寄りといろいろ相性があることがわかった。利用者のことを考えるということ。時間どおりできるように、洗濯・買い物・調理・掃除をやらなくちゃいけない。そういうのをうまくやるやり方はどうするのか。
☆思ったこと☆
・宅配サービスの人はすごいと思った。コンビニみたいに機械で作っていると思っていたからびっくりした。
・僕は果たしてホームヘルパーをきちんとできるのだろうかということを考えている自分を発見した。
・なんかいつも話を聞いているけど、早く実習したい。やっぱり経験だし。
★スタッフのつぶやき☆
調理はみんな楽しんでやっていたようです。出来栄えについても、思ったよりとってもおいしく、満足いくものになったのではないかな。個人的には、いももちに大感激!簡単でおいしい。トッピング次第でいろんな食べ方ができそうです。と・・・一応、介護食の実習なのでしたね、これは。すっかりお料理教室ののりでした。すみません。
今回は見た目もほとんど普通食を作りましたが、実際は刻み食といって、料理したものを細かく刻んで出したり、飲み込みやすいようにとろみをつけたものなどを出すこともあるようです。河島へさんがおっしゃっていましたが、そのような元の食材がわからなくなってしまうような場合も、できるだけ元の様子が分かるように盛りつけを工夫したり、色合いを考えたりする工夫は手抜きしたくないな、と思いました。やっぱり、どんなときも楽しんで食事したい気持ちはかわらないだろうと思うから。利用者の方が気持ちよく生活できるかどうかという、とっても大切な問題に関わっている家事援助。「自分がどうしてほしいか」を考えることは本当に重要だと思いました。
74才にも関わらずバリバリと活躍している河島さんのすごさには本当に圧倒されました。もしかして受講生よりずっとエネルギッシュ!?その秘密を伺ったところ、「よくばりなのかしらね?」とのお答えでした。「やりたいことはやる!」ということなのでしょうか。前回の橋本さんといい、露木さんといい、河島さんといい、パワフルウーマン続きのヘルパー講座。素敵な先輩に出会えて、元気をもらう日々です。
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