【見突き漁】
海底を覗き見て、様々な道具を用い魚介類を突いたり、海草類を刈ったりする見突き漁は海水がきれいで透明度の高い房総半島南部の岩礁地帯で盛んに行われていました。
小船を用いて行うのが一般的で、内房の波の穏やかな岩礁の内側などでは見る、漕ぐ、突くの一人三役をする「ひとり見突き」、波の荒い外房の磯では「ふたり見突き」が行われています。これ以外には磯から行う「徒歩(かち)見突き」もみられます。
海底を覗き見るにはハコメガネを用い、明治時代後期ころからは水面との境にガラスを装着します。それ以前は、菜種油などを口に含み海面に吹きつけ、油膜によって海面の波や反射を押さえて透視する方法がとられていました。いずれにしても、ひとり見突きの場合は片手で櫓、もう一方でヘシを持つため、ハコメガネは上部の平板を歯で噛んで(かんで)固定しました。房総各港や使用する人によって少しずつ形が違っており円筒型、楕円形、台形型などの種類があります。館山市布良(めら)のもの(109)は上下二段に分かれており、使用する条件の違いで使い分けていたものと思われます。
109. ハコメガネ(千葉県立安房博物館)
また、普通のヘシでは届かない、ヒラメ、アンコウなどが生息する水深の深いところでは、フンドンビシを用い、獲物目がけて落下させることで捕獲しました。
現在では見突き漁をする小型船を見る機会はどんどん減少しております。
111. フンドンビシ(千葉県立安房博物館)
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