【川】
川での釣り漁も、ヘラブナ釣りに代表されるような釣竿を使用しての「釣り」がイメージされますが漁業者の使用する漁具としては、あまり使用されませんでした。
竿を手に持って釣るのとは異なりますが、ウナギを釣る方法として、ツクシと称する極めて簡便な釣り漁がありました。長さ2m程度の篠竹の先に釣針をつけた釣糸を結び餌をつけて、水底に突き刺しウナギのかかるのを待つという方法です。何本も仕掛けておいて、水面に突き出した篠竹を目印に一昼夜前後に回収するものでした。
川の釣り漁として最も一般的なのは延縄漁で1カゴ約100mのチチワ(幹縄)に釣針のついた約1mのクチワ(枝縄)50本をつけ夕方適当な場所に餌を付けながら入れておき翌早朝に引き上げてかかった魚をとります。対象魚によって釣針の形状や糸の太さは異なりましが構造は基本的に同じです。ミミズ・ヒルなどの餌を使ってフナ・ウナギ・セイゴ(スズキ)・ボラ・カモチンなどを捕りました。ナガラあるいはナガナワと称していました。ボラのような表層の魚を対象にするときはボラナガシと呼ぶ帆のついた小舟に幹縄を結び、風上から流して釣る工夫もされました。寒鮒を対象とするフナナガラ漁は前夜に仕掛けた縄を早朝引き上げなくてはなりません。200間、300間の縄を引きあげる人の指先は、こごえて真っ赤にはれあがってしまいます。湯桶は手を温める小さな風呂とでもいえるものです。
69. ツクシ(千葉県立大利根博物館)
66. カモチンナガラ(千葉県立大利根博物館)
68. ボラナガラ・67. ボラナガシ(千葉県立大利根博物館)
71. 湯桶(千葉県立大利根博物館)
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