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(別紙1)検討会発言要旨
1. 委員発言
広瀬 清蔵委員(北海道ブロック代表者)
○ 省令「里親認定基準」の「里親の種類」に養子縁組里親の一種を設定すべきである。里親希望者の半数以上が養子縁組希望であることに鑑みて、養子縁組里親から養育里親につなげるべきである。
○ 里親委託希望者及び委託者数を10年以前に復活するよう努力すべきである。この数は、現在数の夫々倍になると考えられること。
○ 委託数の増加方策として、児童相談所の下部に支部会議を開き関係者の会議を持つこと。
 
高橋 亨夫委員(東北ブロック代表者)
○ 児童養護施設との連携を強め、(例えば一、二泊のふれあい里親、施設への奉仕活動等)里子委託率を上げること。
○ 委託年令の引下げを考慮すること。(生後6ヶ月まで低下させる、場合によっては3ヶ月程度で委託をうける)
○ 児童相談所担当者との間の定例会議を設けること。2ヶ月に一回程度を目標にしたい。(仙台市の場合)
○ 県、児童福祉審議会里親審査部会委員として参加し、社協その他との意思疎通を図ること。
 
星野 崇委員(関東ブロック代表者)
○ 里親に関する情報の開示、交換が必要であること。(ホームページ開設も一考)
 
竹内 重富委員(東海・北陸ブロック代表者)
○ 愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市と情勢が異なるが、北陸三県一市では、児童相談所の指導で定期的に研修会(一日コース)を開催したい。
○ 各県・市夫々工夫をして内容についてブロックで足並みをそろえたいこと。
○ 地域ブロックでは、委託向上のために「里親元年」に相応する研修会としたいこと。
 
荒堀 喜代蔵委員(近畿ブロック代表者)
○ 子ども家庭センターの担当職員が慎重すぎ、かつ施設に遠慮して委託が進まないこと。
○ 府児童福祉審議会審査部会の委員の里親会長が参加していないので、不参加の府県を含め、今後委員として参加できるよう厚生労働省より都道府県・指定都市へ催告して欲しいこと。
○ 新規里親研修会を、年4回の府児童福祉審議会審査部会後、年4回開催している。また、7ヶ所の児童相談所毎に課長クラスの職員担当者との会合を持つこととしている。(大阪府の場合)
○ 京都市において、里親会賛助会員制度を設け成績を挙げているので、委託率向上のためにも、この制度を他府県市にも普及させては如何。
 
松田 美代子委員(中国ブロック代表者)
○ 山口県児童福祉審議会里親審査部会委員として、山口県里親会長が任命されることについて要望。
○ 児童相談所の担当者の熱意に問題があること。一方里親の側においても、熱意のある里親は、高齢者などを含め、1/4程度であることが残念。
○ 委託促進に努力したいが、養子縁組里親の多い現状をどう打開するか。
○ 専門里親研修会出席旅費について政府補助を確保したい。(中国地方からの参加に約6万円程度の負担がかかる)
 
井上 久美子委員(四国ブロック代表者)
○ 里親の高齢化と養子縁組里親の希望の下での養育里親の委託促進に悩みがあること。
○ 研修会の開催(年4回、香川県)により委託促進に努力中であるが、児童相談所職員の努力を期待、また短期里親、一日里親等を通じ、施設にアプローチする等努力中。
○ 専門里親研修についての、費用の補助斡旋を希望。
 
橋田 村俊委員(九州ブロック代表者)
○ 「平成14年度九州地区里親研修大会要望事項」参照のこと。
 特に、児童相談所に里親の専門職の配置が最大の問題であること。これらの担当者は、1年に1回交替という状態である。
○ 里親制度の啓発として福岡県、北九州市で3泊4日の施設児童の外泊を実施しているが、児童相談所の協力を要求中。また、長崎県で2泊3日のホームスティを実施して、これらを突破口として促進中である。
○ 常時活動として、児童相談所に日参する方法ではなく、児童相談所を含め行政が里親に協力することを望む。
 
2. 学識経験者発言
石川 守課長
○ 東京都が養育家庭センター制度を廃止、児童相談所を中心としての新体制を実施し、児童相談所職員の使命達成に努力を始めた。児童相談所と各地域の里親会との交流を積極的に実施するよう検討中。
○ 委託促進について各課題毎に検討し、取組みたいと考えている。
 
津崎 哲雄教授
○ 里親制度について、我国は世界の動向から50年遅れて了った。最大の理由は、児童相談所の専門性の欠如、専任のワーカーの不在に起因し、自治体の一般裁量に委せたところに基本的な問題が存在したことに因る。これが我国の児童福祉の最大の欠陥となった。
○ 虐待対策について全都道府県・指定都市を通じて、約200名の児童福祉司の増員が行われたが、虐待児対策としての増員が主たる対策にすぎず、基本的な解決につながらない。
○ 児童対策については、高度の専門性をもつ、児童福祉司のいない児童相談所の一般職員によって行われてきたもので、いわば児童保護であり、児童福祉の観念がなかった。これについては児童相談所の体制を変えないと仕様がないのではないか。
○ 医療制度に例えれば、医師は児童相談所の福祉司であり、ケースワーカーであり、里親は看護婦の立場である。医師のいないところで病気は判断ができず病気は直らないと考える。
○ このような構造的な児童福祉の問題点の中で、我国に委託向上問題を現実的に処理するためには、地方自治体間での委託率の競争をして貰うことが必要であろう。
 里親委託率が、要養護児童総数の約6%として、この率を5年間スパンの年数で10%〜12%にするという委託率アップ・プログラムを作成するのも一方法ではないか。
 厚生労働省が、地方自治体にこのプログラムによって指導し、里親会が協力するという体制が考えられる。
○ 施設に関して云えば、施設には経営問題があり、職員の雇用問題をかかえ、里親に対して熱心になれるということは理論的にあり得ない。
○ 里親会が、夫々の地域、夫々の次元で、目標を設定して地道にやることが必要で、現在の国の児童福祉についての感覚では問題の根本的解決が図れないのではないか。
 
3. 討論
広瀬委員
○ 児童相談所の活動如何によって委託里親を増加することがでる。
 児童相談所の職員に頑張って戴く、その任命は知事なので、知事に期待する。
○ 委託率の競争が効果があると考える。地域毎の競争、相談所毎の競争、都道府県毎の競争などが効果がある。
○ 終局的には、子供にとって何が幸せかが、論争の原点で里親か施設かを考えるべきである。
 
高橋委員
○ 里親専門の相談所担当者が任命されて、委託率がアップした、要は担当者の熱意の問題である。担当者との密接な連絡を図ることが必要。
○ 仙台市の場合、委託年令が既に20才まで支援中、このようなことは、自治体相互交流による連絡体制が必要であると考えられる。
○ 県と市の支援が必要で、里親に対する支援額の増額も大切である。
 
関戸座長
○ 里親に対する手当の増額は不可欠、例えば里親指導手当という発想である。東京、神奈川、横浜市、川崎市が実施しており、山梨県も実現した。
○ 新聞社等マスコミ対策の実施も有効である。
 
石川課長
○ 公務員として異動は避けられないので、チーム制でチームリーダーを置いて対処したい。
○ 委託率を目標として現状の10%から20%程度増を考えて、局長指示を出している。
 毎月一回所長会議、月一回マッチング会議、毎週水曜の処遇会議と児童相談所全体の意識改革をする、更に改善したい。
 
津崎教授
○ 民間委託機関の必要性がある。民間のケースワーカー機関を、児童相談所が行っている仕事ができるよう法律を改正して、資源の有効活用という意味での市場原理が働くよう配慮することが必要。
○ 公的機関も充実させて、それで足りないものを民間にやらせるようにする。児童相談所のように里親認定ができて、里親のケースワーク、委託後の指導、自立までのケアーを行わせる、これに大阪府と大阪市が負担して行う。(類似例として家庭養護促進協会)施設に、月20万円支出しているので、それを民間に支払う方法をとればよい。
 
橋田委員
○ 里親制度を啓発する対象として、県議会、市議会議員及び大学の教授等の教育者に呼びかける必要がある。
○ 県の行政担当部局も一層の勉強が必要。
 
西川助言者
○ 専門里親の研修費について、本年3月の児童主管課長会議で厚生労働省からは1/3は国の負担、2/3は自治体負担と説明された。
○ 都道府県児童福祉審議会の委員に、里親会長が任命される問題について、里親が入っていてもいなくても、審議の実体には余り関係はなく、むしろ勢力的、政治的な問題である。
○ 里親委託率を全国的に比較して、北海道なみに上昇すれば、約5倍の養育里親の数が実現できると考える。これらを5年計画で行うことを考える必要がある。
 
杉浦助言者
○ 里親手当増額の具体的構想については、特に言及されなかったが、別の検討会で検討されることとなっているので、これに譲ればよいと思う。







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