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(別紙2)検討会への提出意見
広瀬 清蔵委員(北海道ブロック代表者)
1. 地域里親会のこれからの活動指針について
 昨年第47回の全国里親大会が札幌市で開かれました。『里親は今、何をなすべきか』でシンポジウムが行われ、里子の数の増加を目標に掲げ、10年の間に倍にしようとの提案が議長からなされました。1年たって全国的に約100名が増え、その中で北海道は札幌市を入れると307名の里子数となり10%程増えました。帯広児相が32名から41名、釧路・旭川・中央の各児相などそれぞれ5名程増えました。
 米国の里子数は58万8千人で日本は2,200人と桁違いの数です。今、養護児童のニーズが高まり、虐待児童などを対象にして専門里親が規定され、米国の様に親族里親も認められ、従来の養育里親、短期里親、と共に4種類の里親制度が省令で決められました。福祉法の改正で地域福祉が強調され、児童福祉でのネットワーク作りは里親制度が優れております。
 
2. 新しい制度を視野に入れての里親制度の改善策と展望等について
 小泉内閣では構造改革を唱え、事業者や行政中心ではなくユーザーや利用者が中心となるよう求めております。
 里親制度も児童の最善の幸せを求めて努力すべきで、行政も児童相談所も里親と共に児童に目を向けて努力する限り、里親制度は伸びていくものだと確信しています。
 そのためにも各児童相談所を中心として、研修会をもつことです。数が10名以上になるとその下の地区、市町村毎の組織を作り里子の養育の悩みを相談することです。この積み重ねがまとまると県の里親制度は伸びて行きます。そのためには里親各々行政に働き掛けることです。知事さんは選挙で決まります。民主主義は意見をどんどん言い、そして地域の福祉を進めることが日本の再生につながると思っています。10月から専門里親制度が発足します。3年以上の養育経験者は前向きな姿勢で研修に参加しましょう。
 
高橋 亨夫委員(東北ブロック代表者)
1. 地域里親会のこれからの活動指針について
 地域里親会の活動の活性化を図るため、次のような内容の活動指針を策定することが望ましいと考えます。
(1)新規里親登録者の促進
・行政とタイアップし、住民向けの広報誌を活用し、広報活動を推進する。
・ポスター及びパンフレットを官公庁やデパートなど地域住民の目に触れる場所に掲示並びに配備する。
・民生委員・児童委員の研修の場で里親制度のPRを行う。
(2)里親委託率の向上
・養護児童の委託先について、施設よりも里親委託を優先するような児童相談所担当者の認識を変える。
・生後3ヶ月程度からの里親委託を行うなど、委託児童年齢を引き下げるよう、行政機関に働きかけを行う。
・児童を施設に委託している保護者に、里親委託の必要性についての研修会等を実施し、「真の児童の幸せ」について考える機会を持たせる。
(3)里親に対する研修及び養育相談
・未委託里親に対し、児童相談所と協力して新規里親登録者に対し、研修会を継続的に行う。
・児童相談所担当者の協力を得て、定期的に懇談・相談等を行う日時を設定し次の事業を行う。
 未委託里親の委託に向けての心構え及び委託後の対応など、児童相談所担当者及び先輩里親から経験談等を気楽な雰囲気のもとに話してもらい、アドバイスを行う。
 委託中の里親の養育に係る悩みや喜びについて、児童相談所担当者及び先輩里親との懇談を行い相互に養育技術の向上を図る。
(4)行政との連絡強化
・市関係委員会(社会福祉審議会・里親審査部会)へ委員として参加
・広報活動について連携を行う。
・児童相談所の里親関係資料の開示を要望する。
(5)児童養護施設との交流
・施設へのボランティアや施設見学を行い、施設入所の児童の養育状況及び環境等を里親自身の目で確認することにより、委託後の児童養育に役立たせる。
(6)地域里親会相互の交流
・各地区の里親研修会等へ相互に講師を派遣するなどの交流を行い、活性化を図る。
 
2 新しい制度を視野に入れての里親制度の改善策と展望等について
(1)短期里親
ア レスパイト・ケア
 里親の休養も必要ではあるが、委託されている里子が不安を感じるような状況とならないよう十分配慮するべきである。委託中の里親と委託される里親との親交が十分行われ里子も不安を感じることがないような対策がとられるべきである。また、施設委託は、できるだけ避けるべきと考えます。
イ 体験
・施設入所児童を短期間委託する「ふれあい里親(体験)」については、短期里親制度の中に組み入れられているが、宮城県内の場合、県の措置対象児童を仙台市の登録里親が委託を受ける場合又はその反対の場合があるので、そのような場合でも制度の中で運用できるようその取り扱いを確立してほしい。
(2)専門里親
・里親への十分な研修と行政(警察及び児童相談所等)側の十分な支援が必要と考えます。虐待を行っている実親への対応や委託児童の不登校等非行の問題も考慮に入れた対応が必要と考えます。
(3)親族里親
・経済的不安なしに子供の養育ができることは、望ましいことと考えます。しかし、経験的に余裕があり、養育に不安がないような場合については、一考を要するのではないかと思う。
 
3 その他
(1)中央と地方の情報提供の推進
・新聞(地方版)掲載記事を本部に送付し、本部で全国分をまとめて各県里親会に送付するなど、中央・地方の情報交換を密接にする。
(2)児童相談所に「専任の里親担当職員」の配置
・児童相談所に専門の里親担当者を複数配置し、きめ細かな里親事業の促進を図る。
(3)ホームページの開設
 全国里親会のホームページを開設し、地方里親会から発信された情報も掲示する。
(4)今回の制度改正で「養子制度の運用について」が通知されているが、養子縁組を行った後の里親及び里子の支援についても制度化し、種々発生した問題について児童相談所で親身になって相談及び対応を行ってほしい。







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