1. 日時 平成14年10月22日(火) 午後2時30分から同4時50分
2. 場所 高等海難審判庁 審判業務室
3. 出席者 全部会メンバー
4. 議題
5. 資料
6. 議事概要
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日本の現状は、恥の文化ということで、自分の恥になるようなことは人に公開しない。それから人の不幸が我が幸せのような、潜在的な心理状態が人間にある。これをいかに払拭して、本当の安全な世界を作る方向に向かうことこそ、社会的要請ではないかと思う。 |
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ダイヤモンドグレースの裁決書で、右側の浅いところになぜ行ったのかという原因、あるいは背景というものを軽視できない。 |
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審判においては、ある行為が、個別的な問題ではなく、あらゆる側面から見て内容を考慮すれば、今後、社会的な要請に応えられるのではないかと思う。 |
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インシデント・リポート・システム(PSRS)を考えたとき、アメリカに調査員を派遣して、事情を調査したが、日本の考え方とアメリカの考え方とではあらゆる面で違っていることがわかり、日本にあったバージョンに作り替えた。 |
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ネックになったことは、情報の収集と集まった資料の解析である。 |
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情報の収集をいかにするか、資料をどのように解析し、公開し、将来に資するかが問題である。 |
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我々が先ず取り組んだことは、内在する問題と意識改革である。そして、次に技術的な対応であった。船が専用船化し、荷物は大変なエネルギーの物を一つの単位の船で運んでいる現状、実情をいかに意識し、それを現場の仕事に反映させるかということについては、専門的な知識が必要である。 |
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物事に対する的中性とか確実性、それから永続性、具体性、あるいは普及性、整合性、経済性、可能性について、合理的な判断をする必要があるということを学んだ。 |
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データを共有すると言うことは、データを出し、咀嚼し、必ずそれを還元させることで一つのサイクルができるということになり、これを忘れないようにする必要がある。 |
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データベースで処理するためには、データおよびその解析が正確でなければならない。 |
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裁決書を中心としたデータを収集するなら、主因という概念だけで物事を処理すると言う考え方は、懲戒主義としては合理的かも知れないが、事故防止のためのデータという意味ではあまり意味をなさない。主因は主因としてよいが、事故は多くの要因が複合して生じており、原因には多数の要因を併記する必要がある。データとして使う場合は、そこをうまく処理する必要がある。 |
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社会的責任ということが最近言われるようになった。例えば、免許の停止問題、罰金、刑法上の罰以外に社会的責任が問われるようになったと思う。つまり、法律を守る。社会的な反応を意識する必要があると思う。最近は行政まで行政評価といって、いわゆる自己評価ではなく、社会評価という考え方が入ってきており、各組織は自覚する必要があり、海難審判庁も例外ではない。 |
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水先人の職業柄、衝突のおそれがあるヒヤリハットが多いのではないかと思われる。水先人自身の情報のほか相手船の情報も非常に大切と思われるがこれについてはどうか。 |
○ |
事故に至らない問題について双方から上がってくることが望ましいが実際には非常にまれである。文書にしないで両方から聞いた場合は、自分は良いが相手が悪いといった自己防衛となり、資料にならない。
怒られてはいけないという警戒心の問題、あいつはしょっちゅう危ない目に遭っているという信用の問題、自分の恥になることはできるだけ言わないというのが一般的であり、将来、連続的に資料が集まるかどうか心配である。 |
◎ |
外国人が操舵に当たっている場合のBRMに関連したヒヤリハットの報告に対して、パイロット協会はどのような対策をとったか。 |
○ |
現状のブリッジの中でリソースを共有することが希薄になっている。安全に対する意識も希薄になっており、明らかに世界的に海運の現場における人的資源は質が落ちてきている現象が現れている。世界的にボットムアップをする必要がある。 |
◎ |
水先人はあくまで1人1人が独立して開業しており、協会はそれをまとめているということで、組織と個人の問題は難しいと思う。会社のような形で上からの命令を全部守れといった形に持っていきづらいところがあろうが、日本のパイロット協会はどちらの方向に行きそうなのか。 |
○ |
個人事業主に対する管理をどう構築するかの問題である。自分の責任で事を処する範囲においては自己責任主義でよいかと思うが、グループ全体とか他の人に影響を与えるような場合には、自己責任で処理するということでは難しいという説明をしている。 |
◎ |
集まった情報をどのような形で具体的にフィードバックしているのか。 |
○ |
現在収集した資料は200例ほどであり、いよいよこれから答えを出す段階となっており、分析を日本ヒューマンファクター研究所に依頼している。 |
◎ |
ヒヤリハット情報が集まってくると研究所で分析を行い、その背後の原因を探求して水先人の方に流し、事故の再発防止というか、事故に至っていないが事故にならないような根本的な、本質的なところを解明するという仕組みと考えてよいか。 |
○ |
目的とするところは「もって安全に資する」であり、これを最終目標に置いている。
現段階そこまで行っていないが、目標ははっきり設定している。 |
◎ |
現在分析中との事であるが、実際に調べていくとヒヤリハットに終わっている事実がある。もう1つ、スイスチーズモデル的に言うと、1枚のチーズの板がうまくかみ合ったから事故に至らなかったというものもあろうが、これらについて整備をしているか。 |
○ |
原因がたくさんある中で、最後に事故にならなかったための要素について、委員の中に水先人の専門委員も入れており、出てきたデータを最終的に咀嚼してフィードバックすることはやっている。 |
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具体的に、このケースでは事故にならなかったのは、こういう理由があるからだということが特定でき一つの知恵が得られたら、守秘義務を守る枠内で一旦普遍化する。協会の会員にいい意味で普遍化して、デイリーなアクティビティの教訓として、こういうことをやると、こうなるから、こういう風に手を打つとうまくいくぞと言える。一見マイナスだが、よく整理するとプラス情報が潜んでいる。
自動車について、長時間にわたる観察から、事故データは取れなかったが、間一髪というデータが取れた研究がある。それを細かく見ていくと、そこから逆に、なぜ事故にならなかったかということで正しい情報が得られる。それを公開すると皆が助かることになる。水先人の情報も200例あるということなので、そういうものが中にきっとあると思う。 |
○ |
指摘のとおりである。海難審判についても、斎藤浄元先生が、将来のためにどうすればいいのかという視点に立って審判法を見なければならないということを指摘されたそうである。一番大切なところと思う。 |
◎ |
水先人の社会的責任とあるが、説明の事件についてはオーナー、船長の方が大きいような気がする。水先人の方が制裁を多く受けたような感じがするが。 |
○ |
専門の技術者としての水先人への期待は高いという立場に立って自ら反省して対応をしている。水先における道義的とか社会的というのは、普通の問題と少し違い、社会通念というような形で、物差しはなかなか定めにくいが、世論には逆らえないというところで対応していく必要があると考えている。 |