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1 調査研究概要等
1.1 調査研究の目的
 近年、様々な分野における事故調査には、ヒューマンファクター概念に基づく事故調査手法が取り入れられ、顕著な成果が報告されている。また、このような調査手法の一環として、インシデント情報を蓄積し、これを分析する手法が有効とされている。船舶分野においても国際的にヒューマンファクター概念による海難・インシデントの調査、分析手法を採り入れる動きが世界的に活発化しており、IMO(国際海事機関)において、1999年にそのためのガイドラインも設けられたところである。
 しかしながら、海難調査においては、ヒューマンファクター概念に基づく手法の導入は、まさに緒についたところであり、その本格的な展開はこれからの課題とされているところである。
 また、インシデント等危険情報の収集、有効活用の環境整備には、免責・匿名の保証など様々な要件を解決しなければならず、特に、わが国の国民性からインシデントの開示には強い警戒感・心理的抵抗感が潜んでいるため、これを本格的に実施するためには、解決しなければならない課題が山積みしている。
 このため、
 
(1) ヒューマンファクター概念に基づく、海難調査手法の開発
(2) インシデント等の危険情報を共有化し、有効活用を進めるために必要な環境の整備の構築
 
について調査・研究を行うことにした。
 
1.2 調査研究の内容
 本調査研究は、平成14年度、15年度の2ヶ年計画で行うこととし、14年度は、下記の項目について調査検討した。
 
(1)ヒューマンファクター概念に基づく事故調査
 ヒューマンファクターの定義及び事故原因等の調査分析手法を整理した。
 
(2)我が国の船舶分野における海難調査の現状
 我が国の海難調査の現状を調査し、ヒューマンファクター概念の導入の必要性及び導入に当たっての対策並びに今後の検討事項を整理した。
 
(3)米国の船舶分野におけるヒューマンファクター概念に基づく海難調査
 米国(米国沿岸警備隊(USCG)、米国国家運輸安全委員会(NTSB))の船舶分野におけるヒューマンファクター概念に基づく海難調査の現状を調査した。
 
(4)インシデント等の危険情報の報告、活用
(1) 航空分野におけるインシデント情報の報告、活用体制について整理した。
(2) 我が国の海運会社等及び米国におけるインシデント情報の報告、活用体制について整理した。
(3) 船舶分野におけるインシデント情報制度の導入に当たっての問題点及び今後の検討事項を整理した。
 
1.3 調査研究の方法
(1)委員会等の名称
 学識経験者、海事関係者、関係行政機関で構成する「ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究委員会」(以下、「ヒューマンファクター調査研究委員会」という。)及び同委員会の下に「検討作業部会」を設置して、調査研究を実施した。
 
(2)委員会及び作業検討部会名簿
(順不同、敬称略)
 
《委員会》  
(委員長)  
加藤俊平 東京理科大学教授
(委員)  
堀野定雄 神奈川大学工学部経営工学科助教授
黒田 勲 (有)日本ヒューマンファクター研究所長
小林弘明 東京商船大学教授
冨久尾義孝 (株)日本海洋科学副社長
峰 隆男 弁護士(海事補佐人)
増田 恵 (社)日本船主協会 常務理事・海務部長
吉田良治 (社)日本旅客船協会 業務部長
厚味三樹三郎 日本内航海運組合総連合会 審議役
松倉廣吉 (社)日本パイロット協会 前会長
村田嘉隆 (社)日本船長協会 常務理事
久保田勝 (財)日本海洋レジャー安全・振興協会 常務理事
小坂智規 (社)大日本水産会 常務理事
今村敦隆 日本郵船(株)安全環境グループ危機管理チーム長」
(喜多祐次郎)  
頼成 功 (株)商船三井 海務部副部長 兼海技安全グループ グループリーダー
羽山憲夫 川崎近海汽船(株) 取締役
松岡 猛 (独)海上技術安全研究所 海上安全研究領域長
池田敏郎 高等海難審判庁 総務課長
(原 喜信)  
佐和 明 高等海難審判庁 審判官
清水正男 高等海難審判庁 海難分析情報室長
喜多 保 海難審判理事所 理事官
 
《検討作業部会》  
(部会長)  
松倉廣吉 (社)日本パイロット協会 前会長
(委員)  
村田嘉隆 (社)日本船長協会 常務理事
久保田勝 (財)日本海洋レジャー安全・振興協会 常務理事
小坂智規 (社)大日本水産会 常務理事
今村敦隆 日本郵船(株)安全環境グループ危機管理チーム長
(喜多祐次郎)  
頼成 功 (株)商船三井 海務部副部長 兼海技安全グループ グループリーダー
羽山憲夫 川崎近海汽船(株) 取締役
松岡 猛 (独)海上技術安全研究所 海上安全研究領域長
池田敏郎 高等海難審判庁 総務課長
(原 喜信)  
佐和 明 高等海難審判庁 審判官
清水正男 高等海難審判庁 海難分析情報室長
喜多 保 海難審判理事所 理事官
   
注:( )は前任者







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