2. 政府資金の出融資斡旋制度の概要
(1)観光地域振興整備に係る政府資金の出融資斡旋制度
(1)出融資斡旋
日本政策投資銀行
(2)申請者の資格
地方公共団体が策定した観光地域の振興に係る計画等に基づき、観光レクリェーション施設を整備する第三セクター等
(3)対象事業
出融資斡旋の対象とする事業は、次の観光レクリェーション施設を地方公共団体が策定した観光地域の振興に係る計画等に基づいて整備する事業。
区分 |
例示 |
野外レクリェーション施設 |
マリーナ、スキー場、スケート場、キャンプ場、テニスコート、遊歩道等 |
文化教養施設 |
動植物園、水族館、博物館等 |
便益休養施設 |
宿泊施設、ビジターセンター、駐車場、軽飲食店等 |
管理施設 |
コミュニティセンター、会館等 |
その他付帯施設 |
水処理施設、廃棄物処理施設等 |
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(4)申請の手続き
出融資の斡旋を受けようとするものは、出融資斡旋申請書を提出する。
提出先:当該施設を整備する地域を管轄する地方運輸局企画振興部観光振興課
なお、出融資斡旋申請書の提出は、日本政策投資銀行(以下「関係出融資機関」という。)を経由して地方運輸局長に提出することができる。
(5)出融資の斡旋
地方運輸局長は、都道府県観光主管部長に対し、申請内容と当該観光地域の振興に係る計画等との整合性について照会し、出融資斡旋申請書を審査のうえ、関係出融資機関に対し、出融資対象企業の斡旋を行う。
(1)融資機関
中小企業金融公庫
(2)申請者の資格
資本の額若しくは出資の総額が5,000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が200人以下の会社若しくは個人であって、ホテル業又は旅館業を経営する能力を十分期待できる者
(3)対象事業
別表に定める施設基準のうち第1基準、第2基準に適合する宿泊施設を整備する事業
(別表省略)
(4)申請手続き
融資斡旋を受けようとする者は、融資斡旋申請書を提出する。
ア. 申請先
当該施設を整備する地域を管轄する地方運輸局長
イ. 受付場所
当該施設を整備する地域を管轄する地方運輸局の企画振興部観光振興課
(1)経緯
国際観光は国際相互理解にとって重要な意義を有しており、平成7年6月2日の観光政策審議会答申「今後の観光政策の基本的方向について」の中でも、訪日外国人観光客の増加により素顔の日本と日本人を見聞きしてもらい、十分な国際理解を得ることは必要なことであり、そのために国際コンベンションの振興、国内旅行の低廉化、容易化を実施する必要があると述べられている。
このようなことから、運輸政策局は平成8年1月に、学識経験者、観光産業界関係者等から成る「観光交流による地域国際化に関する研究会」(座長:竹内宏長銀総合研究所理事長)を発足し、訪日外国人旅客を飛躍的に増大させ、日本を訪れた外国人観光客が日本の観光地を心から楽しんでもらうための環境整備等の総合的施策について幅広く検討を行った。
「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」についての提言は、3ヶ月間の検討を踏まえて、4月25日に開催された第4回研究会において取りまとめられ、5月22日に開催された第68回観光政策審議会総会において報告されたものである。
※ 平成12年5月に観光産業振興フォーラム(代表幹事:堤義明 財団法人国際観光開発センター会長)の通常総会において、従来の「ウェルカムプラン21」に加え、官民一体となって外客の来訪促進を強化し、概ね2007年を目途に訪日外客数800万人を目標とする取組み(「新ウェルカムプラン21」)に関する緊急提言が取りまとめられた。
(1)ウェルカムプラン21
ア. 訪日観光交流促進の必要性と基本方針
(ア) 国際観光の振興は、国際相互理解の増進が図られることから必要不可欠。
訪日外国人旅行者数の伸び悩んでいる現在、官民、中央・地方が一体となり早急に対応する必要。
(イ) 2本立ての外国人観光客誘致対策
a. 我が国全体の対策
誘致目標の設定と「ゆとり観光立国」へのイメージ転換(概ね2005年において700万人を目指す)
b. 地方観光圏の対策
「国際観光テーマ地区」形成による新たな国際観光ネットワークの構築
イ. 我が国全体への外国人観光客誘致対策
(ア)おおむね10年間で訪日外国人旅行者数の倍増を目標
a. 訪日旅行需要の創造
(1)日本の観光イメージづくりとPR
(2)方面別マーケティングの実施とアジア諸国向けPRの充実強化等
b. 国内滞在の費用低廉化、利便性向上等の対策の実施
(1)旅行費用低廉化対策
・「ウェルカムカード(仮称)」の普及
・主要交通機関等の運賃等の低廉化・利便性向上
・東京、大阪のホテル等の対策 等
(2)利便性向上対策等
・低廉な旅行に関する情報提供
・案内所の機能向上、案内標識・表示の充実
・国際観光賞等の報奨制度の創設
・国際コンベンション会議、大規模イベント・行事の支援
・査証の発行の簡素化 等
ウ. 地方圏への外国人観光客誘致対策
(ア)外国人観光客にアピールする日本の特色を反映したテーマを基に国際観光のテーマルートを開発、誘客促進=「国際観光テーマ地区」の形成
a. テーマルート等による観光魅力の開発
・基本構想の策定、地域PRイベント等の形成
・テーマコンセプトに関連したインフラ整備
・外国人観光客向け地区内テーマルート施設割引 等
b. 国際観光テーマ地区における宿泊滞在拠点の形成
・国際観光テーマ地区内の拠点となるホテル等に対する国税、地方税等の特例措置
c. ボランティアガイドの配置
d. その他の受入れ環境の改善
e. 誘客活動の実施
・国際観光振興会による国際観光テーマ地区の海外宣伝
・旅行業者による国際観光テーマ地区をアピールしたツアーの販売
エ. 本提言の性格及び推進体制の整備等
(ア)提言を推進するための支援措置の早期実現の必要性
(イ)中央、地方において計画の具体化のための協議会を設置
ア. 趣旨
我が国の訪日外国人観光客数は、年間約444万人(1999年)と、年間海外旅行者数1,636万人と比べて約4分の1にとどまり、依然として低水準。世界的に見ても第32位(1997年WTO統計による)。このため、早期に訪日外客を倍増し、2007年を目途に8百万人の訪日客を達成することを目標に官民一体の取組みを推進。
イ. フォーラムでの提言事項
(ア)外国人の来訪促進に関する国民的合意の形成
a. 国際交流の果たす意義についての理解促進
b. 外国人来訪促進についての国民的合意の形成
(イ)国・地方における外国人の来訪促進施策の充実強化
a. 国際交流の拡大が特に期待できる国や地域との間の相互交流目標設定
b. マーケットリサーチに基づいた、対象とすべき顧客層に的を絞った訪日促進キャンペーンの展開
c. 地方空港・港湾における航空チャーター市場の育成及び国際クルーズ旅客船ネットワークの形成の促進
d. 運輸省を中心とした、海外における観光宣伝、入国手続きの簡素化、外国人受入れ体制の充実、青少年交流の拡大等に関する連携体制の強化
(ウ)民間の観光業界における外国人来訪促進のための取組みの充実強化
a. 外国人の日本に対する多様な関心に応える旅行商品の開発
b. 外国人の関心の高い日本の文化、商品を活用した観光宣伝
c. 訪日外国人の滞在費の低廉化
d. 個人客向け情報提供の充実
e. 情報技術を活用した外国人案内サービスの改善等
4. 「外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律」について(平成9年6月18日施行)
(1)背景・目的
我が国の経済・人口規模に比較して国際的に低水準にある訪日外国人旅行者数を倍増させ、日本に対する理解の増進を図ることが重要な課題であることから、訪日観光交流を促進するための「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」を推進しているところであるが、特に、外国人観光旅客が集中している東京、大阪以外の多様な地域への来訪を促進することが、素顔の日本人に接し多様な日本に出会う機会を提供するなど、我が国に対する理解と関心を深めるうえで不可欠である。このため、外国人観光旅客の多様な地域への来訪を促進するための各般の施策を総合的に講じることにより、国際観光の振興を図ることを目的として制定された。
なお、同法の主な内容として、
(1)運輸大臣は、外国人観光旅客の来訪地域の多様化を促進するための措置を講ずることによる国際観光の振興に関する基本方針を定めることとする。
(2)都道府県は、地域の特色を生かした観光ルートの形成により、外国人観光旅客の来訪を促進することが適当な地域について、外客来訪促進計画を作成することができることとし、この計画を達成するため、国及び地方公共団体は必要な支援を努めるとともに、国際観光振興会は海外宣伝等の措置を講ずるよう努めることとする。
(3)外国人観光旅客を対象とする共通乗車船券の発行の届出により、関係法令に基づく運賃又は料金の届出をしたものとみなすこととする。
(4)運輸大臣の指定する研修を終了した一定の者については通訳案内業試験の一部を免除し、地域を限定した通訳案内業の免許を与えることとする。
等である。
(フロー図)
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