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9. 船用電気器具の外被の保護形式の種類
 
 船用電気器具の外被の保護形式及び検査通則(JIS F 8007:1998)により、次のように保護等級と保護形式が規定されている。
 保護等級とは、器具の外被からの危険な箇所への接近、外来固形物の侵入及び/又は水(液体)の侵入に対する保護の度合いをいう。
 保護形式とは、保護形式を表すIP並びに危険な箇所への接近・外来固形物に対する保護等級及び液体に対する保護等級を組み合わせたものである。
 保護等級を表すシステムとして、IPコードがあり、その要素と概要は、次のとおりである。
 即ち、IPコードは、第一特性数字(器具に対する保護性能と人に対する保護性能があり、IP数字は0〜6)、第二特性数字(器具に対する保護性能、IP数字は0〜8)、付加特性文字(オプションで、人に対する保護性能、IP数字はA、B、C、D)及び補助文字(オプションで、器具に対する保護性能、IP数字はH、M、S、W)を組み合わせて表示する。
 例えば、オプションの文字も使用する場合、、IP34CSと表示されていれば、その意味は次のとおりである。
 
 
 具体的には、以下に示す各表から、表示された外被は、次の様なものであることを表している。
 
“3”− 直径が2.5mm以上の工具を持った人の危険な箇所への接近に対し保護されている。 外被内の器具が2.5mm以上の大きさの外来固形物の侵入に対し保護されている。
“4”− 外被内の器具があらゆる方向からの飛まつ(飛沫)によっても有害な影響がないよう保護されている。
“C”− 直径が2.5mm以上、長さが100mm以内の工具を持った人の危険な箇所への接近に対し保護されている。[工具は、その工具全体(全長)が外被内に入ることがある。]
“S”− 可動部分を停止させた状態において、水の侵入による有害な影響について試験されている。
 
 また、IPX4(又はIP4X)の例で使用される“X”は、第一特性数字の表示なし(又は第二特性数字の表示なし)を意味する。
 具体的な保護等級に対する説明を次の“表1〜表5”に示す
 
表1 第一特性数字で示される危険な箇所への接近に対する保護等級
第一特性数字 意味 保護性能
0 無保護 無保護
1 手の甲が危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径50mmの接近度プローブで試験したとき、危険な箇所との間に適正空間距離が確保されていること。
2 指での危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径12mm、長さ80mm間節付試験指の先端と危険な箇所との間に適正空間距離が確保されていること。
3 工具での危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径2.5mmの接近度プローブが侵入しないこと。
4 針金での危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径1.0mmの接近度プローブが侵入しないこと。
5 針金での危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径1.0mmの接近度プローブが侵入しないこと。
6 針金での危険な箇所への接近に対して保護されている。 直径1.0mmの接近度プローブが侵入しないこと。
 
表2 第一特性数字で示される外来固形物に対する保護等級
第一特性数字 意味 保護性能
0 無保護 無保護
1 直径50mm以上の大きさの外来固形物に対して保護されている。 直径50mmの球状の固形物プローブの全体が侵入しないこと。
2 直径12.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護されている。 直径12.5mmの球状の固形物プローブの全体が侵入しないこと。
3 直径2.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護されている。 直径2.5mmの固形物プローブが全く侵入(1)しないこと。
4 直径1.0mm以上の大きさの外来固形物に対して保護されている。 直径1.0mmの固形物プローブが全く侵入(1)しないこと。
5 防じん形 じんあいの侵入を完全に防止することはできないが、器具の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの侵入がないこと。
6 耐じん形 じんあいの侵入がないこと。
(1) 外被の開口部を、固形物プローブの全直径部分が通過してはならない。
 
表3 第二特性数字で示される水(液体)に対する保護等級
第二特性数字 意味 保護性能 JIS C 0920:1993による種類
0 無保護 無保護
1 垂直に落下する水に対して保護されている。 鉛直に滴下する水が有害な影響を及ぼさないこと。 防滴I形
2 15°以内で傾斜しても垂直に滴下する水に対して保護されている。 外被が垂直に対して両側に15°以内で傾斜したとき鉛直に滴下する水が有害な影響を及ぼさないこと。 防滴II形
3 散水に対して保護されている。 鉛直線から両側に60°までの角度で散水した水が有害な影響を及ぼさないこと。 防雨形
4 水の飛まつに対して保護されている。 器具に対するあらゆる方向からの飛まつによっても有害な影響を及ぼさないこと。 防まつ形
5 噴流に対して保護されている。 器具に対するあらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼさないこと。 防噴流形
6 暴噴流に対して保護されている。 あらゆる方向からの強力なジェット噴流の水が有害な影響を及ぼさないこと。 耐水形
7 水に沈めても影響がないように保護されている。 規定の圧力及び時間で外被を一時的に水中に沈めたとき有害な影響を生じる量の水の浸入がないこと。 防浸形
8 潜水状態での使用に対して保護されている。 関係者間で取り決めた数字7より厳しい条件下で外被を継続的に水中に沈めたとき有害な影響を生じる量の水の浸入がないこと。 水中形
相対湿度90%以上の湿気の中で使用できるもの。(JISC0920:1993による)   防湿形
備考: JIS C 0920:1993(電気機器の試験及び固形物の侵入に対する保護等級)に規定されている“保護等級数字、意味及び保護性能”についても、上記JIS F 8007:1998のものとほとんど同じであるので、“表3”に対比の形で記載した。
 
表4 付加特性文字で示される人体の危険な箇所への接近に対する保護等級
付加特性文宇 意味 保護性能
A 手の甲による接近に対して保護されている。 直径50mmの接近度プローブは危険な箇所との間に適正空間距離を確保していること。
B 指による接近に対して保護されている。 直径12mm、長さ80mm間節付試験指は、危険な箇所との間に適正空間距離を確保していること。
C 工具による接近に対して保護されている。 直径2.5mm、長さ100mmの接近度プローブは危険な箇所との間に適正空間距離を確保していること。
D 針金による接近に対して保護されている。 直径1.0mm、長さ100mmの接近度プローブは危険な箇所との間に適正空間距離を確保していること。
 
表5 補助文字
補助文字 保護性能
H 高圧器具
M 回転機のロータなどのような器具の可動部分を動作させた状態において、水の侵入による有害な影響について試験したもの。
S 回転機のロータなどのような器具の可動部分を停止させた状態において、水の侵入による有害な影響について試験したもの。
W 所定の気象条件のもとで使用が可能であり、付加的な保護等級又は、処理が施されているもの。
備考: 各個別規格において、第二特性数字又は付加特性文字の後に補助文字によって補助的な情報を表示してもよい。このような特殊な場合は、基本的安全規格であるこの規格に適合しており、さらに個別規格では、その分類のための試験を実施するときに対処する付加的な方法を示したものである。
文字記号S及びMがない場合は、保護等級は器具の一部分が動作しているかどうかによらないことと考えてよい。
文字記号S及びMがない場合は、両方の条件下での試験を完了していることを必要とする。しかし、それらの条件のいずれかが、その他の試験によって明らかに適合していることが判明していれば十分であるとする。







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