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4.4 航海用機器の取付け要領
4.4.1 一般
 航海用機器は非常に多種多様なものがあるが、ここでは航海用レーダー、GPS受信機、GPSコンパス及び船灯の取付けについて要点を記載する。但し、ここで全ての装置の取付け要領を記載するのは困難であるので、それぞれの装置の装備要領書等に従って取付けをすること。
(1)空中線
 空中線は、レーダーマスト上の支持金物等に取付け、ボルトにより固定する。船体の振動、衝撃などで、よじれたり、いつまでも動揺することがないよう、しっかりとした構造物に取付けること。
 空中線の取付けについての注意事項を次に示す。
(1)レーダー空中線は船体中心線上で船首方向基準線と平行(±5°以内)に据え付けること。
(2)空中線の船首方向±90°以内で水平面(吃水線と平行な線)に対して15°の範囲(アンテナ垂直ビーム幅)には、レーダーに影響するものを装備しないこと。(図3.4.12参照)
 又、全周方向で空中線の水平面に対して±15°の範囲に人が通常立ち入らないような装備場所を選択することが望ましい。
(3)空中線ケーブルはレーダーの動作が無線設備に雑音妨害を与えないようにするために、できるだけ無線ケーブルとの平行布設を避けること。
 空中線の取付け例を図3.4.12及び図3.4.13に示す。
 
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図3.4.12 レーダー空中線の配置(例)
 
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図3.4.13 レーダー空中線の取付け(例)
 
 指示器の取付けについての注意事項を次に示す。
(1)周囲にヒータ等の高温物がないこと。
(2)レーダーの観測者が船首方向を見渡せるような位置と方向を選定すること。
(3)保守点検に必要なスペースを確保しておくこと。
(4)指示器の取付け台は、平らでひずみがないこと。
 小型レーダーで側壁付けやテーブル付けを行うが、相手側が木製の場合が多いので、あまりひずみを心配することはない。ただ重量のある機種では取付け部が堅固でないと危険である。
(5)指示器には種々の鉄系磁性体部品を使用しているので、磁気コンパスに影響を与えないようコンパス安全距離を保つこと。
 図3.4.14は指示器の取付け例を示したものでする。
 
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図3.4.14 レーダー指示器の取付け例
 
(1)空中線
 空中線の取付けについての注意事項を次に示す。
(1)レーダーアンテナビーム幅から外す。
(2)アンテナ位置はなるべく高くし、衛星からのGPS信号を妨げる障害物が無い所を選択する。(特にGPSコンパス)
(3)アンテナが排煙等で高温になったり、カーボン等が付着しない場所を選択する。
(4)メーカー指定のアンテナケーブル長を考慮すること。
(5)GPSコンパスでは船首尾方向を合わせること。
 
GPS空中線装備例(上)
GPSコンパス空中線装備例(下)
 
 指示器の取付けについての注意事項を次に示す。
(1)直射日光が当たらないところ。
(2)冷暖房装置の風が直接当たらないところ。
(3)振動が少ないところ。
(4)保守点検が行える場所。
(5)磁気コンパスに影響を与えないようコンパス安全距離を保つこと。
(6)GPSコンパスのレートセンサーが内蔵されているユニットはメーカーの装備要領書に従い取付け方向を合わせて取付けること。
 
 
 船灯は船舶の航行における安全保持のための標識情報を他船へ伝達することを目的として装備するものであるから、相手船に情報が明確にかつ、効果的に伝達されるように適正に装備しなければならない。
 船灯の装備位置等については第2編の2.7項で詳述したので参照されたい。
 船灯の取付けの一例を図3.4.15、図3.4.16に示す。
 灯体の取付けは、上部灯体の締付けねじをゆるめ、下部灯体より取り外し、下部灯体の取付け穴を利用して、木ねじ又はボルトで固定する。
 
図3.4.15 船灯の取付け例
 
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図3.4.16 操縦性能制限灯火の吊下げの例







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