日本財団 図書館


2・8・3 ケーブル
 船用ケーブルは特殊なものを除いてJIS C 3410−99(船用電線)に規定されたものが使用される。ここでは、主としてJIS C 3410に規定するケーブルの試験・検査について述べるが、これらの内容は殆んどの船級協会の規則にも適合するものである。
(1)材料試験
 ケーブルを構成する各種材料についてはそれぞれ次の試験を行って所定の要件に適合することを確認する。
(a)導体の素線
 めっき:完成品から試料をとってめっき試験を行ったとき、試験液の色は、比色標準試験液の色より暗くてはならない。
(b)絶縁体(EPゴム、けい素ゴム、ビニル及び難燃架橋ポリエチレン)
 
(i)引張り強さ及び伸びの測定: 結果は表2・37参照のこと。
(ii)耐空気老化性試験: 同上
(iii)耐空気加圧老化性試験: 同上
(iv)適合性試験: 同上
(v)耐加熱変熱変形性試験: 同上
(vi)耐油性試験: 同上
(vii)低温性試験: 同上
(viii)4時間耐電圧試験: 同上
(ix)高温絶縁抵抗試験: 同上
(x)静電容量特性試験: 同上
(xi)耐加熱減量性試験: 同上
(xii)耐巻付加熱性試験: 同上
(xiii)耐オゾン試験: 同上
(xiv)加熱伸長試験: 同上
 
(c)シース(クロロプレン、ビニル)
 
(i)引張り強さ及び伸びの測定: 結果は表2・38参照のこと。
(ii)耐空気老化性試験: 同上
(iii)適合性試験: 同上
(iv)耐油性試験: 同上
(v)耐加熱変熱変形性試験: 同上
(vi)低温性試験: 同上
(vii)耐加熱減量性試験: 同上
(viii)加熱伸長試験: 同上
 
(d)がい装
(i)亜鉛めっき鋼線
 完成品から試料をとり試験したとき、その品質は次のとおりとする。但し、ペイントが塗布されている場合は編組前に試料をとることとする。
イ)亜鉛めっき 試料は硫酸銅溶液に1回浸したとき、表面に赤色の密着性金属銅が折出してはならない。
ロ)素線径 素線径は0.3mm及び0.4mmを標準とする。素線径の許容差は表2・31のとおりとする。
 
表2・31 がい装素線径の許容差 単位mm
標準 最大 最小
0.3 0.36 0.24
0.4 0.47 0.33
 
(ii)銅合金線
 けい銅線、りん青銅線など、海水に対して抵抗力のある銅を主体とした合金線とし完成品から、試料をとり試験したとき、素線径は0.3mm及び0.4mmを標準とし、素線径の許容差は表2・31のとおりとする。
(2)構造検査
 適当な長さの試料について、主要部の寸法を測定し、各構成材料の厚さ、仕上り外径等が規定に適合しているかどうかを確める。規定の寸法値はJIS C 3410を参照のこと。
(3)導体抵抗試験
 導体抵抗は、ホイートストンブリッジ法などの方法によって測定し、次の式で20℃のときの線長1Kmに対する値に換算する。
 
 
 ここに、R20:20℃における1km当たりに換算した導体抵抗値(Ω/km)
Rt:t℃で測定値(Ω)。ただし、リード線の抵抗値を含む場合は、これを除いた値
αt:測定温度t℃の値を20℃に換算する表2・32の温度換算係数
L:線長(km)
 
表2・32 導体抵抗温度換算係数表(標準温度20℃)
温度 (t)℃ 銅 (αt) 温度 (t)℃ 銅 (αt) 温度 (t)℃ 銅 (αt)
0 1.085 12 1.033 24 0.985
1 1.081 13 1.028 25 0.981
2 1.076 14 1.024 26 0.977
3 1.072 15 1.020 27 0.973
4 1.067 16 1.016 28 0.970
5 1.063 17 1.012 29 0.966
6 1.058 18 1.008 30 0.962
7 1.054 19 1.004 31 0.959
8 1.050 20 1.000 32 0.955
9 1.045 21 0.996 33 0.951
10 1.041 22 0.992 34 0.948
11 1.037 23 0.988 35 0.944
 
(4)耐電圧試験
 導体相互間、及び導体と大地間に、表2・33に規定する交流試験電圧を5分間加え、これに耐えなければならない。
 
表2・33 絶縁耐力試験電圧
ケーブルの定格電圧 試験電圧
250V 1,500V
0.6/1KV 3,500V
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION