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(6)落下試験
 携帯用防爆電気機器の機械的強度を確認するために落下試験を行う。
 試験品は、使用できる完全な組立状態で水平なコンクリート面の上に1mの高さから4回落下させる。この場合、コンクリート面に衝突するときの試験品の姿勢は、その携帯用防爆電気機器の使用条件などを考慮して決定する。
 試験は、周囲温度25±10℃で実施する。
 試験の結果、試験品に電気機器の防爆構造を損なうような損傷を生じてはならない。容器の表面的な損傷、塗装のはがれ、冷却フィン、その他これと類似する電気機器の部分の損傷及び小さなへこみは、一般に防爆性能に影響がない範囲ならば無視してもよい。
 ファンカバー及びスクリーンは、変形しても防爆性能の保持には支障がないが、それらが位置のずれ又は著しい変形によって回転部分と接触してはならない。
 
(7)温度試験
 防爆電気機器に許容される最高温度を確認するために温度試験を行う。
 温度試験は、電気機器が定格で稼働している状態において行う。ただし、電圧変動が温度上昇に影響を及ぼすおそれがある電気機器では、定格電圧の90〜110%の範囲内で温度上昇に最も不利な影響を及ぼす電圧においても温度試験を行う必要がある。
 得られた最高表面温度は、次の値を超えてはならない。
(a)個々の製品について温度試験を行う防爆電気機器では、表2・21の温度等級に応じた最高表面温度の値。
(b)(a)以外の防爆電気機器では、温度等級T1及びT2で10℃、温度等級T3〜T6で5℃だけ、それぞれ表2・21に規定する最高表面温度から差し引いた値。
(c)最終温度は、温度上昇率が1時問当たり2℃以下に達したときの温度とみなす。
 
(8)熱衝撃試験
 照明器具及び電気機器ののぞき窓などに使用するガラス製品の部分は、その最高使用温度において、温度が10±5℃で直径が約1mmの噴流水を注いで熱衝撃を与えたとき、破損することなく耐えなければならない。
(9)爆発強度試験
 爆発強度試験は、基準圧力の決定を行った後、その基準圧力を用い(b)の圧力試験によって行う。この試験においては、容器内に、すべての内容物又はこれと等価なものを正規に取り付けなければならない。ただし、内容物の一部を取り除いても使用できる電気機器においては、その仕様の範囲内で最も厳しいと判断される状態に内容物を取り付ける。
 なお、静的圧力試験において、容器の強度に無関係な内容物は取り除いてもよい。
(a)基準圧力の決定
 基準圧力の決定は次による。
(i)基準圧力は、表2・27の試験ガスを容器の内部に満たして点火する方法によって、この表の試験回数だけ爆発試験を行い、試験中に記録された爆発圧力の最高値によって決定する。
 取外しできるガスケットがある場合、基準圧力の試験中にそれらのガスケットは取り付けておく。
 爆発圧力は、点火側、その反対側の端部及び設計的に大きな圧力が予想される位置で測定する。
(ii)回転機における基準圧力は、(i)によるほか、次の(イ)及び(ロ)によって決定する。
(イ)爆発試験は、停止状態、回転状態又はこれらの両方の状態において行う。
(ロ)回転状態で爆発試験を行う場合は、回転機は通電又は通電停止のいずれの状態でもよいが、その回転速度は、無負荷時の回転速度に等しいか、又はそれに極めて近いものであること。
 
表2・27 基準圧力の決定における試験ガス及び試験回数
電気機器のグループ 試験ガスの組成 vol% 試験回数 回
II A プロパン 4.6±0.3 3
II B エチレン 8.0±0.5 3
II C 水素 31±1.0 5
アセチレン 14.0±0.5 5
 
(b)圧力試験
 圧力試験は、動的圧力試験又は静的圧力試験のいずれかによって行う。
 なお、いずれの試験を行った場合にも、試験の結果、容器に破損又は耐圧防爆性能を低下させるおそれがある変形を生じてはならない。
(i)動的圧力試験
 動的圧力試験は、容器が受ける最高圧力が基準圧力の1.5倍の圧力になるように、適切な組成の試験ガスを容器の内部に満たして点火爆発させることによって行う。
 基準圧力を決定することが困難な場合には、表2・28に規定する試験ガスを用い、その初圧を大気圧の1.5倍の圧力にしてこの動的圧力試験を行う。
 試験回数は、グループII A及びII Bの電気機器では1回、グループII Cの電気機器では3回とする。
(ii)静的圧力試験
 静的圧力試験は、基準圧力の1.5倍の静的圧力(最低350kPa)を容器又は容器を構成する部品の内側に加えて行う。
 基準圧力を決定することが困難で、しかも動的圧力試験が実際的でない場合には、グループII A又はII Bの電気機器の容器には1000kPa、グループII Cの電気機器の容器には1500kPaの静的圧力を加えて、この試験を行ってもよい。
 内容積が10cm3を超える容器では、基準圧力の4倍の静的圧力を加えてこの試験を行えば、他の圧力試験を行わなくてもよい。
 試験回数は、1回で、この試験における加圧時間は、秒とする。
 
(10)爆発引火試験
 爆発引火試験は、電気機器のグループに応じて、グループII A及びII Bの電気機器は(a)によって、また、グループII Cの電気機器は、(b)によって行う。この試験においては、耐圧防爆性能の維持に無関係な、取外し可能なパッキン又はガスケットを取り外した状態で容器を試験槽内に設置し、容器内及び試験槽内に同一組成の試験ガスを満たし、容器内の試験ガスに点火しなければならない。この場合、容器内の試験ガスは爆発ごとに毎回、また、試験槽内の試験ガスは必要に応じて、入れ替えるものとする。
 なお、試験の結果、容器内の爆発による火災が試験槽内の試験ガスに引火してはならない。
(a)グループII A及びII Bの電気機器の爆発引火試験
 試験ガスは、表2・28に規定する組成ガスと空気との混合ガスとし、その初圧は大気圧とする。
 
表2・28 グループII A及びII Bの電気機器における試験ガス及び試験回数
電気機器のグループ 試験ガスの組成 vol% 試験回数 回 MESG mm
II A 水素 55±1 5 0.65
II B 水素 37±1 5 0.35
 
 MESGとは、最大実験安全すきま(Maximum Experimental Safety Gap)であり、それぞれのガス又は蒸気に対し実験で求められている。
(b)グループII Cの電気機器の爆発引火試験
 グループII Cの電気機器の容器に対する爆発引火試験は、次の(i)又は(ii)のいずれかによって行う。
(i)第1法(すきま調節法)
 試験ガスは、表2・29に規定する組成のガス又は蒸気と空気の混合ガスとし、その初圧は大気圧とする。
 
表2・29 グループII Cの電気機器における試験ガス及び試験回数
電気機器のグループ 試験ガスの組成 vol% 試験回数 回
II C 水素 27±1.0 5
アセチレン 7.5±1.0 5
 
(ii)第2法(初圧重量法)
 試験ガスは、表2・29に規定する組成ガス又は蒸気と空気の混合ガスとし、その初圧は大気圧の1.4倍の圧力とする。
 試験回数は5回とする。
 
(11)耐電圧試験
 耐電圧試験は、個々の電気機器に対する個別規格に定められた試験を行う。
 ただし、該当する規格がない場合は、次による。
(a)安全増防爆構造
(i)供給電圧の波高値が90V以下の電気機器の試験は、実効値500V%で行う。
(ii)供給電圧の波高値が90Vを超える電気機器の試験は、〔1000+2×(定格電圧)〕V又は1500Vのいずれか大きい方の実効値%で行う。
(iii)試験電圧は、1分間%印加する。
(b)本質安全防爆構造
(i)試験電圧は、周波数48〜62Hzの正弦波とすること。又は、定格交流電圧の1.4倍のレベルで、3%以下のピークトゥピーク波形をもつ直流で行ってもよい。
(ii)電源は、試験電圧を維持するために、漏れ電流を考慮して、十分な電圧−電流容量をもつこと。
(iii)試験電圧は、一定の割合で増加させ、10秒以上で所定の値に到達させた後、少なくとも60秒間保持すること。
(iv)試験の間、一定電圧を印加し、絶縁破壊が起こらないこと。
 
(12)火花点火試験
 火花点火試験を必要とするすべての回路は、区分ia及びibの機器対し、また、機器のグループII A、II B及びII Cに対し、故障条件で点火しないことを確認するために、試験する。
 試験中、正常状態及び故障の状態を確認し、安全率1.5を考慮する。火花点火試験装置(IEC79−3の規定による。)には、開放、短絡又は接地の故障が起こると考えられる各箇所を試験回路に挿入する。
 火花点火試験回路は、試験を始める前に校正し、表2・30に示す範囲内で、試験ガスと空気との最も点火しやすい混合ガスで充てんされた箱の中で試験する。
 試験ガスは、機器のグループの分類によって、表2・31による。
 なお、特定のガス又は蒸気中で使用する機器は、そのガス又は蒸気の最も点火しやすい濃度で試験する。
 
表2・30 試験ガス
電気機器のグループ 試験ガスの組成 vol%
II A 空気中の5.25±0.25%のプロパン
II B 空気中の7.8±0.5%のエチレン
II C 空気中の21.0±2.0%の水素
 
(注)安全率
 1.5の安全率は、主電源を定格電圧の110%に増加し、他の電圧(蓄電池・電源及び電圧制御素子)については、温度と許容差の影響を考慮して最大値とすることによって得られる。
(i)誘導回路及び抵抗回路については、制限抵抗値を減少することによって、1.5倍の電流とする。1.5の安全率が得られない場合は、電圧を更に上げる。
(ii)音量回路については、1.5倍の電圧とする。







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