(2)機器のグループ
機器のグループは対象とする爆発性ガス、最大安全すきま、最小点火電流比によって表2・22のとおり区分する。
機器のグループIIは、炭鉱(グループI)以外の船舶、工場その他の事業場の防爆電気機器を示す。
表2・22 機器のグループ
爆発性ガスの分類 |
最大安全すきま(耐圧防爆構造) |
最小点火電流比(本質安全防爆構造) |
機器のグループ |
A |
0.9mm以上 |
0.8を超えるもの |
II A |
B |
0.5mmを超え0.9mm未満 |
0.45以上
0.8以下 |
II B |
C |
0.5mm以下 |
0.45未満 |
II C |
|
爆発性ガスA、B、Cについては、JIS F 8009−98「船用防爆電気機器一般通則」を参照のこと。
NK規則では、蓄電池収納区画及び危険場所に装備する防爆形電気機器について、下記のとおり定めている。
(1)蓄電池収納区画
電灯器具はガス蒸気グループII C、温度等級T1以上
(旧JIS C 0903の爆発等級d3、発火度G1と同等)
(2)引火点が61℃以下の液体貨物であって液化ガス(N編)及び危険化学品(S編)を除くものをばら積で運送するタンカーの危険場所
ガス蒸気グループII B、温度等級T3以上
(旧JIS C 0903の爆発等級d2、発火度G3と同等)
(3)自走用の燃料をタンクに有する自動車を積載するための閉囲された貨物倉及び同貨物倉の閉囲された隣接区画等
ガス蒸気グループII A、温度等級T3以上
(旧JIS C 0903の爆発等級d1、発火度G3と同等)
(4)石炭運搬船の貨物倉等
ガス蒸気グループII A、温度等級T4以上
(旧JIS C 0903の爆発等級d1、発火度G4と同等)
(3)各種防爆構造に対する試験の種類
表2・23 各種防爆構造に対する主な試験の種類
試験の種類 |
耐圧防爆構造 |
安全増防爆構造 |
本質安全防爆構造 |
構造検査 |
○ |
○ |
○ |
衝撃試験 |
○ |
○ |
○ |
落下試験 |
○ |
○ |
○ |
温度試験 |
○ |
○ |
○ |
熱衝撃試験 |
○ |
○ |
○ |
爆発強度試験 |
○ |
|
|
爆発引火試験 |
○ |
|
|
耐電圧試験 |
|
○ |
○ |
火花点火試験 |
|
|
○ |
|
(4)構造検査
各種の防爆電気機器について、それぞれ適用する規格・規則に規定する構造、材料、寸法等を検査し、これに適合することを確認する。参照すべき規格は、次のとおりである。
(a)JIS F 8009−98 船用防爆電気機器一般通則
(b)JIS F 8422−98 船用防爆天井灯構造
(c)JIS F 8425−98 船用耐圧防爆形携帯電灯(乾電池式)
(d)JIS C 0930−93 電気機器の防爆構造総則
(e)JIS C 0931−93 電気機器の耐圧防爆構造
(f)JIS C 0934−93 電気機器の安全増防爆構造
(g)JIS C 0935−93 電気機器の本質安全防爆構造
(h)IEC 60079 (Electrical apparatus for explosive gas atmospheres)
各種防爆機器で特に構造上注意すべき検査項目は次の各部である。
表2・24 主な構造検査項目
項目 |
耐圧防爆構造 |
安全増防爆構造 |
本質安全防爆構造 |
接合面の奥行き及びすきま |
○ |
|
|
締付けねじ部 |
○ |
○ |
|
導体及びケーブルの接続 |
○ |
○ |
○ |
容器 |
○ |
○ |
○ |
空間距離及び沿面距離 |
|
○ |
○ |
内部配線 |
|
○ |
○ |
外部配線 |
|
|
○ |
|
(5)衝撃試験
防爆電気機器の容器の各部分及びガード、ファンカバーなどの耐衝撃性を確認するための衝撃試験は、防爆電気機器が使用中に受ける機械的損傷のおそれの程度に応じて、表2・25の衝撃エネルギーを加えて行う。
表2・25 耐衝撃試験
グループ |
衝撃エネルギー E |
機械的損傷のおそれの程度 |
普通 |
低 |
透光性部品 |
ガード付き |
2 |
1 |
ガードなし |
4 |
2 |
透光性部品以外の容器及び容器の部品(ガード、ファンカバーなどを含む。) |
7 |
4 |
|
表2・25の衝撃エネルギーは、表2・26によって、直径25mmの半球状の焼鋼製の衝撃頭をもつ質量Mのおもりを高さhから落下させて加える。
表2・26衝撃エネルギーを与えるおもりの質量及び落下高さ
衝撃エネルギー E J |
質量 M kg |
落下高さ h m |
1 |
0.25 |
0.4 |
2 |
0.8 |
4 |
1.0 |
0.4 |
7 |
0.7 |
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試験は、ガラス製の透光性部品については3個の試験品に対してそれぞれ1回、その他の部品については1個の試験品に対して2回衝撃を加えて行う。この場合、衝撃を加える点は、最も弱いと判断される箇所とする。
試験は、周囲温度25±10℃で実施する。ただし、容器又は容器の部品がプラスチック材料で作られている防爆電気機器は、それが使用される場所の温度より10℃高い周囲温度(最低50℃)及び−25±3℃の低い周囲温度でこの試験を実施する。
なお、防爆電気機器が屋内専用である場合は、低い周囲温度の試験を−5±3℃で実施することができるが、この場合には、その旨を防爆電気機器に表示する。試験の結果、試験品に電気機器の防爆構造を損なうような損傷を生じてはならない。
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