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2・3・7 温度試験
 温度試験の一般事項については、交流発電機の2・2・8(1)項を参照のこと。なお、直流機の温度上昇限度についても2・2・8(1)に述べてある。
 
(1)試験場の注意事項
 直流機として、特に次のことを注意する。
(a)温度試験を行う定格値
 自己冷却式電動機で使用速度範囲の広いときは、定格出力と回転速度冷却効果を考慮し、温度的にもっとも苦しい定格での温度試験を行う。
(b)整流の確認
 温度試験中、整流子の温度上昇とともに整流状態の変化がないかどうかも温度測定時に確めることが望ましい。
(c)ブラシの温度
 ブラシの温度は、規格に規定されていないが、一般的に100℃を超えると、ブラシの摩耗が非常に増大するので、ブラシ圧力、振動等の再調整を行うとともに原因を調査すること。
(d)温度測定場所
 構造上吸気が一方のみに限定するときは、電機子巻線では吸気側と排気側の温度差が非常に大きい場合があるので、できるだけ排気側の温度を測定すること。
 温度試験のときの負荷方法は、電源及び負荷装置などの条件を考慮しなければならないが次の方法がとられる。
(a)実負荷法
 電源及び駆動機の容量が十分なる場合で比較的小形機に適用される。発電機のときは、金属抵抗や水抵抗器を使い、電動機のときは、負荷用の発電機やうず電流ブレーキなどを使う。簡単で安全性がある。
(b)返還負荷法
 電源の都合上、又は試験機が大容量で実負荷法を適用できない場合はこの方法を使う。これは発電機又は電動機の出力を外部で消費させず、電源側に返還し、損失に相当する電力の供給のみで試験を行う方法である。この方法にもいろいろあるが主なものを次に述べる。
(3)分巻直流機の返還負荷法
(a)電動発電機として2セットある場合
 同容量程度の電動発電機がある場合、図2・26のように接続し被試験機DG1、負荷用発電機DG2の電圧及び極性を合わせACBを閉じ並行運転する。次にDG1の界磁電流の調整により、一定電圧にしながら、DG2の界磁電流を必要とする負荷電流に達するまで減少する。このときDG2は電動機となり、誘導電動機IM2は誘導発電機となって電力を返還する。電機子回路の抵抗Rは負荷安定用で定格電流においてその電圧降下が定格電圧の数パーセントとなるような抵抗値が適当である。
 
図2・26 電動発電機の返還負荷法
 
(b)カップ法
 この方法は被試験機と同程度の試験用機がある場合に適用でき、図2・27のような接続をする。
 DG、DM間に規定電流を流し、電源からは両機の全損失のみを供給する。
(c)その他の方法
 ホプキンソン法、ブロンデル法、ハッチンソン法などがあるが省略する。
 
図2・27カップ法







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