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2・2・7 界磁電流・短絡比及び電圧変動率の算定
(1)界磁電流の算定
 負荷時の界磁電流は小容量の発電機では実負荷をとり実測することができるが、大容量機では不可能な場合が多い。このようなときは、無負荷特性及び短絡特性から負荷時の界磁電流i3を算定する。算定式はここでは図2・4の特性曲線例から定格界磁電流を算定してみる。図からi1、i2が求まるとi3は次のようにして算定する。
 
 
なお、短絡比が1.0近くでは、力率0.8の時のi3
 
i3=i1+i2・・・(2・8)
 
として近似的に求まる。
図2.11 短絡特性測定回路(電動機法)
 
(2)短絡比の算定
 短絡比Sは、無負荷定格電圧発生時の界磁電流i0と、三相短絡時、定格電流を流すに要する界磁電流i2との比で表す。
S=i0/i2・・・(2・9)
 本図ではi0=19.0A、i2=10.6Aであるから
S=19.0/10.6=1.8
 短絡比はディーゼル発電機で1.0前後、タービン発電機で0.8程度である。特に電圧変動率が小さいことを要求する場合は1.5以上のものもある。
(3)電圧変動率の算定
 負荷時の界磁電流を求めると、電圧変動率は無負荷飽和特性曲線図2・4から次の式により求められる。
 
 
 ここに、
E0;定格電圧(V)
E;i3(1.0)における電圧(V)
E′;i3(0.8)における電圧(V)
 なお電圧変動率は別名、固有電圧変動率と称し、AVRを使用した電圧変動率と区別している。
2・2・8 温度試験
(1)温度試験一般
(a)目的
i)電気機器の絶縁物は、一般に、温度が高くなると絶縁特性が劣化し、寿が短くなったり(10℃ごとに寿命が半減するといわれている)焼損したりする。
 それ故、定格負荷状態で使われる絶縁物が、その絶縁種類に応じた温度上昇限度内にはいっているかどうかを調べる。
ii)巻線だけでなく、軸受、整流子、スリップリング、鉄心、接触片、接続部なども、温度がある限度を超えるといろいろの障害を起こすので、その温度上昇を調べる。
iii)温度上昇過程中における熱時定数を求めて、機器の熱的特性を調べることもある。
iv)各試験のうちでは最も長時間定格負荷をかけて行うので、その間に各部の異常(例えば、整流状態、異常過熱部分、油、水漏れ、異常音、振動の増加など)、特に時間とともに変化してくる要素について十分調査する。
(b)各種絶縁物の許容最高温度
 絶縁物の種類に応じて許容される温度がJIS C 4003−98(電気絶縁の耐熱クラス及び耐熱性評価)に規定されている。表2・4はそれを示したものである。
 
表2・4 各種絶縁物の温度
耐熱クラス Y A E B F H 200 220 250
温度〔℃〕 90 105 120 130 155 180 200 220 250
 
 なお、この表に示す温度は、機器の中の最高温度の部分に許されるべき温度であって、実際に測定できる温度はこの表より低いのが普通である。
(c)温度上昇限度
 温度上昇限度とは、温度上昇と基準周囲温度との和が絶縁物の許容最高温度以下になるよう定められた温度上昇の限度をいう。つまり、各機器の温度上昇限度は、絶縁物の許容最高温度から基準周囲温度を減じた温度以下に定められているので、当該機器の設置場所の周囲温度が基準周囲温度を上回っている場合は、その超過する温度を規定の温度上昇限度から減じた値がその機器の温度上昇限度となる。
 各電気機器の温度試験において、合否の判定基準になる温度上昇限度は、一般に、回転機に対しては表2・5及び表2・6に示す値以下と規定されている。ただし、船舶設備規程とNK規則とでは基準周囲温度が相違していることに注意すること。
表2・5 回転機器の温度上昇限度表(船舶設備規程)
(拡大画面:69KB)
 
備考
1. 周囲温度が摂氏40度をこえる場所で使用するものには、その超過する温度をこの表の温度上昇限度から減ずるものとする。
2. 整流子又は集電環にB種絶縁を施した場合であって、A種絶縁を施したものがこれに極めて接近しているときは、その温度上昇限度は摂氏65度とする。
表2・6 回転機の温度上昇限度(℃)(NK規則)
(基準周囲温度の限度45℃)
(拡大画面:100KB)







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