(2)WCOP(電機子巻線の抵抗損)及びWS(漂遊負荷損)の測定
発電機の電機子巻線に電流が流れると直流抵抗による抵抗損及び漂遊負荷損が発生する。
(a)電機子巻線の抵抗損;WCOP(W)
次の式によって求められる。
WCOP=3×Ra×Ia2(W)・・・(2・5)
ここに、Ra;基準温度に換算した1相の電機子巻線抵抗(Ω)
Ia;定格電機子電流
(b)漂遊負荷損;WS(W)
漂遊負荷損の測定には、発電機法と同期電動機法とがあるが、ここでは発電機法について述べる。なお、同期電動機法は発電機を同期電動機として運転し、発電機の三相短絡特性と回転子の減速曲線とによって漂遊負荷損を求める方法であるが詳細は省略する。
発電機法は発電機を他の駆動機で定格回転速度にて運転し、2・2・6の発電機の三相短絡特性試験により各電機子電流に対する駆動機の入力を測定すれば、次の式により漂遊負荷損が求められる。測定は定格電流の約25%間隔で125%電流まで測定する。
WS=(WT−WLT)−(WO−WLO)−31a2Ra(W)・・・(2・6)
ここに、
WS;漂遊負荷損(W)
Ia;発電機の短絡電流(A)
WT;短絡電流を流したときの駆動機の入力(W)
WLT;短絡電流を流したときの駆動機の負荷損(W)
WO;短絡電流を流さないときの駆動機の入力(W)
WLO;短絡電流を流さないときの駆動機の負荷損(W)
Ra;発電機の電機子抵抗(1相、測定時の温度におけるもの)
3Ia2Ra;電機子巻線の抵抗損
駆動機の負荷損は次のように求める。
駆動機が直流機の場合
ここに、
ILT;短絡電流を流したときの駆動機の入力電流(A)
ILO;短絡電流零のときの駆動機の入力電流(A)
Ra’;駆動機の電機子回路抵抗(測定時の温度におけるもの)(Ω)
(補極、補償巻線、直列巻線抵抗を含む)(Ω)
図2・9 抵抗損及び漂遊負荷損曲線の一例
(375kVA−10極−450V−481A−60Hz)
規約効率の算定には、絶縁の耐熱クラスに応じて75℃又は115℃における損失を使うので、損失曲線は75℃又は115℃における抵抗損と測定時の温度における漂遊負荷損をグラフに描く。図2・9はその損失曲線を示す。規約効率に採用する巻線の基準温度は、
絶縁の耐熱クラスA、E、B;75℃
絶縁の耐熱クラスF、H;115℃
である。
(3)励磁損(WF及びWBF)
(a)WF(界磁抵抗損)
定格負荷状態における界磁抵抗損は次の式により算出する。
WF=If2RF(W)
ここに、RF;基準温度に換算した界磁抵抗(Ω)
If;定格界磁電流(A)
(b)WBF(ブラシ電気損)
回転界磁形でブラシを使用したものは、定格界磁電流(If)と、下記のブラシ電圧降下の積からブラシ電気損を算出する。
(i)炭素ブラシ又は黒鉛ブラシ;1リングにつき1.0V
WBF=If×2(W)
(ii)金属黒鉛ブラシ;1リングにつき0.25V
WBF=If×0.5(W)
2・2・6 三相短絡特性試験
三相短絡特性は、発電機の端子で三相短絡を行い、ほぼ定格回転速度における界磁電流に対する短絡電流を求めるものである。接続例を図2.10に示す。
(1)発電機法
発電機端子を短絡し、他の駆動機で運転しながら、界磁電流に対する短絡電流の値を測定し、グラフにすると図2.4の三相短絡特性曲線が得られる。
(2)電動機法
発電機を同期電動機として始動し、同期速度近くなった後、電動機を電源から切り離す。電動機の界磁電流を素早くいったん零にした後、電動機端子を短絡する。短絡が終ったら、界磁電流を数点変化し、短絡電流を測定する。( 図2.11参照)
GD2の小さい機械は早く減速するので、素早く測定しなければならない。測定中に回転速度が変化するが、回転速度による短絡電流の変化はない。
図2.10 短絡特性測定回路
(発電機法)
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