| 2.1.3 荷重の種類  はりにかかる荷重には、いろいろの種類があるが、ここでは第2.7図にも示すように、集中荷重と等分布荷重について考えることとする。   第2.7図   (1)集中荷重  図(a)のように、はりの一点にかかるとみなされる荷重を集中荷重という。また、きわめて短い部分に分布している荷重は、便宜上集中荷重とみなし、その合力の作用点を荷重点とする。(2)等分布荷重  図(b)のように、はりの長さにわたって等しい力が一様に分布している荷重を等分布荷重という。 2.1.4 支点の反力 (1)はりのつりあい  はりに荷重が作用すると、はりが破壊したり、支点が移動しないと仮定すれば、はりはつりあうために支点に反力を生ずる。一般に、はりは水平に置かれ、荷重ははりに垂直に加わると考えられるから、荷重や反力は平行力になる。はりがつりあって静止の状態にあるときを考えれば、平行力のつりあいの条件から、(1)はりに作用する外力の総和が0になる。(2)はりのどこの点に関する力のモーメントの総和も0になる。となり、このことから反力・せん断力・曲げモーメントなどを求めることができる。 (2)支点の反力  第2.8図のような一つの集中荷重W(kg)がかかる反力の求め方は、つりあいの第1条件から、 RA+RB−W=O ∴RA+RB=W(kg) (4) RA:支点Aにおける反力(kg) RB:支点Bにおける反力(kg)  次に、支点Bに関するモーメントを考えると、つりあいの第2条件から、 RA・l+RB・O=W・b ∴RA=b/l・W(kg)  同様にして、 RB=W−RA=a/l・W(kg) を求めることができる。   第2.8図   l:はりのスパン(cm) a:A点から荷重Wの着力点までの距離(cm) b:B点から      〃  二つ以上の集中荷重がかかるはりの反力も上と同様にして求めることができる。 2.1.5 はりのせん断力と曲げモーメント (1)せん断力  第2.9図のような両端支持ばりに、二つの集中荷重W1、W2が作用すると、支点には反力RA、RBが生ずる。下向きの荷重W1、W2と、上向きの反力RA、RBがつりあっているから、 RA+RB−W1−W2=0 となる。   第2.9図    いま、支点Aから任意の距離xの点の断面Xを考えて、四つの力をX断面の左右に分けてみると RA−W1=−(RB−W2) (6) となり、左右両側のそれぞれの力の代数和は大きさが等しくて向きが反対である。この力は一組となって、X断面においてこのはりを上下にせん断しようとする「せん断力」が生じていることになる。 (2)曲げモーメント  第2.10のような両端支持ばりに、集中荷重W1、W2が働いているとき、X断面に働く力のモーメントの総和は、つりあいの条件によって0になるから、 −RAx+W1(x−l1)−W2(l2−x)+RB(l−x)=0 となる。X断面の左側に働くモーメントを式の左辺に、右側に働くモーメントを右辺に整理してみると、 M=W1(x−l1)−RAx=W2(l2−x)−RB(l−x) (7) となり、せん断力のときと同じように左側に働くモーメントと右側に働くモーメントの大きさは等しく方向は反対である。このように、モーメントははりを曲げる方向に作用するので「曲げモーメント」という。   第2.10図   (3)せん断力図と曲げモーメント図  せん断力や曲げモーメントは、水平においたはりの各位置でいくらの大きさになっているか、せん断力や曲げモーメントの最大の位置はどこで、どのくらいの大きさかなどを知ることは、はりの強さを調べるのに大切なことである。これをはりの各断面ひとつひとつについて計算をするのでは大変面倒なので、線図に表わしておくと便利である。  線図をかくには、横軸にはりの各断面の位置をとり、縦軸に各断面のせん断力または曲げモーメントの値をある尺度でとった点をとり、それらの点を結ぶ。このようにしてかいたせん断力の線図を「せん断力図(shearing force diagram=S.F.D)」、曲げモーメントの線図を「曲げモーメント図(bending moment diagram=B.M.D)」という。  各種はりのせん断力図及び曲げモーメント図並びに最大曲げモーメント(Mmax)は学習指導書を参照 のこと。 |