3. T継手における隅肉溶接の種類及び寸法
3.1 一般
隅肉溶接ビードの有効長さは、ビード長さから欠陥存在の可能性のある溶接始終端部を除いた長さを取り、ビードの大きさとしては脚長を取る。脚長は固着する材料の薄い方の板厚以下とし、両辺等脚長とする。ビードの最小有効長さは40mmとする基準が多い。
3.2 アルミニウム合金製漁船構造基準(案)の規定(表3−1)
表3−1 T継手における隅肉溶接の種類及び寸法(mm)
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(注)1. |
母材の板厚が異なる場合は、厚い方の母材の厚さによる。 |
2. |
喉厚は0.7fとする。 |
3. |
千鳥断続溶接を用いる場合は、その端部の1w間は両側を溶接しなければならない。 |
4. |
肘板固着箇所及び縦断骨材の交叉部は、適当な範囲を連続溶接としなければならない。 |
5. |
断続溶接は出来るだけ避け、連続溶接とすることが望ましい。 |
3.3 高速船構造基準の規定
本基準の1.3.3 溶接での規定は次の通り。
溶接作業に当たっては、健全な溶接部が得られるように溶接条件を設定することし、「JIS Z 3604アルミニウムのイナートガスアーク溶接作業標準」及び「日本海事協会鋼船規則」を参照して差し支えない。なお、この基準により工事を行う場合には、船舶検査心得第1分冊の鋼船構造規程付属書[4]「耐食アルミニウム合金構造工作基準」による必要はない。
ただし、鋼船規則C編1章表C1.4及び表C1.5を準用する場合は、次の通りとする。
(1)T継手における隅肉溶接について、脚長寸法fa1は次の算式による値以上としなければならない。
(f−1.5)σr、/σd(mm)
f:同表C1.4に規定する母材の厚さに応じた連続溶接又は断続溶接の隅肉脚長
σr:1.3.2に規定する使用材料の溶接後の耐力の値(以下同じ)(N/mm2)。
σd:使用材料の焼き鈍し材の耐力の最小値(N/mm2)。
(2)同表C1.4において適用する隅肉溶接の種類は、F1、F2及びF3の3種類とし、かつ、同表C1.5中におけるF4をF3と読み替えて適用する。
又、同表C1.4の備考5. の規定にかかわらず、断続溶接として並列断続溶接を適用しても差し支えない。ただし、並列断続溶接を適用する場合にあっても、その端部1W間は両側を溶接しなければならない。
参考のため、鋼船規則C編の寸法規定を表3−2に示す。
表3−2 鋼船規則C編の隅肉溶接寸法規定
板厚(mm)を超え以下 |
連続溶接 脚長f |
断続溶接[F3,F4はピッチ](mm) |
F1 |
F2 |
脚長f |
溶接長w |
F3 |
F4 |
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5 |
3 |
3 |
3 |
60 |
150 |
250 |
5 |
6 |
4 |
3又は4 |
4 |
75 |
200 |
350 |
6 |
8 |
5 |
4 |
5 |
8 |
11 |
6 |
4 |
6 |
11 |
14 |
7 |
5 |
7 |
14 |
17 |
8 |
6 |
8 |
17 |
21 |
9 |
7 |
9 |
21 |
25 |
10 |
7 |
10 |
25 |
40 |
11 |
8 |
11 |
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(注)1. |
喉厚は0.7fとする。 |
2. |
F2は原則として母材の厚さに対する最小脚長とする。 |
3. |
隅肉溶接の脚長の負の許容差は10%とする。 |
4. |
母材の厚さが異なる場合には、厚い方にて脚長を決定する。 |
4. プラグ(栓)溶接及びスロット(溝)溶接の寸法
一般には鋼構造の基準がアルミニウム合金関係に準用されている。船舶関係で鋼製漁船構造基準にスロット溶接のガイダンスがある。一般には米国溶接協会規格等を指針とすることになる。
4.1 プラグ溶接の寸法
基準 |
板厚t |
最小穴径 |
最小 ピッチ |
プラグ溶接の厚さ |
日本建築学会鋼構造設計基準 |
− |
≧(t+8mm)かつ≦(溶接厚さ×2) |
≧穴径×4 |
− |
米国溶接協会規格(アルミ) |
<3.2 |
t×3 |
− |
t≦16mm t |
3.2≦ |
t×2.5 |
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16mm<t t/2以上 |
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4.2 スロット溶接の寸法
基準 |
スロットの幅w (mm) |
日本建築学会 鋼構造設計基準等 |
(t+8)≦且つ2.5d≦ |
米国溶接協会 鋼 |
(t+8)≦ 最大幅は最小幅+(3又は2.25d)の何れか大きい方 |
米国溶接協会 アルミニウム |
t<3.2 3t≦ 3.2≦t 2.5t≦ |
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t: |
スロットのある板の厚さ(mm) |
d: |
溶着金属の厚さ(mm) |
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