1.3 溶接作業者の資格
手溶接及び半自動溶接の作業者は、JIS Z 3811(アルミニウム溶接技術検定における試験方法及び判定基準)に基づく溶接技術検定試験に合格した者又は同等の技能を持った者とする。自動溶接の作業者はその作業に熟練した者とする。
技術検定試験はアルミニウム溶接技術検定委員会(軽金属溶接構造協会、日本溶接協会)が行う。試験の種類を表1−3に、各種溶接作業が出来る溶接母材の範囲を表1−4に示す。
1.4 溶接施工法確認試験
アルミニウム合金製船殻に適用する溶接方法は、JIS Z 3040(溶接施行方法の確認試験方法)に基づいた試験に合格したものでなければならない。確認試験に当たっては、必要事項を記入した申請書を提出する。溶接施行方法試験成績書様式の一例を表1−5に示す。
表1−5 溶接施行方法試験成績書
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表1−3 JIS Z 3811 による試験の種類
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注: |
1) |
溶接はすべて突合せ溶接,試験材の形状寸法は図1及び図2参照 |
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2) |
溶接姿勢は図3及び図4参照 |
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3) |
水平固定及び鉛直固定は図2参照 |
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4) |
1〜2層をティグ溶接で行うこともできる |
表1−4 各種溶接作業ができる溶接母材の範囲
溶接作業の区分 |
溶接母材の範囲 |
薄板 |
板厚 6以下 |
中板 |
板厚 16以下 |
厚板 |
板厚制限なし |
薄肉管(1) |
強度的に重要な管構造物 肉厚 8以下 |
中肉管(1) |
強度的に重要な管構造物 肉厚 25以下 |
厚肉管(1) |
強度的に重要な管構造物 肉厚 制限なし |
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注:(1)外径400以上の管は板とみなすことができる
1.4 溶接工事に関する参考図書・文献
溶接工事に関しては是非下記図書・文献を参考とすること。
1)アルミニウム合金製船殻工作標準(LWS W 8101-1997)、(社)軽金属溶接構造協会発行
2) 〃 〃 〃 工作精度標準(LWS Q 8101:2001)、 〃 〃 〃
3)アルミニウム合金構造物の溶接施工管理、(社)軽金属溶接構造協会発行
4)アルミニウム合金の溶接ひずみ防止マニュアル、 〃 〃 〃
5)アルミニウム合金ミグ溶接部の気孔防止マニュアル、 〃 〃 〃
6)アルミニウムのイナートガスアーク溶接標準溶接条件、 〃 〃 〃
7)アルミニウム合金船建造技術指導書(工作編)、(財)日小型船舶工業会発行
1.5 開先取り器材、溶接機、溶接ワイヤ等
1.5.1 開先取り器材
ニューマチックシェーバー、デプラグ、かんな盤、グラインダー、エンドミル等を使用。
1.5.2 ミグ溶接機
近年インバータ化による新しい波形制御法が採用され、最適溶接条件設定と溶け込み制御を考慮したファジー制御や、デジタル制御化による高速、高精度なフィードバックを織り込んだ高性能溶接機が標準機として使用されるようになっている。デジタルウエーブパルス350・500−MIG溶接機や、デジタルパルスオート350・500MIG溶接機等がその例である。
通常のアルミニウム合金船を建造する場合、溶接機の容量は350A以下で良い。仮付け用や薄板用に150A以下のものも必要(0.8mmワイヤ使用)。
工場の受電設備容量は150KVA/日程度で良い。
1.5.3 溶接ワイヤ
溶接ワイヤ及び溶接棒(ティグ溶接)は、JIS Z 3232に規定するものを使用し、母材との組合わせはJIS Z 3604によるが、使用に便なるよう船舶用に纏めた指針を表1−5に示す。
ワイヤ径は、薄板、仮付け用には0.8mm、中厚板には一般に1.2〜1.6mmが使用される。
表1−5 母材の組み合わせによる溶接棒及びワイヤの選定方針
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1.5.4 溶接作業環境
1)塵挨が十分排出出来る換気装置とすること。
2)戸外の作業場には適当な雨避け、風除け等を設けること。
3)溶接トーチ付近の風速が0.5m以上の時は、遮風措置を講ずること。
4)十分な容量のトーチ冷却用冷却水設備があること。
5)組立用、歪み防止用その他のジグ類を常備し、活用すること。
6)自走式半自動溶接装置を活用すること(裏波溶接を含む)。
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