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5. 審議内容
5.1 開会
5月6日(月)午後1:00より開会、出席者の自己紹介が行われた。
5.2 議題の採択、前回議事録の確認
5.3 コンベナーからの報告
N323(添付資料3)をもとにコンベナーからの状況報告がなされた。その中で、ISO12402(Personal flotation devices)の各パートについて、パート1〜5、及び8が二度目の回章段階、パート6、7及び10が一度目の回章段階にあり、いずれも近い内に(本年の秋頃と想定される)各国に回章される予定であることが報告された。また、パート9については、今回のWGで原案を作成した後、二度目の回章に回される予定である。
イマーションスーツ関係のISO 15027パート1〜3は、2001年5月にCENで採択され、2002年3月に発行された。
5.4 CENにおける他のWGからの報告
個人用保護衣関係のEN規格の作成状況について、WG10及びWG11から報告がなされた。
5.5 ISO/DIS12401(セフティーハーネス)の審議
ISO/DIS12401規格案(N324:添付資料4)に対する投票結果(賛成100%)及びコメント( N325:添付資料5)が紹介され、個々のコメントについて審議がなされた。
(1)我が国のコメンに対する審議結果
4.2.4項のFlexible elementについて、図示及びチェストベルトの単語を追加して明確にすべきとのコメントは、その趣旨は理解されたものの、図示することにより、概念が固定化されるのは、望ましくないこと、又、ショックロードを装着者に伝えるのは、将来的に必ずしもチェストベルトに限定されないこと(現在のものはほとんどそうであるが)等から採用されなかったが、4.2.4項の主旨を明確にするため、Flexible elementsをPrimary elements等の表現に変えることが提案された。
4.3.6項(Holding down devices)を明確化するために図示するとの提案は、上記と同様の理由により採用されなかったが、図そのものに対する間違い等の指摘はなかったため、概念としては、共通の認識がなされていると考えられる。
4.3.7項の引用規格のUpdateはコメントどおり採用された。但し、15027はISO規格として発行されている。
5.3項の荷重負荷方法の図示化については、その必要性が薄いとして採用されなかった。
5.5項の装着時の不快感の判定については、フィンランド等の賛成を受け、該当部分が削除された。但し、不快感の何らかの判定は必要との観点から、5.5.1項(Principle)の最後の部分がThe fit and comfort requirements are assessed by the test panel after questioning the test subjects.と変更された。
(2)その他のコメントについて
4.3.5項(Hooks)の最大径についてのオーストリアからのコメントについては、採用されなかったが、minimum diameter 12.5mmの表現が適切でないとされ、diameter at least 12.5mmに変更された。
Fig.3のボーラインノットの図については、賛否両論であったが、正式の図があれば、差し替えるとのコンベナーの意見により、適切な図を探すこととした。
EN1095との整合性については、まずISO規格案を固めることが先決として、今回は審議されなかった。
5.6 prENISO 12402−9(試験方法)の審議
前回のキティラ会議における審議結果をもとにコンベナーにより修正された原稿(N327:添付資料7)及び、パート9全体の構成変更及び浮遊性能等の新たな提案を含んだ米国提案(N332:添付資料8)に対する審議が行われた。
コンベナー提案(N327:添付資料7)を基本文書として、関連項目について、適宜米国提案を参照しながら審議が進められた。主な審議内容及び変更点は以下のとおり。
(1)全体構成について
被験者を使用する試験項目と使用しない試験項目を分離するとの米国提案が合意され、試験項日を、Mechanical property testsとHuman subject performance testの二つの枠に分類することにした。
(2)温度繰り返し試験(5.6)
N327(添付資料7)の各サイクル毎に胴衣を膨脹させて異状を確認する方法は、通常、自動運転で10サイクル実施している現状からみて実際的ではないため削除され、10サイクル終了時に確認すれば良いとされた(SOLAS規定と同様)。
(3)耐油試験(5.7)
SOLAS規定の24時間軽油に浸漬する方法と、EN規格に基づく真水+塩水+軽油のサイクルを合体させたコンベナー提案は、時間が掛かりすぎる(492H)との反対により、もとのSOLAS方法及びEN方法にもどした案として、次回コメントを求めることとした。
(4)再帰反射材の確認(5.12)
表題が適切でないとされ、Specification of retroreflective materialをCheck of retroreflective materialと変更した。
(5)表面色(5.13)
フィンランド提案のx,y座標について、フィンランドで使用されている救命胴衣及びイマーションスーツの表面色と比較した所、いずれも基準案の範囲に合致しないことが報告された。我が国でも型式承認品の一例を測定したが、同じく範囲に合致しないことを報告した(下地に浮力材を置いた場合、置かない場合のいずれについても)。現実に合わないことは問題であり、フィンランドは、その範囲について、再検討することとなった。
なお、黒色下地の問題については、試験方法の記述がTextileではなくSpecimenとなっているため、下地の色の影響を受ける場合は生地及び浮力材を一体としたSpecimenと仮定して測定すればとりあえず問題はないと考える。
(6)耐火試験(5.17)
コンベナー提案では、SOLAS規定によるオイルパン方法及びENに基づくニードル試験の両方を規定したが、採決の結果、SOLAS規定によるオイルパン方法で一本化することとした。さらに、現在のオイルパンでは、炎が小さすぎて胴衣全体をカバーしていないとの米国提案が合意され、現在の350×300mmから460×300mmに変更することとした。燃料はNヘプタン又はガソリンとされる予定。又、オイルパンの置く方向及び救命胴衣の移動方向について、米国UL担当者に確認した所、現在、我が国で実施している方法と同様であり、Fig. 11の図は、誤解を招くとの見解であった。
なお、ニードル試験の必要性について、フィンランド等北欧は固執しており、今後、再審議される可能性もある。
(7)被験者を使用する試験について
基本的に、米国提案(N332:添付資料8)が採用されることになったが、reference lifejacketの導入について、各クラス及び各体重別のreference lifejacketを早急に準備することが不可能等の実行上の問題があり、被験者の選別時に使用しても良い程度の表現で原案を作成することとした。従って、SOLAS救命胴衣の復正試験において、米国から提案されたreference lifejacketとの差が0.5秒を超えないとの判定基準は削除され、従来どおり5秒以内とされた。
但し、その他の部分は、米国提案(N332:添付資料8)の内容が取り入れられ、新たな復正試験内容としてShoulder roll, Leg release, Fall forwardの追加、又、ヘルプ姿勢安定性試験等が追加される。
被験者の構成については、SOLAS規定と同じ体格の6名を最小要件として、最大18名まで使用できることとした。
被験者の水中重量測定については、水中重量の範囲(2kg以下及び6.5kg以上の被験者を要求)が全世界的に適当かどうか(95パーセンタイルであると米国は主張)、また、事前に各被験者の水中重量がわかっていないと実行上、煩雑になる等の問題があると予想して導入に反対したが、他に反対した国は南アフリカのみで、他の国は、賛成又は保留としたため原案に採用されている。
5.22項に、小児マネキンを使用する場合の試験方法が規定されているが、これはBAMBI ProjectとしてEC向けに実施された成果(N300参照)から引用されたもので、小児用胴衣の場合は、レファレンス試験としての実施が推奨されている。
5.7 次回開催予定
平成15年5月から6月頃に、米国(Underwriters Laboratories)で開催される予定である。
5.8 ノルウェーの調査報告
N335(添付資料9)を元に、ノルウェー(Norwegian Maritime Directorate)のIvan Groeneng氏より、2001年から開始されている個人用救命器具に関する調査研究についての報告があった。現在、アンケート調査が終了し、性能要件の検討段階にあり、性能要件の考え方等について説明がなされた。最終的には、個人用救命設備(救命胴衣及びイマーションスーツの概念を統合したもの)の要件及び評価方法が検討される予定である。
5.9 テストハウスミーティング
合同委員会に先立ち、平成14年5月6日午前10:00よりテストハウスミーティングが開かれた。出席者は以下のとおり。
Joh Matthews(英国、Fleetwood offshore survival center、議長)
R. llmarinen(フィンランド、労働衛生省)
Rolf Popp(独、WGコンベナー)
Samuel E. Wehr(米国、USCG)
Ernest J. Kristein(米国、Underwriters Laboratories)
板垣 恒男(日本、製品安全評価センター)
前回、実施されたラウンドロビンテストの結果について、米国の復正試験結果(報告中)を除き、報告がなされた。その中で、浮力測定、口元距離は、試験機関間で、大きな差異はないが、復正試験の結果が食い違っていることが指摘され、その原因として、試験方法の規定が不十分なため、試験方法に違いがでている可能性が高いとされた。そのため、現在検討している新たな復正試験方法により、再度、試験を実施することが望ましいとされ、当所も再び参加することになった。今回は復正試験に加え、胴体角度、顔面角度の比較も計画される予定である。
以上
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