4.2.3 Reference Data Libraryの使用
STEPlibライブラリは、例えば設計のシステムや調達のシステムであるCADやSAPをカスタマイズするのに使える。時々、利用者はSTEPlibのサブセットだけを見ようとする、この様なケースでは、アスペクトの継承関係を維持する為にライブラリ全体を考慮するべきである。
ライブラリは他の標準と一緒に使われる。特にISO 10303(STEP)の一部になっている。STEPlibの拡張が必要になったり、あるいはサブセットの定義が必要になる場合には、STEPlib管理者と相談されることを推奨する。
STEPlibは、また設備のデータの保存と交換を標準化するのに用いられ、調達、建設、運転ならびに保全において用いられる。そのような場合には、そのプロジェクトにて財産やカタログや内部の標準を記述する共通の語彙や用語を定義するのに用いられる。そこでもし拡張が必要になったら、本報に記述されている要領で、プロジェクト固有の拡張をすることを推奨する。独自の拡張を行った場合には、STEPlibの拡張に関する一般的な事項のフィードバックを是非とも行って欲しい。
STEPlibを使用すると、簡単にデータベースにおいて、個別オブジェクトに関わる情報とオブジェクトクラスの情報とを(つまりP-10のデータと‘pump’クラスのデータ)分離できる。システムが個別プロパティとクラスのプロパティを区分する場合も同様である。またISO 103030−221及びISO 15926−2において、この区分が起きている。かかるデータベースに対しては、STEPlibをクラスのインスタンスの初期値として用いるのが容易である。その様なデータベースに対しては、データベースを使用するアプリが稼動する以前に、データベースにローディングするに当たってクラスのインスタンスの‘initial
fill’としてSTEPlibを用いるのが簡単である。
STEPlibのもう一つの使い方としては、独自形式から標準データ交換ファイルへ、もしくはその逆に変換するトランスレータプログラムによるデータのマッピングに対する共通の参照に関するものがある、従ってデータは独自のシステムに保存されていても構わず、標準ファイル形式でメール発信したり、取込んだり、送出したりできる。
STEPlibは、EDMS電子文書管理システムのインテリジェントなキーワード(語彙集)としても、技術図面や報告や設備文書の様な文書やファイルに対して利用される。STEPlibの正しい階層と明示的な他との関係の故に、ドキュメント検索は、非常に改善される。例えば、STEPlibは与えられたキーワードによる検索のみならず、与えられたキーワードのサブタイプによる検索が可能になる。
さらにSTEPlibは、標準部品やカタログ項目を、既存のクラスの更なる特殊化として、定義するのに用いられる。例えば、電線製造会社は、STEPlibを拡張して低電圧用電線と呼ばれる沢山のアスペクトによって定義される新しいクラスをつくる事ができる。(カタログに従って)提供される低電圧電線のいろんなタイプは、更に低電圧電線の特殊化である。これらの拡張は、STEPlibの一部になることはないが、STEPlibの拡張版として、潜在的な顧客に提供され、その顧客はSTEPlibとその拡張分をシステムに提供し、独自のソフトウェアや標準のSTEPlib
Browserを使って下位の階層にある製造者のカタログ項目を見つける。
4.2.3.1 Example usage: Validation of designs
個別のオブジェクトのクラス分けは、単純に、個別オブジェクトとSTEPlibの特定のクラスとの間のatomic関係を定義することで可能である(これは、典型的なユニークな識別子UIDの関係である)。
例えば、P−101は個別の物理オブジェクト(特定のインスタンス)である。それは、‘centrifugal
pump’としてクラス分けされ、‘centrifugal pump’はSTEPlibの物理オブジェクトの標準クラスである。標準クラスは、通常、定義を伴うコンセプトではなく、関連のあるコンセプトを伴うコンセプトである。その関係は、関連アスペクトに対する自由度を有し、‘cardinalities’(オカーレンスの最小もしくは最大数が許されている)によって、他のものとの間で定義されているクラスの‘well
formed’メンバーの共通アスペクトの定義に属するものである。
これは、図19に図示されている。
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図19 Explicit classification of an individual object
個別とクラスの明確な区分は、個別オブジェクトとは別に、クラスとそのビヘイビアに関する情報と知識を持つことを可能にする。これは、(メンバーとして識別されている)1ケのクラスに属する全てのオブジェクトが、そのクラスのメンバーに共通なプロパティとビヘイビアを持つようになっていることを意味している。
これは図20に示す様に設計の検証に使われる:Verification of a design.
もし1ケのオブジェクトがクラスに属する人によって区分けされていて、且つ個別オブジェクトのプロパティが分かっていれば、それらのプロパティは計算機のソフトウェアによってクラスのプロパティがオブジェクトがそのクラスの正しいメンバーか否かを判定できる。その個別に設計されたオブジェクトのアスペクトの質と量が図20に図示されている。
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図20 Verification of a design
4.2.3.2 Example usage: Creation of a template by allocation of properties to an individual.
もし1ケのオブジェクトが1ケのクラスに属する人によって区分されたなら、個別オブジェクトのプロパティは知ることができない(設計の開始時点で典型的である)。従ってクラスのプロパティは個別に対して‘allocated’される。
この手続きは、テンプレートの定義に匹敵する。何故ならばオブジェクトのクラスに関する知識が定義され、拡張され、エンハンスされると、その知識を使ったソフトウェアは自動的に拡張され改善された‘テンプレート’をクラス定義から導出するからである。
クラスのメンバーに共通なアスペクトに加えて、個別オブジェクトは、クラスの定義を離れて他の個別と分かち合わない、それ自体が付加的なプロパティを持っていることに注意のこと。
個別オブジェクトに対するアスペクトの配置は、図21に図示されている。
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図21 Allocation of properties to an individual
4.2.3.3 Automatic classification
クラスの他の使い方としては、自動的に、そのアスペクトが分かっているオブジェクトをクラス分けすることがある。これは、研究レベルでサンプルをクラス分けするのに適用する可能性がある。しかしながら、実際問題として通常はサンプルは特定の製品クラスを定義する仕様に対してテストされる。この事は、実際問題として自動クラス分けは殆ど利用されない事を意味する。しかしその代わりにクラスのクライテリアが合っているという検証は通常行われることである。
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