日本財団 図書館


4.2.2 STEPlibデータモデル
 ライブラリの構造は、図16に示されている基本概念に則っている。図16の構造は‘atomic’factのセマンティクスを記述している。atomic factは、初歩的な関係の構造を用いて表現される。図16の矢印は、初歩的な事実factを表しているセンテンスを読む方向を示している。
 ライブラリの何れの(atomic)factも、図16でrelation−1となっているオブジェクト間の関係でrelation−1、relation-2となっているもので表現されている。このオブジェクトは、夫々role−1、role−2と識別されて特定のロールを持つものである。オブジェクト、ロール、及び関係は、その意味を与えるkind of things(concept)によって、クラス分け(あるいは概念分け)される。それぞれの概念やkind of thingは、広義のコンセプトの特定化として定義されるものである。
 例えば、a specialization relation between classesという概念は次の様に定義される
−Relation-1は‘is a specialization of’と呼ばれて、relation between classesとしてクラス分けされ、これに2つのオブジェクトが関与する
−Object−1はロールrole−1を持ち、subtypeとしてrelation−1にクラス分けされる
−Object−2はロールrole−2を持ち、supertypeとしてrelation−1にクラス分けされる
−Object−1はクラスになる
−Object−2はクラスになる
 
(拡大画面:28KB)
図16 STEPlib Datamodel - Definition of Class of object
 
 STEPlibそれ自体に、これらのコンセプトは定義されている(TOPiniセクションを参照のこと)。
 
 本報で使われているコンセプトの定義は次の通り:
−‘Individual object’は、実際にまたは仮に個別の存在を持つものである。
 個別のものと識別されている‘P-1’、‘John’、‘the earth’といった全てのものは、’individual object’と定義されている。
−‘Class’ or ‘kind of thing’は全てのクラスに共通の性質である
 複数のものに対して共通の性質であるとされているものは、クラスと定義される。
 例えば、‘物理オブジェクトphysical object’、‘アスペクトaspect’、‘アクティビティactivity’、‘人person’、‘組織organization’などの概念は、‘個別クラスclass of individual’である。‘individual object’と呼ばれるコンセプトは、もっとも一般化されたこれらの概念のスーパータイプである。
−2つのクラス間の‘specialization’の関係は、サブタイプクラスのメンバーは共通してスーパータイプクラスのメンバーよりも多くのアスペクトを持っているという事実を表している。
 例えば、‘air cooler’と‘heat exchanger’との間の特殊な関係は、air coolerはheat exchangerの特殊な種類であるという事実を表している。
 個別のクラスの特殊化(specialisation of a class of individual)は、クラスのメンバーである個別のアスペクトに基づいていなければならない。
−STEPlibのUnique object id(UID)は、1ケのオブジェクトの識別子を表わす自然数である。それは、STEPlibの概念に則ってオブジェクトをユニークに識別するのに用いられる。STEPlibの如何なるオブジェクトも、文字列(名前、定義など)を除いて、そういったユニークな識別子を有している。
−‘identifier’は、オブジェクトの識別アスペクトを記述するのに用いられる文字列である。STEPlibの全てのクラスと個別は、識別子として最低英語の名前を持つ。
 STEPlibに関するものは、最低でも明示的なオブジェクトに対するユニークな名前を持っている。
−‘definition’は文字列であって、nameというオブジェクトを伴っている
−‘synonym’関係は、オブジェクトを識別もしくは定義する2つの文字列が同じオブジェクトに関連をもつことを指す。その文字列は、オブジェクトの名前を異なるコンテキストで表すことも可能である。
 Gellish関係の名前は、自然言語に近い関係型に対する名前である。これは、データ交換メッセージやSTEPlibでの関係を解読することを目論んでいる。
 多くの関係のタイプは、異なる類似語でもある、特に、例えばISO 10303−221やISO 15926−2といったいろんなデータモデルのエンティティ名称である。
 一例として、表2にGellishの場合とAP221の場合の関係型の比較を示す:
 
表2 関係型の比較
Gellishの関係型名 ISO 10303−221データモデルの関係型名
is part of Assembly of individual
Can be part of a common assembly of individual
has as role role of object
Can have a role as a common role of object
Is a synonym of Description of object by encoded information
is an abbreviation of  
is a code for  
Is a specialization of Specialization of class
 
 関係は次の様な種類に分けられる:
−Relations between individual objects. これは現実を記述する表現である。
一般的には、これらの関係は英語の“is・・・” or “has・・・”を伴って始まる
−Relations between classes. これは、通常一般的な知識を表わすものである。
一般的には、これらの関係は英語の“can・・・” or “is by definition・・・”(“is a specialization of”の関係は例外である)を伴って始まる。
−Relations between individuals and classes, 典型的なクラス分けの関係である。これは、個別である種類のものである。これは、ライブラリに含まれているクラスの知識が個別のオブジェクトに適用できることを意味する。
 
 図2は、オブジェクトに関する知識がどのようにしてGellish表現でSTEPlibに表わされているのかを示している。図2の10ケの関係型のそれぞれのインスタンスは、STEPlibのatomic factとして表わされている。
 クラスに関する知識は、そのクラスが概念的にアスペクトを持つ仲間を含んでいる。それらのアスペクトの特定の証の値が自由であったとしてものことである。
 例えば、材料は質量を持ち、自動車はカラーを持つという事実(1)は、実際の知識であり、クラスとアスペクトのコンセプトとの間の関係として表現されている。
 もっと特殊化されたクラス(4)は、確かであるとされなければならないアスペクトを持っている。例えば、‘red car’は、‘red’と定義される(3)。‘red’の様な共通の値を持つプロパティは、プロパティのコンセプトの証である(つまり、‘red’は‘color’である(2)という)。幾つかのもっと特殊化されたクラスは、コンセプトに属する幾つかのオプションのサブセットを含むプロパティ値を持つことが出来る。例えば、RGBの信号は、赤、緑、青のカラー(6)だけを持っている。そういった分野はプロパティ値のクラス(5)として幾つかのプロパティ値で定義される。
 クラスは個別のオブジェクト(7)を区分けするのに用いられる。プロパティのコンセプトが個別のアスペクト((8)を区分けするのに用いられる。共通の値を持つプロパティは個別のオブジェクト(10)の個別のプロパティ(9)を査定するのに用いられる。プロパティ以外の他のアスペクトは同じ要領で扱われる。
 
(拡大画面:61KB)
図17 Properties of objects
 
 STEPlibに用いられている関係型の別名やデータモデルにおけるsynonym名の例を以下にあげる:
 
Gellishの関係型名 データモデルの関係型名
can have as property a Conceptual possession of kind of property by object
has property Possession of property by object
is classified as Classification of individual object
can be a role of a Common role for member of class
can be a role for Common role for object in activity
is role of role for individual object
can be involved in a Common involvement of object in activity
can be performer of a Common capability of object to perform kind of activity
 
 この種の関係型の使用例を以下に示す:
centrifugal pump
centrifugal pump
impeller
driven end bearing
bearing driven end
impeller
is a specialization of
is defined as a
can be part of a

can be a role of a
is a synonym of
can have as property a
pump
pump which applies the centrifugal principle
centrifugal pump
bearing
driven end bearing
diameter
 設備の多くのオブジェクトは、公的または非公的な標準機関によって公表されているISO、ASTM、DIN,BSIといった標準部品に匹敵するアイテムによって構成されている。これらの標準部品は部品の型を定義している訳で、それは特定のクラスを定義しているのに等しい。STEPlibはそれらの標準の中身を別の形で取り込んでいる。
 自分の会社特有のカタログ項目若しくは会社内部の標準はSTEPlibに定義されたクラスをより詳細化したものである。自分の会社の製品は、STEPlibにクラスを定義するのに用いたのと同じ要領で、STEPlibを詳細化すればよい。
 STEPlibは、十分なオブジェクトのクラス、性状のクラス及び会社がカタログを作るのに必要なその他の事項の定義セットを提供する事を意図する。
 Gellishは、また電子保存、それらの標準やカタログ項目更にはそれらの製品構成の交換に適している。それらの項目をGellishで表現すると、利用者は電子的に検索し項目を選ぶことができ、その詳細を、それが正当に許されていれば、電子的にカタログから複写して、自分達の設計や保守システムに取り込むことが出来る。
 オブジェクトは、アクティビティに対してロールを持つ。STEPlibは物理オブジェクトのクラスやロール(=存在に含まれる方法で)のクラスや存在(=アクティビティ、プロセス及びイヴェント)のクラスの定義を含んでいる。
 存在の類として知られているロールの類と同じように、オブジェクトの類が成すロールの類は、は又ライブラリに包含されている。
 そのモデルが図18に示されている;
 
(拡大画面:19KB)
図18 Roles of Objects in Activities
 
 アクティブな物理オブジェクトの別の例を以下に示す:
batch of fluid
batch of fluid
batch of fluid
distillation
feed
top product
bottom product
feed
top product
bottom product
batch of fluid
pumped
can have a role as a
can have a role as a
can have a role as a
is a specialization of
is a specialization of
is a specialization of
is a specialization of
can be a role for
can be a role for
can be a role for
can have a role as
can be a role for
feed
top product
bottom product
process
input
output
output
distillation
distillation
distillation
pumped
pumping (to pump)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION