4.2 STEPlib/RDLの詳細
STEPlib libraryは、ISO 10303(STEP)AP221 のAnnex M及びISO
15926−4で規定されている産業標準の拡張である。STEPlibは、設備や装置を完全にあるいは概略定義するのに用いるものである。これらのものは、あらゆる産業に存在していて、特にプロセスプラントや電力プラントなどで関連要素も含めたものが対象になり、コンピュータシステムのデータベースに保存したりシステム間でデータ交換をするのに適している。
Libraryは、あらゆる種類のオブジェクト(他のオブジェクトの一部も含む)を定義することができる。そのオブジェクトとは設備や出来事(作業、プロセス及びイベント)、装置やプロセス原料を記述するのに必要なものであり、それは基本的に、‘classes
of physical objects’の形とその目的と挙動、並びに、‘classes of aspects of objects’とその関係である。それらのクラス定義は、物理オブジェクトの全ライフサイクルを、設計とエンジニアリングから据付と運転や保守を経て廃却に至るまで、カバーする。Libraryはオブジェクト型(他のオブジェクトの一部も含んで)を定義するもので、設備や出来事(activities、processes、events)や装置やプロセスや原料を完全に記述するもので、基本的には’class
of physical object’とその目的やビヘイビアー、更には‘class of aspect of object’とその関係などである。
STEPlibの‘object’は、‘anything’の同義語であり、物理オブジェクトから抽象物、及び物や関係も含むものであることに注意のこと。通常はオブジェクトという言葉は、物理オブジェクトの同義語として使われるのだが、ここではそうではない。
STEPlibは複数の部分から構成される。各々の部分は階層的な標準インスタンスから成っていて、それらのインスタンス間の標準的な関係や関連を伴う。
構成部分の例としては;
−Classes of physical objectsは、装置と流体並びに設備の要素を定義する標準の参照データを成すものである。
Classes of physical objectの集まりは、さらに小さな範囲に分割される。
対象とする例としては、設備、建家、システム、プロセスユニット、静的あるいは動的な回転装置、配管、計装制御、電気、土木、構造体、運搬、情報技術、信号およびそれらの要素がある。
ここでは‘要素component’とは、‘whole’のロールをもつ他のオブジェクトに対して‘part’のロールを持つオブジェクト又はオブジェクトのクラスの意味で使っている。
‘part’と‘whole’は、相互に構成関係を持つ2つのオブジェクトのロールである。
また、geographic objects, organisations, lifeforms更にはdocumentsや図面のsymbolsのクラスも含まれる。
−物理オブジェクトのClasses of aspects、例えば、性状property、品質quality、状態state、プロセス原料や原料の成分、あるいは言語やデータ形式といった情報を解釈する方法のクラス
−Classes of roles、オブジェクトが関係relationshipsと出来事occurrencesにて使われる
−Classes of occurrences、プロセスprocesses、イベントevents及び行動activitiesを含む、原則として動詞である。
−Classes of information and encoding、メディアに記録されるもの
−Classes of scales(Units of measure)、性状propertyを数値にするのに使う
−Classes of relationships、‘objects’間の関係、この種の関係は、Gellish言語のセマンティックを決める。‘object’に関するものを表現する為に使われる概念や意味を形成する。
−Relations between classes、クラスのメンバー間で共通なknowledgeを記述するもの。例えば、オブジェクトの標準構成及び標準特性。これには、specialization/generalizationの関係、組立や分解と接続の関係、物理オブジェクトクラスとそのアスペクト間のプロパティを維持する関係が含まれる。
完全かつ適合しているこれらのクラスの集まりは、標準的な文法、Gellish言語の辞書、更にはSTEPlibに蓄えられた知識を成す。
同時に、これは設備、装置、それらの設計や調達、運転や保全に関して、計算機を用いて通信するのに用いられる。
STEPlib/Gellishはパブリックドメイン扱いであり、無料で使える。それは、意図的に産業に適用すれば、短絡的な利用は許されないが、高い品質を得ることが可能である。ライブラリを利用する人達は、自分達のためになることなので、もし不満や正確でないことがあったら、拡張とエンハンスを是非申し出ていただきたい。
STEPlibライブラリの正式の‘master copy’は、電子的に文書化されて配布されている。版数は電子ファイルの最新の修正日付を用いている、それ以外には何もない。
STEPlibライブラリのある版は、ISO 10303(STEP)Part 221(AP221)の正式の項目として公表されることになっている。その標準が公表された後で、追加が発生した場合には、実務上でSTEPlibの拡張がなされる。それらの拡張されたものは、後でAP221に取り込まれていくことになる。
本報では、STEPlibやGellish言語を拡張する方法論を扱う。Gellishメッセージを交換するためのGellish
Table Format(GTF format)は、“The Gellish Table Format”に述べられている。システム間でのデータ交換にGellish言語を使うアプリケーションについては、“The
Gellish Application Manual”に述べられている。
|