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<《「十五」国家科学技術研究計画実施要綱》の公布についての通知>
国科発計字[2001]453号
 各省、自治区、直轄市、計画独立編成都市の科学技術庁(科委、科技局)、新疆生産建設兵団科委、国務院関係部門科技司、関係単位:
 国家科学技術研究計画は国民経済建設に向け、国民経済の建設と社会発展の中で生じる重大な科学技術の問題を重点的に解決するもので、国家科学技術計画体系の重要な部分である。
 1982年の実施から現在まで、すでに我が国の伝統産業の技術改良と転換、新興産業の形成、社会の持続的発展及び科学技術の実力と自主的なイノベーション能力の向上などに大きく貢献している。党の十五期五中全会の主旨を貫徹・施行し、国民経済と社会発展の新しい情勢と要求に適応し、「十五」期間の国家科学技術研究計画の位置付け、目標、任務に明確にするため、《国家国民経済と社会発展の第10次5ヶ年計画科学技術教育発展専営事項企画(科学技術発展企画)》に基づき、関係部門、地方及び各界の意見を広範に求めた上で、《「十五」国家科学技術研究計画実施要綱》を制定した。
 《「十五」国家科学技術研究計画実施要綱》を、ここに公布し、現状に則して貫徹・施行するよう求める。
 
2001年11月13日
 
 「十五」国家科学技術研究計画実施要綱
 国家科学技術研究計画(以下、「研究計画」と略す)は、国家科学技術計画体系の重要な部分である。「十五」期間における研究計画の位置付けを更に明確化し、重点化し、改革を深化し、管理を強化し、国民経済構造の戦略的調整に科学技術支援を提供する。
 
一 位置付け
 「十五」研究計画は、国民経済建設に向け、国民経済建設と社会の持続的発展という重大な要求から出発し、産業技術の転換促進と社会公益性のための重大な技術問題の解決を目標に、重大なキーとなる基盤技術の突破、導入技術のイノベーション、高度新技術の応用を通じて産業構造の調整、社会の持続的発展及び人民の生活レベル向上に技術支援を提供する。
 
二 目標と任務
(一)全体的目標
 当面の国民経済と社会の発展において、解決を迫られている重大な科学技術の問題に対して、産業技術の転換、調整を大いに先導する役割を果たし、社会の持続的発展を顕著に促進する役割を果たす鍵となる技術と基盤技術を集中して研究し、農工業生産に進んだ新技術、新材料、新プロセス、新装備を提供し、高度新技術の応用と産業化を加速させ、重点産業の国際競争力と人民の生活レベルを高める。「十五」研究計画の実施を通じて、中堅となる高水準の科学技術グループを育成し、国際的地位のある技術イノベーション基地を作る。
 農業技術進歩の促進、農民収入の増加に顕著な役割を果たす重大な鍵となる技術を重点的に研究し、2005年までに我が国農業科学技術の全体的レベルと国際的先進レベルとの格差を5年短縮し、一部の分野は国際的先進レベルに到達させる。
 産業転換への先導性、影響が大きく、関連が高い鍵となる技術及び付随する集積技術を重点的に研究し、2005年までに我が国の情報産業、装備製造業、基盤工業など若干の重点産業分野の全体的技術、設備レベルを20世紀90年代中期の先進国レベルに、一部の大・中型企業又は企業集団の全体的技術レベルを世界の先進レベルに到達させ、重点産業の国際競争力を高める。
 人口、資源、環境の調整と発展及び国家の安全に深く関係する重大な鍵となる技術を研究し、我が国社会の持続的発展能力と国家安全保障能力を著しく向上させ、人民の生活の質を大いに改善する。
 研究計画の実施により、企業が技術イノベーションの主体となることを促進し、中堅となる研究グループを育成し、国際的地位のある技術イノベーション基地を作る。
 
(二)重点任務
1 農産物の高度加工を始め、主要農作物の良質化・高能率生産、家畜・家禽の規模を拡大した養殖、砂防、動植物への重大病虫害の予防、農業生物資源の高能率利用、生態農業などの重点面で、農業の持続的発展に差し迫って必要な鍵となる技術と製品を研究し、農業生産の全過程での技術レベルをアップし、農業構造を改善し、農業品質、利益及び農産物の市場競争力を向上させる。
2 製造業を突破口に、基盤産業及び支柱産業の鍵となる共通技術の開発を強化し、伝統産業への情報技術などの高度新技術の応用を加速化し、数値制御、工程自動化など鍵となる共通技術を重点的に研究し、産業技術レベルを大幅に向上させる。工程への応用技術の研究を強化し、クリーンエネルギー、インテリジェント交通、紡績品の処理などの技術、設備を開発し、製品の付加価値及びプラント設備の技術と国産化を向上させる。
3 金融情報化を重点とし、情報など高度な新技術及び産業の発展を加速化し、国民経済の情報化に技術支援を提供する。計算機のネットワーク、電子ビジネス、情報のセキュリティー、教育ネットワークなど情報分野で鍵となる技術及び関連製品の開発と応用を重点的に促し、我が国ソフトウェア産業の発展を促進し、情報技術の自主開発能力及び応用レベルを向上させる。
4 環境保護と資源の合理的利用を重点とし、都市環境への汚染抑制に大きな役割を果たす鍵となる技術を研究し水資源の合理的利用と区域生態保護技術の開発とモデル化を推進し、大型油田、緊急の戦略的固体鉱物資源探査及び技術開発研究を強化し、防災体系の技術を作り、社会の持続的発展を促進する。
5 漢方薬の現代化を突破口に、漢方薬産業の鍵となる技術を研究し、我が国の漢方薬産業の国際的リードを確保する。新しい薬物の開発を強化し、重大な病の総合的予防技術及び鍵となる機器を研究し、生物医学の工程を前向きに発展させ、医薬及び関連産業の発展を先導する。
6 社会事業の発展促進を目標に、当面、工事生産の安全と住宅環境、教育・文化、社会保障など生活の質に対する人民大衆の要求に応じるとともに、重大な社会公益性のある技術の研究を強化し、先進的技術と製品を開発し、人民生活の質を更に改善する。技術基準と計測・測定の研究を強化し、我が国の技術基準体系の形成を促進する。
7 国家西部大開発戦略の実施に伴い、西部地区の生態環境を保護したうえで、特色ある優位な資源、特色ある産業開発及び西部の科学技術情報体系などを合同で研究し、西部の生態環境保護と経済建設の調和的発展を促進する。
 
三 計画の構成
 「十五」研究計画は、重大プロジェクト、重点プロジェクト、導入プロジェクトの三部分から構成されているが、関連の行動も同時に実施する。
 
1 重大プロジェクト
 重大プロジェクトは、国家目標を高度に反映し、国民経済の建設と社会発展に最も差し迫った重大な問題から出発しており、イノベーションが際立ち、技術の超越を実現することを手段に集積した技術のイノベーション、新製品の開発、新産業の樹立を目標に、60%以上の科学研究経費を集中・重点化し、部門、地方、企業の積極性を十分に発揮させ、全国の科学技術力を統合して選択・実施し、努めて短い時間に重大な技術の突破と産業化を行う。重大プロジェクト選択の原則は、次の通り。
(1)国家目標と深く関係し、国家の発展戦略と重大工事・建設の需要に対応すること
(2)産業技術の転換、新興産業の形成と社会の持続的発展に対し先導性が大きいこと
(3)目標が明確で、課題が集中しており、技術が優れていること
(4)発展の基礎がしっかりしていて強く保障されており、産学研合同で、三年以内にプロジェクトの目標を達成できること
 
2 重点プロジェクト
 重点プロジェクトでは、重点的研究により、当該産業・分野において重大プロジェクトではなされない鍵となる技術及び地域経済・社会の発展に重大な役割を果たす共通技術を優先的に発展させる。重点プロジェクト選択の原則は、次の通り。
(1)国家の産業発展目標に合致し、技術面で一定の先進性があること
(2)応用・発展の見通しが明るく、市場の需要が差し迫っていること
(3)プロジェクトの目標が集中、明確化しており、鍵となる技術が明らかであること
(4)既存の基礎が強く、1〜3年以内に予定した目標を達成できること
 
3 導入プロジェクト
 導入プロジェクトは、研究の方向と条件が合致しており、地方の主要産業・社会の持続的発展に対して先導役割を果たし、又は、地方の科学技術のイノベーション能力を向上させる地方の重大プロジェクトを研究計画として取り上げ実施する。導入プロジェクトの実施経費は、地方と企業の自己調達を主とする。
 
4 関連の行動
 関連の行動は重大プロジェクト、重点プロジェクトなどを実施する鍵となる措置である。
主な任務は、研究目標と直接関連するモデル基地の建設、産業基地の建設、技術センターの建設、関係する基本業務及び相応の人材育成である。研究計画と深く関係する評価、予測及び重大な戦略研究を展開する。研究計画その他の科学技術計画(業務)と調和して運営される友好的な関係をつくる。研究計画の情報、成果、資源の共有などを含む。
 
四 経費構成
 「十五」期間では、研究計画に対する中央及び地方財政による投資を更に増加させる。強化された政府投資の基礎の上で、企業投資を主体に、多くのルート・次元の科学技術投資の体系を徐々に構成していく。市場メカニズムと政策により、企業の研究計画への投資増加を促し、研究計画の投資主体となるようにする。同時に、研究計画への社会からの投資を積極的に吸収し、各種商業銀行、投資基金、その他の基金の支持を拡大し、非政府機関の投資比率を研究計画の経費総投資の50%以上にする。
 
五 管理措置
 研究計画の管理は、継承をもとに、「規範、連動、簡単、透明」という原則に従い、意思決定、実施、監督を分離し、各自が責任を負う。管理レベルと管理能率を協調して向上させる。
 
1 連動メカニズムを完備し、監督を強化する
 連動した立案メカニズムを採用する。プロジェクトの実行期間は、一般的に三年を超えてはならず、各年の実施プロジェクトがそれぞれ一定の比例を占める。仲介機構を管理に参画させ、プロジェクト運営過程への監督を強化し、国家の要求、市場の変化と実行状況に即応して、計画内容、プロジェクト目標、経費交付をタイミングよく調整する。
 
2 管理項目を減少させ、分類管理を実施する
 管理段階と管理項目を減少させ、プロジェクトごとにプロジェクトと課題という二つの管理項目のみを設定する。
 重大プロジエクトは、プロジェクト管理グループと専門家グループを結成し、統一的に企画し、全体的に設計したうえで、プロジェクト別に実施する。
 重点プロジェクトはプロジェクトごとの特徴と要求に沿って、関係する業種部門、関係する地方又はプロジェクトを先導する単位などに管理を個別に委託する。導入プロジェクトはプロジェクト所在の地方科技庁(科委)に管理を委託する。
 
3 産学研の連携を行いつつ、企業は主体性を十分に発揮する
 総合大学、単科大学、科学研究機構と企業が研究プロジェクトを合同で担当することを優先的に支持し、企業がプロジェクトの技術開発と産業化に参画する割合をプロジェクトの重要な考慮事項とする。産業化、工程化の割合の高い重点プロジェクトでは企業を実施主体とすること。
 
4 入札、入札募集に力を入れ、管理の公開と透明性を増加させる
 力を尽くして入札、入札募集制度を推進し、公開、公正、公平な競争手段により課題の担当単位を選択し、科学技術資源の配置を改善し、科学技術経費の使用効率を向上させる。
 
5 知的財産権の管理を強化し、特許戦略を前向きに実施する
 特許戦略としては、プロジェクトの立案には必要な特許など知的財産権の分析と評価が強調されるが、プロジェクトの実施には自主的なイノベーションによる知的財産権、特に発明特許の取得が強調される。取得した研究成果を支持し、国内外の特許を遅滞なく申請し、知的財産権の管理を研究計画管理業務の全過程に取り入れる。
 
6 課題を徐々に実行する
 プロジェクト経費の予算・決算の管理を強化する。条件を満たしているプロジェクトを選択し、課題を徐々に実行していく。
 
(参考)国家重点科学技術研究プロジェクトへの国の主な支援策
(1)新しい知的所有権保護制度の制定、公布。
 2000年、2001年に《特許法》、《特許法実施細則》、《商標法》、《著作権法》、《計算機ソフト保護条例》などの法規を改正、《集積回路図設計保護条例》、《商標法実施細則》、《著作権法実施細則》、《薬品管理法実施規則》などを制定。
(2)重点科学技術研究プロジェクトに対する研究、開発投資の増加
 国家科学技術研究プロジェクトは、「第9次5ヶ年計画」の期間に、「目標を目指し、重点化を図り、集中を強化する」という原則に従い、農業、電子情報、エネルギー、交通、材料、資源探査、環境保護、医薬衛生及び防災・災害減少などの分野で、全部で251のプロジェクト、5,100余りのテーマに対し、中央財政から53億元(約790億円)を、地方財政と各単位の自己資金との合計では176億元(約2,600億円)を投資した。そのうち、工業高度新技術分野では、182のプロジェクト、2,300余りのテーマに対し、中央財政から41億元(約600億円)を投資している。
(3)技術研究開発及びハイテク企業の経営・管理人材の育成。ハイテク分野の海外留学人員を国内へ引き付け創業させる。
(4)ベンチャー投資の保護法令を作り、ベンチャー投資の発展を促進する。
(5)特定の産業分野、製品については税収優遇政策を実施。所得税優遇の重点を企業化が奨励される研究開発投資及びハイテク企業のベンチャー投資におく。







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