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四、「十五」発展の重点
(一)製品と技術の発展
 船舶工業の製品構造は、市場の需給構造に適応していなけれはならない。製品開発の方向性は、市場の需給と船舶技術の発展方向と一致しなければならない。「十五」期間中に国際的な先進造船技術のレベルに追いつき、造船市場におけるシェアを世界の16%にするという目標を中心に、一般船の最適化に力をいれ、ハイテク、高付加価値船、、中国で建造経験のない船のコア技術に対する研究と開発を加速する。同時に、製品の品質と生産効率の向上、生産のコストダウン、建造周期の短縮などの目標を中心に、先進的な製造技術の応用研究を大いに展開する。建造方式の転換にあわせ、一部の重要な製造技術を重点的に突破し、海外先進造船国との設計、製造、管理、建造周期、品質、経済効果などにおける格差を縮め、業界全体の体質と技術レベルをアップし競争力と持続可能な発展能力を強化する。
 
1. ハイテク、高付加価値船の開発とコア技術に対する研究
 市場ポテンシャルが良い新型船舶(海洋プロジェクトを含む)を選出し、全体的、総合的技術とコアの設計技術の開発を展開する。超大型タンカー、大型液化天然ガス(LNG)船、超大型コンテナ船、高速RO/RO船(旅客RO/RO船を含む)、次世代化学薬品運搬船、新型多機能式半潜水式石油掘削用プラットフォーム、新型FPSOなどである。
 
2. 一般船の最適化
 既存の優位なブランド製品を基に、常にシリーズ化、標準化されたばら積船、油槽船その他の一般船舶を開発し、船型データを揃え、一般船舶の建造レベル・品質をアップする。
 重点的に改善、最適化する船型には、パナマックス型ばら積船、ハンディ型ばら積船、ケープサイズ型ばら積船、アフラ型油槽船、スエズ型油槽船と多目的貨物船などがある。
 
3. 重要舶用製品の開発・改良
 主に舶用エンジン、舶用特殊補機、船用自動化設備などである。大出力の低速ディーゼル機関、新型中速ディーゼル機関と大型低速ディーゼル機関のクランクなど重要部品の設計、製造技術の課題を重点的に解決し国産化を実現する。
 
4. 船舶製造のコア技術とプロセス装備に対する研究開発
 主に船体−内装−塗装一体化建造技術、船舶の高効率溶接技術と設備、船舶のモジュール建造技術、船舶用CIMの開発と応用などである。
 
5. 船舶基礎共通技術に対する研究開発
 主に次世代船舶の耐候性能も設計技術、大型船舶、新型船舶の構造分析と設計技術、プロジェクト管理の基礎技術などである。
 
(二)構造調整の主な内容
 
1. 施設の建設に対する管理を強化し、経済成長の転換に努める
 低レベルの新造船用、修繕船用施設の重複建設を早急に阻止し、施設の稼働率を向上させる。主な調整方法は在庫調整とし、既存のドック、船台施設を基に技術関連設備の近代化に向けた改造を重点的に行い、生産設備の技術レベルを向上し、内容を重視した発展を進め、建造能力の拡大と船舶工業の質の向上を実現する。
 
2. 企業の戦略的再編を推進し、大企業グループの発展戦略を積極的に実施する
 規模の経済の優位性を発揮して全体の競争力を強化し、船舶工業集団、船舶重工集団という2つの超大手企業グループが国際的に一流の造船グループに発展することを重点的に支持する。企業間の投資、提携、合併、委託など多様な形で再編を実施することを奨励する。大規模化、専門化の方向で戦略的再編と企業の経営再建を結合し、中小企業専業化の発展とあわせて、造船資源の大手企業への集中を推進し、社会化と専門化を互いに協調させ資産増加のレバレージ効果を図る。船舶工業集団、船舶重工集団という2つの集団公司に加え、既存の優良企業をもとに3〜4社の大手優良企業を重点的に育成する。
 
3. 中小企業の発展を積極的に指導し、分業・専門化と協力体系を確立する
 資産、ブランド、技術、製品などの関係を利用して大手企業・大手グループが一部の中小企業を吸収し、中小企業を大手企業・大手グループの専門的なサポート体系に編入することを奨励する。中小企業は全面的に小さくて弱いという混乱状況を変え、中小企業は小さくても精鋭、小さくても専門的、小さくても優良、小さくても特徴があるという方向性に発展させる。船舶工業を大手、中堅、中小の新造・修繕施設が揃い、大手、中堅、中小が協調して発展し、構造と分業が合理的で構造が最適化した産業組織体系を形成する。
 
4. 造船を重点とすると同時に、船舶修繕と船舶関連設備も大いに発展させる
 製造関連設備の技術導入、消化、吸収を加速し、関連企業の専門化、高レベル化への発展を促進する。
 
5. 市場メカニズムに従い立ち遅れた企業を淘汰する
 船舶工業における一部の企業、特に一部の関連設備の企業は、長い間に技術的に遅れ、設備が老朽化し、設備レベルが低下し、負債は重く、すぐには市場競争に適応できない。
そこで市場メカニズムを充分に発揮して「十五」期間中に合併、再編、破産などにより駄目な企業を淘汰し企業の合計数を2割ほど引き下げる。
 
6. 3つの優位な地域の船舶工業を優先的に発展
 3つの優位な地域とは、上海を中心とする長江デルタ地域(江蘇・浙江を含む)、大連を中心とする環渤海地域、広州を中心とする華南地域(広東、広西、福建)である。3大造船地域は、主に遠洋、沿岸用船舶を製造する。航路の状況とその他の条件を考慮して、河川沿いに六万トン級以上のドック・船台施設を建設することを規制する。船舶修繕施設の分布は、海運業の発展の速度と港の規模に対応しなければならない。
 
7. 全国的視野から船舶関連体系を考え、地域またはグループ内で「大きくても全部やる、小さくても全部やる」ということを防ぎ、閉鎖的重複的な小体系の出現を防止する。
 
(三)固定資産投資の重点
1. 指導思想と原則
 船舶工業の発展目標と構造調整の重点内容に従い「十五」期間における固定資産の投資プロジェクトに対する指導原則を次の通りとする。
 国際競争力をアップすることを目標に、経済効果を中心に、先進的な技術・プロセスと近代的管理技術を採用することを主な内容とする。業界中堅企業を中心に戦略的な調整と再編を実施し、内容を重視した発展を堅持する。建造能力の拡大方式は、施設の増加に依存する方法から技術進歩、技術改良により生産効率・技術レベルの向上を図る方法に転換する。船舶関連企業の技術改良を更に重視する。新しく増加した資源が既存資源を動かす働きを重視し、能力構造と技術構造の最適化を促進し、船舶工業を二十一世紀初頭に振興するための物質的と技術的基礎を固める。
 具体的な原則は、次のとおり。
(1)国際競争力のある重点企業で建設中の「九五」プロジェクトを優先し、できるだけ早く生産能力を実現し国際競争に参入する。
(2)「十五」目標の実現に重大な影響を与える新造、修繕、関連中堅企業の固定資産投資プロジェクトを優先する。
(3)業績の良い中小造船所、船舶修繕企業、関連企業を対象に、積極的に投資を行い、製品のグレードアップと市場競争力の向上を促進する。
(4)低いレベルの新造、修繕施設の重複建設を断固阻止する。
 
2. 建設規模
 「十五」期間中は、主に技術改良、効率向上により造船能力(建設中のプロジェクトを含む)を約350万重量トン増加させる。2005年の中国の造船能力は、850万〜900万重量トンに拡大される。
 造船発展計画によると「十五」期間中の舶用ディーゼル機関の製造能力は約70万キロワット不足する。技術改艮により既存の低速ディーゼル機関工場の生産能力を充分に拡大することに加え、小数の中堅企業を重点的に支持し、基本建設プロジェクトヘの投資を行う。
 「十五」期間における固定資産投資の初期計画は、総投資の規模を210億人民元としている。うち、建設投資は108億人民元(銀行融資51億人民元、自社資金57億人民元)、技術改良投資は102億人民元(銀行融資60億人民元、自社資金42億人民元)である。
 
3. 「十五」期間の重点プロジェクト
 「十五」発展目標の実現を確保するため次のような重点プロジェクトを計画、実施する。
(1)造船
 上海外高橋造船基地の第一期プロジェクトの建設と第二期プロジェクト。大連新廠、大連造船所、江南造船集団、東造船集団における導入された国家重大技術の消化、吸収、革新一本化プロジェクトを実施する。
 福建省泉州闘尾大型船舶造修工場、江蘇靖江で新規に建設する10万トン級のドックとその関連プロジェクト、青島海西湾船舶造修工場第一期プロジェクト、浙江舟山長峙造修プロジェクトに対するフィージビリティー・スタディーを重点に実施する。
(2)船舶修繕
 広西防城港船舶修繕プロジェクト、寧波崙港船舶修繕プロジェクトに対するフィージビリティー・スタディーを重点的に実施する。
(3)船用設備
 大連船用ディーゼル機関、大連船用プロペラ廠、大連舶用バルブ廠への国家重大技術の導入、消化、吸収、革新一本化プロジェクト、武漢船用機械廠、正茂集団有限責任公司、安慶船用ディーゼル機関廠の「国債」プロジェクト、東重機株式有限公司船用ディーゼル機関生産ライン技術改造プロジェクトを実施する。
 大出力舶用低速ディーゼル機関、新型中速、高速舶用ディーゼル機関、舶用補機、舶用自動化設備などを重点に技術レベルをアップする。重要部品の国産化に関する技術改良プロジェクトに対し、フィージビリティー・スタディーを実施する。大出力舶用低速ディーゼル機関のクランク・シャフトのプロジェクトを重点的に支持し、国産化を実現できるように努める。







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