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五、主要な措置
(一)大企業、大集団戦略の実施を重点に、構造調整を推進、企業再編を促進する
 高度に国際化された船舶市場で大企業グループは、市場競争の中で明らかな優位に立っている。世界のトップテンの大企業グループで今の世界船舶市場シェアの約半分を占めており、近年、国際船舶市場の独占は、更に拡大される傾向がある。中国造船業の小規模に分散した産業構造では、益々海外先進造船国の大企業、大集団との競争に適応できなくなる。現在、旧中国船舶工業総公司に基づき、二大企業グループが設立されている。これを契機に大企業グループを成長させ、社会主義市場経済体制の要求に合致し、国際競争に適応する超大手企業グループにつくりあげる。同時に、業界全体の構造の最適化に向けた調整を政府と市場という二つの力で推進する。地域、業界、所有制などに拘らず、規模化と専門化を基本に、様々な形で企業を再編することを奨励、支持する。
 政府は、特に、客観的条件により制限されている一部の将来性のない河川沿いの造船企業に対し船舶関連の専門企業に変身することを奨励する。合弁、再編、提携など多様な方式で下流、沿海にある既存造船施設を充分に利用し、組み立て工場或いは船舶引渡基地とする。政府は、多くの地域、多くの部門に跨る再編と専門化に向けた改編に対し協調と政策上の支持を提供する。
 M&Aを奨励、破産を規則化することは、政府が構造調整と企業の戦略的な再編を推進するうえで重要な政策である。この措置と船舶企業が大集団への発展戦略を促進することが結合しなければならない。大手船舶企業が中小企業を買収、合併、管理することで、既存資源を統廃合し、競争力を強化することを奨励する。少数の経営再建できない企業に対し、法律に従い、清算し、赤字企業を根本から消滅させる。引き続き船舶企業の「債権を株式に転換」することを推進し、この政策を充分に利用して、企業の経営転換を加速する。
 企業改革を推進し、積極的に多様な共有制を模索し、会社化への改革と現代企業制度を実施することを重点に、船舶企業の投資者の多様化への転換を奨励する。企業改革と調整、再編を組み合わせ、業界全体を推進する。
 
(二)技術で船舶工業を振興する戦略を実施 技術体制改革を深化 技術投資を強化 できるだけ早く先進レベルとの格差を縮める
 科学技術体制の改革を更に深化し、船舶工業の技術革新メカニズムを確立、完全にする。企業と大学、研究機構の連携と協力を強化し、互いの優勢を利用し、利益共有という原則に従い、双務、多角的な提携メカニズムを確立する。一部の研究院、研究所が直接に重点造船所、船舶修理企業(集団)に入ることを奨励する。同時に、実力と製品に優れる研究院、研究所が技術型企業に変身することを支持することで船舶業界の技術革新能力を強化する。大手船舶企業が技術センターを設立することを支持することで企業の技術革新機能を強化する。技術仲介サービス機構を大いに発展させ、船舶技術の成果の実用化と産業化に広範なサービスを提供する。企業または研究院、研究所が積極的に国際技術協力を展開し、共同で製品開発と先進的な製造技術に対する研究を行うことを奨励する。
 多様なルートと手段で資金を調達し、技術投資を強化し、技術進歩の加速に必要な資金源を確保する。
 ハイテクで造船所を改造することを大いに強化し、新技術、新プロセスとコンピュータの普及と応用を加速し、できるだけ早く海外先進造船技術との格差を縮め、生産効率を大幅に向上し建造速度を加速する。「十五」期間は技術改良の強化を特に重視しなければならない。長い間、企業全体の規模・能力の向上を制限し、建造レベルと品質に深刻な悪影響を与えている問題点を技術改良重点プロジェクトとしてできるだけ早く解決しなければならない。
 
(三)コストダウンを図り、管理を強化、業績を不断に向上させる
 中国船舶工業はコストダウンの余地が大きく、うまくいけば、船舶工業の迅速な黒字転換、低迷からの脱出に顕著な効果がある。そのため、コストダウンを船舶工業の重要戦略の一つとしてたゆみない努力をしなければならない。基礎管理から着手し、設計コスト、調達コストを下げることを突破口とし、邯鋼の経験に学び、「市場決算を模擬し、コスト否決を実施」という目標コスト管理の経験を普及し、着実にコストダウン措置を実施する。
 企業内部の管理を更に強化する。現代的企業管理により、コストダウンを実現し、業績を改善する。引き続き日本、韓国などの船舶工業の先進的管理経験を学習、導入、消化、吸収し現代的な管理方法と制度を全面的に実施し、管理理念、管理手段、管理方法と人材管理などの面から更なる発展を実現し、船舶工業企業の管理レベルと管理効率を大幅に向上させる。
 建造体制の転換を大いに推進し、企業管理の強化と建造体制の転換を緊密に連携させ、企業が現代的建造体制の要求に従い、積極的に先進的な生産組織管理の方法を採用することを促進し、造船生産技術と管理技術の両方の向上を実現する。
 
(四)関連工業の発展を加速し、船舶工業発展の基盤を強化する
 有力な措置により船舶関連製品の国産化に力をいれる。先ず、造船発展の実情にあわせ関連産業への投資を適切に増加する。「十五」期間中は関連企業の技術改造を促進し、できるだけ早く製造技術のレベルをアップし、新製品の開発、製造条件を改善しなければならない。既に導入済みの技術製品に対しては、消化、吸収したものに基づく二次的革新に重点をおき、国際先進レベルについていく。過去の技術導入の経験と教訓を真剣に総括し、導入プロジェクトに対する計画と論証を強化し、導入技術の先進性、更新、バージョンアップを確保し重複導入を防ぐ。重点製品技術の導入、追跡、革新を実施すると共に、中国WTO加盟後の新しい環境に従い、合資、合作、共同開発などの方式を関連工業の技術レベルをアップする主要手段とする。マクロ調整を更に強化し、国産の舶用関連設備の利用を奨励する政策と措置を制定し、確実に国産関連設備の利用率をアップする。
 
(五)投資融資体制の改革を積極的に推進し、融資手段を多様化し、投資効率をアップする
 投資に対する融資体制の改革を積極的に推進し、船舶工業における投資に対する融資の手段を多様化し、政府の投資に主に依存することを一変させる。船舶企業が投資主体として社会から多様な投資を吸収することを奨励する。政策的な銀行融資と商業銀行融資の利用規模を拡大する。商業化基金運営の成功経験を参考に、船舶工業の産業投資基金とベンチャー投資基金を試みる。船舶企業への直接融資を推進し、船舶企業の株式化への転換、上場、融資の多様化を支持する。積極的かつ有効に外資を利用し、外資利用計画を制定し、外資投資の方向性を正確に誘導する。外資利用の重点は、技術関連、市場シェアを拡大できるプロジェクト、内陸と関連企業のプロジェクトである。
 投資管理レベルをアップし、管理方法と手順を改善しなければならない。重大なプロジェクトに対する全面的な監督を強化し、投資効率を向上させる。
 
(六)業界管理を強化し、船舶工業の健全な発展を促進
 できるだけ早く市場経済に適応する国家マクロ・コントロール体系を確立し、船舶工業の業界管理を強化することは、今後の船舶工業の発展において、緊急の任務となっている。
コントロールに更に力をいれ、業界計画と業界政策の制定を重点に、船舶業界の発展に直面する重要問題の解決を突破口に、業界の協調、指導、監督を強化し、業界管理を全面的に改善しなければならない。全面的な業界調査とプロジェクトの整理を実施することで、産業発展における分散、混乱、低劣化という現象にメスを入れ、重複建設を断固阻止する。港湾、航路、船舶、造船所の同時の発展を統一的に計画し、船舶の購買と造船のバランスを調整し、新造船、船舶修繕と海運業の協調的発展を促進する。業界における情報統計、業界基準、業界監督制度など業界管理の基本業務も十分に重視しなければならない。
 
(七)関連造船政策を制定、実施し、公平な競争環境を創造する
 世界の造船国は、自国造船所の競争力を向上させるために、強い助成政策をとっている。中国船舶工業の輸出競争力を強化するために、政府は、船舶輸出を奨励する関連政策を打ち出し、中国船舶工業が海外造船業と公平な環境で競争できるよう努める。
1. 国際慣例に従い、国内市場を積極的に育成し、国内で販売する遠洋船舶が輸出船舶と同一視できる政策を維持し、政府集団の資金で自動車、船舶を購入する場合は原則として国内で注文する政策を制定する。
2. ハイテク民用船の開発予算を増やす。「十五」期間中に3億〜4億人民元の資金を投入する。
3. 技術改良に対する支持を強化する。政府は、政策融資と利息補助金を捻出し、船舶企業近代化への改造を支持する。特にハイテク、高付加価値船舶の製造、ハイテクの成果の実用化に関する技術改良プロジェクトに対し優先的に投資する。
4. 船舶輸出に対する政策支持を強化する。国際慣例に従い、条件を創出し、サプライヤーズ・クレジットを提供し輸出融資に優遇政策を用意する。船舶企業におけるM&Aと破産を強化し、関連政策を研究、制定、改善する。
 
<「九五」期間中に国内販売される遠洋船の財税政の問題についての通知>
財務部 国家税務総局
「九五」期間中に国内販売される遠洋船の財税政の問題についての通知
1997年6月20日財税字[1997]88号
 
中国船舶工業総公司、上海、天津、広東、江西、江蘇、遼寧、大連、安徽、湖北省(市)、財政庁(局)、国家税務局、財政部が上海、天津、広東、江西、江蘇、遼寧、大連、安徽、湖北省(市)駐在させる財政監督責任者の事務所:
 
国務院国閲[1995]81号文書と関連文書に従い、「九五」期間中に国内に販売する遠洋船の財税政の問題について、次のように通知する。
 
一. 中国船舶工業総公司傘下の造船所が「九五」期間中に建造して国内に販売する遠洋船を対象に、増値税を徴収してから返還する方法を実施する。船舶の生産周期が長く、造船企業の各月の材料調達税額と販売税額にバラツキが大きいという実状を配慮し、国内に販売する遠洋船の増値税返還額を次の式で計算、確定する。
増値税返還額=遠洋船販売税額−遠洋船材料調達税額
遠洋船販売税額=遠洋船売上×17%
遠洋船材料調達税額=遠洋船生産コスト中の材料調達コスト(輸入材料、部品を含む)×17%
 返還の具体的な手続きについては、財政部が関係省(市)に駐在させる財政監督責任者事務所、財政部、国家税務総局、中国人民銀行が(94)財予字第55号文書の関連規定に従い実施する。
 
二. 中国船舶工業総公司傘下の造船所が「九五」期間中に建造して国内に販売する遠洋船を対象に、その輸入材料の関税と輸入増値税を規則通りに徴収する。算出される輸入関税、増値税と国内での材料調達の平均税額をベースに、中央財政は、国内に販売する遠洋船価格の12%を中国船舶工業総公司への補助金とし、中国船舶工業総公司は、その補助金を造船所に返還する。その際、各造船所の実状に応じて、必要な調整を行い、各方面に配慮し統一的、計画的に実施する。補助金に関する具体的な手続きについては、中国船舶工業総公司が財政部工業交通司に申請を出し、認可された後、実施する。







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