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3 中国政府の具体的支援
3.1 概要
 中国政府は船舶工業に対し、以下のような政策を実施している。
(1)発展
(1)国輪国造政策
(2)輸出振興
(2)構造改革
(1)管理組織整備
(2)集団企業改革
(3)個別企業改革
(4)投資コントロール
(5)国産化
(3)技術開発・技術改良
(1)重点技術の開発
(2)ハイテク産業化
 
 
3.2中国における船舶工業の特徴
3.2.1.中国船舶工業の全産業中の位置付け
 90年代末になって中国の国有企業改革はかなり進展し、中央政府といえども、従来の計画経済体制時のように産業発展への全面的な介入や、企業経営への直接介入は控えるようになった。
 特に船舶工業は、中国の全産業でみたとき、現在すでにある程度力をつけた産業とみられている。輸出力があり全面的な産業振興・保護の必要性は少ないという見方である。中国の造船業界の中には「国の支援なく船を受注でき、良い品質の船を建造できるようになった」と自慢する人もいる。
 自動車産業が、80年代・90年代は自動車の製造台数以前に、技術的に自動車が製造できるかどうかが問題とされ、現在でも重点産業として自動車産業振興策が必要とされているのと大きく異なる点である。
 中国政府も計画経済から市場主義経済に移り、マクロ政策を通じて産業を発展させようとしており、船舶工業に特定した支援の可能性は低いとみられる。
 
3.2.2.船舶工業における政府の役割
 中国でのこれまでの造船政策には、幾つかの特徴がある。
第一は、主導的政策策定主体の不在である。中国の造船に関わる部門はもともと旧船舶工業総公司の系列、交通部、農業部、解放軍後方部、首都鋼鉄公司など14にも及んでいた。国防科学技術工業委員会の発足も1997年と新しく、同委員会主導による一元的な業界管理が順調に進むか懸念する声もある。
 第二は、政策が策定される場合でも、その政策は、基本的に行政機関内部で決定されていた。所管部門が行政機関内部の調整を中心に、一部関係部局の意見や専門家の意見を聴取して決定するという官僚専権の体制であったため、政府部門と企業の断絶、企業のインセンティブ欠如という問題を生んだが、しだいに産官学による政策決定体制に移行しつつあるといわれている。







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