1.2 十分でない国際競争力
・続く赤字
・低い生産性、小さい企業規模
・舶用工業の遅れ
・まだまだ低い技術力
(1)続く赤字
この4年(1998年〜2001年)の間に中国の造船・舶用企業は480社から455社へ、従業員数も31万人から25万人に減少した。
売上高は327億元(約4,800億円)から381億元(約5,700億円)に、固定資産は214億元(約3,200億円)から244億元(約3,766億円)に増加した。財務状況は、1998年以降赤字が続いていたが、2001年黒字となった。
表4 中国の造船・舶用工業の概況(1)
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1998年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
工場数 |
480 |
461 |
458 |
455 |
従業員数(万人) |
31.49 |
29.63 |
27.39 |
25.3 |
固定資産(億元) |
214 |
237 |
249 |
244 |
売上高(億元) |
327 |
346 |
342 |
381 |
利潤(税引後)(億元) |
-3.1 |
-3.1 |
-2.6 |
+1.8 |
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注) |
対象は、国有企業及び売上高500万元以上の非国有企業 |
表5 中国造船・船用工業の概況(2)(2001年)
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企業数 |
従業員数(万人) |
固定資産(億元) |
売上高(億元) |
利潤(税引後)(億元) |
新造造船所合計 |
211 |
15.1 |
148 |
251 |
-1.16 |
遠洋船建造造船所 |
66 |
10.9 |
126 |
202 |
0.29 |
内航船建造造船所 |
95 |
3.2 |
18 |
33 |
-2.00 |
漁船建造造船所 |
50 |
1.0 |
4 |
16 |
0.55 |
修繕造船所 |
176 |
6.1 |
74 |
84 |
1.67 |
舶用メーカー |
68 |
4.0 |
22 |
47 |
1.24 |
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注) |
対象は、国有企業及び売上高500万元以上の非国有企業 |
図3 中国の造船・舶用工業の概況(3)
(拡大画面:69KB) |
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(2)低い生産性、小さい企業規模
中国の生産牲は、日本・韓国に比べるとまだまだ低い。(図4)
一人が、1年に何総トン建造したかということでみると、中国で最も生産性の高い南通中遠川重船務舶工程有限公司で日本の約1/2、 東中華造船、大連新船重工で日本の約1/4から1/5であり、15年から20年の差がある。
人件費は安いが、生産性が悪く、工期が長いというのが現状である。
生産性の悪い理由としては、よく言われることであるが、中国の造船・舶用工業は、工期・資材・資金の管理に問題があることは中国自身も認めている。
例えば、2000年に中国の大型造船工場、大学、研究院などの専門家が「船舶工業の鍵となるインフラ技術の研究」のテーマで1年余り中国の造船業について全面的な調査を行ったが、その結論でも「もしハード面で中国と日韓の造船工場に大きな差があるとすれば、ソフト面の「組織、管理」では、さらに大きな開きがある。」としている。
さらに、2大集団公司の形態をとりながら、技術改良、設計、資材購入等実質的な活動は、集団公司傘下の各企業が個別・独立に行っている場合が多く、大企業集団としてのメリットを生かせていないと言うことが有る。また、個別の企業でみたときも企業規模が日韓に比べ小さいということがある(表6)。
図4 日中韓の造船業の生産性
(拡大画面:21KB) |
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出所:JETRO上海舶用機械部
表6 日韓中の主要造船所の建造量(2001年)
日本 |
韓国 |
中国 |
今治造船 |
109 |
現代重工 |
367 |
東中華造船(集団)有限公司 |
51 |
日立造船 |
104 |
大宇造船工業 |
319 |
江南造船(集団)有限責任公司 |
29 |
IHI |
99 |
三星重工業 |
201 |
大連造船廠 |
13 |
NKK |
87 |
三湖重工業 |
123 |
南通中遠川崎船舶工程有限公司 |
12 |
常石造船 |
77 |
現代尾浦造船 |
46 |
大連新船重工有限責任公司 |
12 |
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出所:JETRO上海舶用機械部
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