3. 中華人民共和国中外合作経営企業法
1988年4月13日 第7回全国人民代表大会第1次会議 成立
1988年4月13日 公布(国家主席令第4号)、施行
2000年10月31日 第9回全国人民代表大会常務委員会第18次会議 修正
2000年10月31日 公布(国家出席令第41号)、施行
第一条 (目的)
外国企業、その他の組織、個人(以下、「外国側共同経営者」という)が、平等かつ相互利益の原則に基き、中国政府の承認により、中華人民共和国の企業、その他の組織(以下「中国側共同経営者」という)と共同して、中国国内において中外合作経営企業(以下、「合作企業」という)を経営し、国際的な経済協力と技術を拡大することを促進するためこの法律を制定する。
第二条 (契約等)
中国側、外国側双方の共同経営者は、この法律の規定に従い、合作経営企業契約で投資若しくは共同経営の条件、収益又は製品の配分、危険・損失の分担、経営管理の方式、合作企業が終了したときの残余財産の帰属などの事項を定める。
合作企業が中国の法律の法人格に関する規定に適合するときは、中国での法人格を取得する。
第三条 (保護)
法に従い合作企業と中外共同経営者の利益を国家は保護する。
合作企業は、中国の法律と法規を遵守し、中国の社会公益を害してはならない。国家の関係機関は、法に従い合作企業を監督する。
第四条 (奨励)
国家は、製品を輸出する、若しくは先端技術を用いて生産する合作企業を奨励する。
第五条 (設立)
合作企業の設立申請には、中外合作者が署名した協議、契約、定款などの書類を国務院の対外経済貿易主管部門又は国務院が授権した機関若しくは地方政府(以下、「審査・承認機関」という)に提出する。審査・承認機関は申請が到達後、四十日以内に承認若しくは不承認を決定する。
第六条 (登記)
合作企業の設立が承認されたときは、承認証書が到達した日から三十日以内に工商行政管理機関に登記申請し、営業ライセンスを受ける。合作企業の営業ライセンスの発給日付をもって、その企業の創立日とする。
合作企業は、創立日から三十日以内に税務機関に税務登記を行う。
第七条 (変更)
中国側及び外国側共同経営者が、合作企業の契約に大幅な変更をすることで合意したときは、審査・承認機関に申請し、承認を得る。変更が登記すべき事項又は税務登記すべき事項に該当するときは、工商行政管理機関又は税務機関に登記の変更の手続をする。
第八条 (出資)
中国側及び外国側共同経営者は金銭、現物、土地使用権、工業財産権、非特許技術、そめ他の財産権利を投資とできる。
第九条 (出資検査)
出資と契約に関し、合作企業の共同経営者が法律、法規及び合作企業の契約に従い義務を履行しないときは、工商行政管理機関が期限を定めて履行を促し、その期限内に履行されないときは、審査・承認機関と工商行政管理機関が国家の関係規定に従い処理する。
合作企業の共同経営者の出資、共同経営条件は、中国の公認会計士又は法定の出資検査機関による監査を受ける。合作企業は、その証明書を受領しなければならない。
第十条 (出資譲渡)
合作企業の共同経営者の一方が合作企業の全部若しくは一部の権利、義務を譲渡するときは、他方の合意と審査・承認機関の承認を要す。
第十一条 (活動)
合作企業は、承認された合作企業の契約、定款に従い経営活動を行う。合作企業の経営自主権は、干渉を受けない。
第十二条 (役員会)
合作企業は、役員会若しくは連合の管理機構を設置し、合作企業の契約若しくは定款の規定に従い合作企業の重大問題を決定する。一方の共同経営者が役員会の会長、連合管理機構の主任に選任されたときは、他方の共同経営者が副会長、連合管理機構の副主任となる。役員会若しくは連合管理機構は、総経理を決定し、若しくは選任し、合作企業の日常業務を行わせる。総経理は、役員会又は連合管理機構に対し責任を負う。
合作企業が成立後に、共同経営者以外に経営を委託するときは、役員会又は連合管理機構の同意の後、審査・承認機関により承認され、工商行政管理機関に登記変更手続が行われなければならない。
第十三条 (雇用契約)
合作企業は、労働者の雇用、解雇、報償、福利、安全衛生、労働保険などに関し法に基づく契約書を作成しなければならない。
第十四条 (労働組合)
合作企業の労働者は、法による労働組合を組織し、労働組合活動を行い、労働者の合法的な利益を守る。
合作企業は、労働組合活動に必要な条件を与えなければならない。
第十五条 (会計)
合作企業は、中国国内に会計帳簿を備え、規定に従い計算書類を提出し、財政税務機関の監督を受ける。
合作企業が前項の規定に違反し、中国国内に会計帳簿を備えないとき、財政税務機関は合作企業を過料処分とすることができる。工商行政管理機関は、営業停止を命じ、営業許可を取り消すことができる。
第十六条 (外国為替)
合作企業は、営業許可に基づき、国家の外為管理機関が許可した外国為替を行う銀行又は金融機関に外為口座を開設する。
合作企業の外国為替は、国家の外為管理規定に従い処理する。
第十七条 (借入)
合作企業は、中国国内の金融機関からも、中国国外からも借入れできる。中国側及び外国側共同経営者が合作条件に定める借入れと担保は、それぞれの共同経営者が自らの責任で解決する。
第十八条 (保険)
合作企業の各種保険は、中国国内の保険会杜と契約とする。
第十九条 (購入)
合作企業は、認可を得た経営範囲内において、当該企業に必要な物資を輸入し、当該企業の生産物を輸出できる。合作企業は、認可された経営範囲内で必要とする原材料、燃料等の物質を公平性、合理性の原則に基づいて、国内市場または国際市場で購入できる。
第二十条 (減免税)
合作企業は、国家の租税に関する規定に従い納税し、減税、免税の優遇を受ける。
第二十一条 (配分)
合作企業の共同経営者は、合作企業の契約に従い、収益又は製品を分配し、危険と損失を分担する。
合作企業の契約で中国側及び外国側共同経営者が、経営期間の満了に際して、合作企業の全ての固定資産が中国共同経営者に帰する旨定めるときは、外国側共同経営者が経営期間内に先行して投資を回収する方法を契約で定めることができる。
合作企業の契約で外国側共同経営者が所得税納付前に投資を回収する旨定めるときは、財政税務機関に申請する必要があり、財政税務機関は国家の租税に関する規定に従い審査する。
前項の規定による場合を除き、外国共同経営者が経営期問内に所得納税納付に先行して投資を回収するとき、中国側及び外国側共同経営者は、関係する法律の規定と合作企業の契約に従い合作企業の債務について責任を負う。
第二十二条 (国外送金)
外国側共同経営者は法律の規定と合作企業の契約による義務を履行した後、分配された利益その他の合法的な収入と清算後の資金を国外に送金できる。
合作企業の外国籍労働者の給与収入その他の正当な収入は法に基づき個人所得税を納付した後、国外に送金できる。
第二十三条 (清算)
合作企業が経営期間の満了若しくはそれ以前に終了したときは、法定の手続に従い資産、債権、債務を清算する。共同経営者は合作企業の契約に従い合作企業の残余財産の帰属を確定する。工商行政管理機関と税務機関にも登記の抹消を行う。
第二十四条 (経営期間)
合作企業の経営期間は、合作企業の契約の中に記載する。中国側及び外国側共同経営者が経営期間の延長に合意したときは、経営期間が満了する百八十日前に審査・承認機関に申請する。審査・承認機関は、申請が到達した日から三十日以内に承認するか否かを決定する。
第二十五条 (紛争)
中国側及び外国側共同経営者の間に合作企業の契約、定款の履行に関し紛争が生じたときは、協議若しくは調停により解決する。双方の共同経営者が協議・調停で解決することを望まない、若しくは協議・調停が成立しないときは、合作企業の契約中の仲裁条項又は事後に成立した書面による仲裁協議条項に従い、中国その他の仲裁機構の仲裁に付することができる。
中国側及び外国側共同経営者が合作企業の契約に仲裁条項を設けず、事後の書面による仲裁の合意も成立しないときは、中国の裁判所に提訴できる。
第二十六条 (実施細則)
国務院対外経済貿易主管部門は、この法律に基づき実施細則を制定し、国務院の承認を得て施行する。
第二十七条 (施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。
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