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第八章 購買・販売
第五十一条 合弁企業は必要な機械設備、原材料、燃料、部品、事務用品の購入及びその輸送手段等(以下「物資」と称す)を、中国とするか外国とするか独自に決定する権利を有する。
 
第五十二条 合弁企業が中国で購入する必要がある事務・生活用品は、制限を受けず必要量を購入できる。
 
第五十三条 中国政府は合弁企業が製品を国際市場で販売することを奨励する。
 
第五十四条 合弁企業はその製品を独自に輸出する権限を有する。合弁の外資側相手方の販売機構又は中国の貿易会社に代理販売又は取次販売を委託することもできる。
 
第五十五条 合弁企業が合弁契約に定める経営の範囲内で当該企業の生産に必要な機械設備、部品・付属品、原材料、燃料の輸入にあたり、国により輸入許可証が義務づけられているものは、年度の輸入計画を作成して、半年に一度許可申請する。合弁の外資側相手方が現物出資とする機械設備その他の現物は、政府機関の認可書類に基づき直接輸入許可証を得て輸入できる。合弁契約に定める範囲を超えて輸入する物資で、国が輸入許可証を義務づけているものは、別途許可申請する。
 
 合弁企業が生産した製品は独自に輸出することができるが、国が輸出許可証を義務づけているものは、当該企業の年度の輸出計画に従い半年に一度許可申請する。
 
第五十六条 合弁企業は国内で購入する物資の価格及び水道、電気、ガス、熱、貨物輸送、役務、工事設計、コンサルティング、広告などのサービス料金について、国内の他の企業と同等の待遇を受ける。
 
第五十七条 合弁企業と中国の他の営業組織との取引において、両者は、関係法の規定及び双方が結んだ契約に従い経済的責任を負うとともに、契約紛争を解決する。
 
第五十八条 合弁企業は「中華人民共和国統計法」及び中国の外資利用統計制度の規定に従い、統計資料を提供し、統計報告書を提出する。
 
第九章 税務
第五十九条 合弁企業は中華人民共和国の関係法律の規定に従い税金を納付する。
 
第六十条 合弁企業の従業員は「中華人民共和国個人所得税法」に従い個人所得税を納付する。
 
第六十一条 合弁企業が次の各号の物資を輸入するときは、中国税法の関係規定により減・免税とする。
 
(1) 契約の規定に従い合弁の外資側相手方の現物出資となる機械設備、部品・付属品、その他の現物(「その他の現物「とは合弁企業の工場・作業場の建設及び機械の据え付け・固定に必要な材料をいう。以下同じ)

(2) 合弁企業が投資総額内で輸入した機械設備、部品・付属品、その他の現物

(3) 認可機関の認可を受けて増資した合弁企業が(増資の一部として)輸入した国内で生産・供給を保証できない機械設備、部品・付属品、その他の現物

(4) 合弁企業が輸出品の生産のため外国から輸入した原材料、補助材料、素子、部品、包装材料(これらの免税輸入物資が、中国国内で転売され又は中国国内で販売する製品に転用されたときは、許可を受けていても規定通り税金を納付又は追納する。)
 
第六十二条 合弁企業が生産する輸出品は、国が輸出を制限しているものを除き、中国税法の関係規定によって、減税、免税又は還付を行う。
 
第十章 外国為替
第六十三条 合弁企業の外国為替に関するすべての事項は、「中華人民共和国外国為替管理暫定条例」と関係管理弁法の規定に従い処理する。
 
第六十四条 合弁企業は営業許可証をもとに、国内にある銀行に外貨口座と人民元口座を開設し、口座開設銀行が受け取り・支払いを監督する。
 
第六十五条 合弁企業が外国又は香港・マカオ地区の銀行に外貨口座を開設するときは、国家外国為替管理局又は同分局の許可を受けるとともに国家外国為替管理局又は同分局に受け取り・支払い状況を報告し、銀行取引明細書を提出する。
 
第六十六条 合弁企業は外国又は香港・マカオ地区に設立した支部機構の年度毎の貸借対照表、損益計算書を、合弁企業を通じて国家外国為替管理局又は同分局に提出しなければならない。
 
第六十七条 合弁企業は取扱業務に応じ、国内の金融機関に外貨の貸し付け、人民元の貸し付けを申し込むことができる。国の関係規定に従い外国又は香港・マカオ地区の銀行から外貨の資金を借り入れることもできる。ただし、国家外国為替管理局又は同分局に登録又は届け出の手続きをする。
 
第六十八条 合弁企業の外国籍及び香港・マカオの従業員の賃金その他の正当な収益は、法律に基づき納税した後、中国内で使用する経費を差し引いた残りを国の関係規定に従い外貨を購入して海外送金することができる。
 
第十一章 財務・会計
第六十九条 合弁企業の財務・会計制度は、中国の関係法、財務会計制度の規定に従い、合弁企業の事情を考慮して定めるとともに、地元の財政官庁、税務機関に届け出る。
 
第七十条 合弁企業には総会計士をおく。総会計士は、社長を助けて企業の財務・会計を担当する。必要なときは副総会計士を置くこともできる。
 
第七十一条 合弁企業には会計検査士(小企業は不要)をおき、合弁企業の財務収支、会計勘定を審査、検査し、取締役会、社長に報告させる。
 
第七十二条 合弁企業の会計年度は暦年制を採用し、西暦の1月1日から12月31日までを1会計年度とする。
 
第七十三条 合弁企業の会計は国際慣行となっている発生主義と借方貸方法を採用する自社製の証票、帳簿、報告書はすべて中国語とする。中国語と同時に合弁の相手方が取り決めた一種類の外国語で書くこともできる。
 
第七十四条 合弁企業の記帳の単位貨幣は人民元を原則的とするが、相手方が取り決めれば、一種類の外国通貨を記帳の単位貨幣とすることもできる。
 
第七十五条 合弁企業の勘定は、記帳単位貨幣で記録する。現金、銀行預金、その他の費目及び債権・債務、収益、費用などが記帳単位貨幣と一致しない時は、実際の受け払い通貨で記帳する。
 
 外国通貨を記帳単位貨幣とする合弁企業が作成する財務会計報告書は、人民元に換算する。
 
 為替相場の変動により生じた記帳単位貨幣の差額は、為替の差損益として記帳する。為替相場の変動に伴う外貨関連諸勘定の帳簿残高は年末の帳簿締め切り時に、中国の関係法律及び財務会計制度の規定に従い会計処理する。
 
第七十六条 合弁企業が「中華人民共和国外資系企業・外国企業所得税法」に従い所得税を納付した後の利益処分の原則は次の通りである。
 
(1) 準備金、従業員賞与・福利厚生基金、企業発展基金の積み立て。積立比率は薫事会で決める。

(2) 準備金は合弁企業の損失補填に使うほか、認可機関の認可を受けて、当該企業の増資、生産拡大に充当できる。

(3) 第1号の規定に従い3つの基金に積み立てた後の可処分利益について、取締役会が利益処分することを決めた場合は、出資比率に応じて分配する。
 
第七十七条 過去の年度の損失補填が解消されるまでは利益処分できない。過去の年度の未処分利益は、当該年度の利益に組み入れて処分できる。
 
第七十八条 合弁企業は合弁の相手方、所轄の税務機関及び財政官庁に四半期及び年度の財務諸表を提出する。
 
第七十九条 次の各号の書類、証明書、報告書は、中国の公認会計士の証明を受け、証明書が発行されなければ有効とならない。
 
(1) 合弁の相手方の出資証明書(現物、土地使用権、工業所有権、ノウハウで出資するときは、相手方が同意して署名した財産評価目録、取り決め書類を含む)

(2) 合弁企業の年度の財務諸表

(3) 合弁企業清算時の財務諸表
 
第十二章 従業員
第八十条 合弁企業の従業員の募集、招聘、解雇、辞職、賃金、福利厚生、労働者保険、安全衛生、労働規律などは、国の労働及び社会保障に関する規定に従い処理する。
 
第八十一条 合弁企業は従業員が生産・管理・技能の面で近代的企業の要請にこたえられるよう業務・技術訓練を強化し、厳格な考課制度を確立する。
 
第八十二条 合弁企業の賃金・賞与は、労働に応じて分配し、多く働けば報酬も多いという原則に適合させる。
 
第八十三条 正副社長、正副技師長、正副総会計士、会計検査士などの管理者の賃金・待遇は、取締役会が決定する。
 
第十三章 労働組合(工会)
第八十四条 合弁企業の従業員は、「中華人民共和国労働組合法」及び「中国労働組合規約」の規定に従い、労働組合(以下「労組」と称す)を結成して、活動する権利を有する。
 
第八十五条 合弁企業の労組は、従業員の利益の代表であり、従業員を代表して合弁企業と労働契約を締結し、契約の執行を監視する。
 
第八十六条 合弁企業の労組の基本任務は、法に基づき従業員の民主的権利と物質的利益を守り、合弁企業を助けて福利・賞与基金を決め、合理的に使用し、従業員の政治・科学・技術・業務知識の学習を企画し、文芸・スポーツ活動を繰り広げ、労働規律を守り企業の経済任務達成に努めるよう従業員を教育することである。
 
第八十七条 取締役会で合弁企業の発展計画、生産経営活動などの重大事項を討議するときには、労組の代表も列席して、従業員の意見・要求を反映させる権利を有する。
 取締役会で従業員の賞罰、賃金制度、生活・福利、安全衛生・保険などに関する問題を検討、決定するときには、労組の代表も列席する権利を有する。取締役会は労組の意見を聴取し、労組の協力を得る。
 
第八十八条 合弁企業は、自企業の労組活動を積極的に支持する。合弁企業は、「中華人民共和国労働組合法」の規定に従い労組組織に必要な建物と設備を提供する。労組は、事務の他、自主的な福利・文化・体育事業にこれを利用する。
 合弁企業は毎月、従業員の賃金の2%を労組経費として支給し、当該企業の労組は、これを中華全国総工会が定めた労組経費管理弁法に従い使用する。







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