2. 中華人民共和国中外合資経営企業法実施条例
1983年9月20日 国務院公布
1986年1月15日 国務院修正
1987年12月21日 国務院修正
2001年7月22日 国務院修正
第一章 総則
第一条 「中華人民共和国中外合資経営企業法」(「中外合弁企業法」と略す。以下同じ。)の実施のため、この条例を制定する。
第二条 「中外合弁企業法」により中国での設立を認可された中外合弁企業(以下合弁企業と称す)は中国の法人として、中国の法律により管轄され、保護される。
第三条 合弁企業は、中国の経済発展と科学技術の向上を促進し、社会主義的近代化に寄与する。
合弁企業の設立を奨励、許可、制限、禁止する業種は、外国企業の投資方向を指導する国の規定と外国投資産業指導目録により定める。
第四条 合弁企業が次の各号の1に談当するときは、これを認可しない。
(1) |
中国の主権、社会、公共の利益を損なう
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(2) |
中国の法律、法規に違反
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(3) |
中国の国民経済の発展に合致しない
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(4) |
環境汚染を引き起こす可能性
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(5) |
締結された取り決め、契約、定款が明らかに不公平で、合弁の一方の権利・利益が損なわれる。 |
第五条 中国の法律、法規及び合弁企業の取り決め、契約、定款に定める範囲で、合弁企業は、自主的に経営を行える。関係各省庁は、これを支持・支援する。
第二章 設立手続き
第六条 合弁企業の設立には、中華人民共和国対外経済貿易合作部(以下「経貿部」と称す)の審査・認可が必要である。経貿部が認可証書を発行する。
国務院は、次の条件を満足する場合に、省・自治区・直轄市人民政府又は国務院の関係省庁に認可を認める。(経貿部及び国務院が権限を与えた省・自治区・直轄市人民政府又は国務院の関係省庁を、以下「認可機関」と称す。)
設立を認められた合弁企業は、経貿部に届け出る。
(1) |
投資総額が国務院が認可機関に認めた範囲内で、かつ、中方合弁相手の資金が確保されていること。
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(2) |
国からの原材料の支給が不要で、全国の燃料、エネルギー、交通・輸送、輸出割当等に影響を及ぼさないこと。 |
第七条 合弁企業の設立申請にあたっては、合弁の中国側、外国側双方が共同で認可機関に、次の各号の書類を提出する必要がある。
(1) |
合弁企業設立申請書
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(2) |
共同で作成したF/S報告書
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(3) |
代表が署名した契約及び定款
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(4) |
任命された会長、副会長、取締役の名簿
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(5) |
認可機関が定めるその他の書類 |
前項の書類は中国語とするが、(2)から(4)の書類は同時に合弁の当事者が取り決めた1種類の外国語で書くことができる。2つの言語の書類の効力は同等とする。提出書類の不備を発見したとき、認可機関は期限を付して修正を求める。
第八条 認可機関は前条に定める全ての書類を受け取った日から3カ月以内に認可・不認可を決定する。
第九条 申請者は認可証明を受け取った日から1カ月以内に、国の関係規定に従い、工商行政管理機関(以下「登記管理機関」と称す)に登記手続きをとる。
合弁企業の設立日は、営業許可証が交付された日とする。
第十条 この条例における合弁企業取決めとは、合弁企業の当事者双方が合弁企業設立に関する原則・重要な点について合意して作成した書類であり、合弁企業契約とは、双方が合弁企業の設立のために相互の権利・義務関係について合意して作成した書類を、合弁企業定款とは、合弁企業契約原則に従い、双方合意のもとで、合弁企業の目的、組織、経営方法等を定めた書類をいう。
合弁企業取決めと合弁企業契約が抵触する時は、合弁企業契約による。
双方が合意すれば、合弁企業取決めを作成せず合弁企業契約、定款のみとすることもできる。
第十一条 合弁企業契約には、次の内容を含む。
(1) |
合弁当事者の名称、登記国、法定所在地及び法定代表者の氏名、職務、国籍
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(2) |
合弁企業の名称、法定所在地、目的、経営範囲及び規模
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(3) |
合弁企業の投資総額、資本金、当事者の出資額、出資比率、出資方法、出資の払込機関及び出資額の不払い、出資権譲渡に関する規定
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(4) |
利益配分及び損失負担の割合
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(5) |
合弁企業の取締役会の構成、取締役の定員の構成及び社長、副社長その他幹部の職責、権限、招聘方法
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(6) |
主な生産設備、生産技術とその調達先
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(7) |
原材料の購買と製品販売の方法
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(8) |
財務、会計、監査の原則
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(9) |
労務管理、賃金、福利厚生、労働保険等に関する規定
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(10) |
合弁企業の期問、解散及び清算手続き
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(11) |
契約違反時の責任
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(12) |
紛争解決手段と手続き
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(13) |
契約本文に採用する言語と契約の発効条件 |
合弁企業契約の添付書類は、合弁企業契約と同等の効力を有する。
第十二条 合弁企業契約の締結、効力、解釈、執行及び紛争解決は、中国の法律による。
第十三条 合弁企業定款には、次の内容を含む。
(1) |
合弁企業の名称及び法定所在地
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(2) |
合弁企業の目的、経営範囲及び合弁期間
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(3) |
双方の名称、登記国、法定所在地、法定代表者の氏名、職務、国籍
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(4) |
合弁企業の投資総額、資本金、双方の出資額、出資比率、出資権の譲渡に関する規定、利益配分及び損失負担の割合
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(5) |
取締役会の構成、職権及び議事運営規則、取締役の任期、会長・副会長の職責
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(6) |
管理機関の配置、事務規則、社長・副社長その他の管理者の職責と任免手続き
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(7) |
財務、会計、監査制度の原則
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(8) |
解散及び清算
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(9) |
定款の修正手続き |
第十四条 合弁企業の取り決め、契約及び定款は認可機関の認可後、発効する。修正も同様とする。
第十五条 認可機関と登記管理機関は、合弁企業の契約、定款の執行に対して監督・検査の責を負う。
第三章 組織等
第十六条 合弁企業は有限責任会社とする。
双方の合弁企業に対する責任は、それぞれの出資金を限度とする。
第十七条 合弁企業の投資総額(企業借入金を含む)は、合弁企業契約、定款に定める生産規模に従い投資する必要のある建設資金、生産・運転資金の合計とする。
第十八条 合弁企業の資本金は、登記管理機関に登記した資本総額をいい、双方の出資額の合計とする。
合弁企業の資本金は人民元を原則とするが、双方が合意すれば外国通貨で表示することもできる。
第十九条 合弁企業は合弁期間中、資本金を減少できない。投資総額や生産・経営規模の変更により減少させるときは、認可機関の認可を受ける。
第二十条 合弁の一方が出資権の全部又は一部を第三者に譲渡するときは、他方の同意を得、かつ認可機関の認可を受け、登記管理機関で登記変更の手続きをとる。
合弁の一方が出資権の全部又は一部を譲渡するとき、合弁の相手方は優先購入権を有する。
合弁の一方が第三者に出資権を譲渡する条件は、合弁の相手方への譲渡条件よりよくすることはできない。規定に違反したときは、譲渡は無効となる。
第二十一条 合弁企業の資本金の増額、減額は、薫事会で決議し、認可機関の認可を受けた後、登記管理機関に登記変更の手続きをとる。
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