付録
1. 中華人民共和国中外合資経営企業法
1979年7月1日第5回全国人民代表大会第2次会議 成立
1990年4月4日第7回全国人民代表大会第3次会議 修正
2001年3月15日第9回全国人民代表大会第4次会議 修正
第一条 (目的)
国際的な経済・技術交流を拡大するため、中華人民共和国は、外国の会社、企業その他の組織・個人(以下、外国側合弁相手という)が平等互恵の原則に基づき、中国政府の認可を受けたうえで、中華人民共和国国内で中国の会社、企業その他の組織・個人(以下、中国側合弁相手という)と共同で合弁企業を設立することを許可する。
第二条 (保護)
中国政府は外国側合弁相手の取決め、契約、定款に基づく合弁企業への投資、得るべき利益、その他適法な権益を法により保護する。ただし、中国政府の認可を受けたものであること。
合弁企業は中華人民共和国の法律、法規の規定を遵守して活動しなければならない。
国は合弁企業に対しては、国有化及び収用を行わない。ただし、特別な状況下では、公益性の観点から、相応の補償をして、法律上の手続に従い合弁企業を収用することはある。
第三条 (認可)
合弁の当事者が締結した取決め、契約及び定款は国の対外経済貿易主管部門(以下、「政府機関」という)の審査を受けなければならない。政府機開は3ヵ月以内に、認可又は不認可を決定する。認可を受けた合弁企業は、国家工商行政管理、主管部門に登録し、営業免許証を取得したうえで、営業を開始する。
第四条 (法人格等)
合弁企業は有限会杜とする。
外国側合弁相手の登録資本金への投資比率は、原則として25%を下回らない。
合弁の当事者は、登録資本金の割合に応じて利益及びリスク・欠損を分担する。
登録資本金を譲渡する場合は、合弁相手の同意を得なければならない。
第五条 (現物出資)
合弁企業へは現金、現物、工業所有権等で投資できる。
外国側合弁者相手の投資する技術及び設備は、我が国の求める先進的な技術又は設備でなければならない。もし旧式の技術・設備で欺いた場合は、生じた損害を賠償しなければならない。
中国側合弁相手の投資には、合弁期間中に提供する土地使用権を含めることができる。土地使用権を中国側合併相手の投資の対象としない場合は、合弁企業が中国政府に使用料を納付する。
各投資は、価格(土地は除く)を合弁の当事者が協議し定めたうえで、合弁企業の契約及び定款で定める。
第六条 (運営)
合弁企業には取締役会を置く。メンバー及び構成は当事者間の協議に基づき、契約及び定款に明記し、任命は合弁の当事者が行なう。会長及び副会長は合弁の当事者の協議か、取締役会の選挙により選出する。合弁相手の一方が会長を務めるときは、他方が副会長を務める。平等互恵の精神で、取締役会は合弁企業の重要問題を決定する。
取締役会は、合弁企業の定款の定めるところにより、企業の発展計画、生産経営、予算、利益配分、賃金、営業及び社長、副社長、技師長、会計士及び監査人の任命、職権、待遇等合弁企業のすべての重要問題について討議し決定する。
社長、副社長(又は工場長及び副工場長)は、合弁の各当事者が分担する。
従業員の採用、退職、報酬、福利、安全衛生、労働保険などの事項は、法に基づく契約の締結を通じて規定しなければならない。
第七条
従業員は、法に基づき労働組合を結成し、労働組合活動を行い、従業員の合法的権益を確保する。
合弁企業は、当該企業の労働組合に対し、必要な活動条件を提供しなければならない。
第八条 (利益処分)
合弁企業の利益は、中華人民共和国税法の規定により所得税を納付した後、定款に定める準備金、従業員の報奨及び福利厚生基金、企業積立基金を控除したうえで、合弁の当事者の登録資本比率に応じて分配する。
合弁企業は国の租税関係法律及び行政法規の規定による減・免税の優遇を受けることができる。
外国側合弁相手が得た利益を中国国内に再投資するときは、すでに納付した所得税の一部を還付申請できる。
第九条 (為替の取扱い)
合弁企業は営業免許証に定める国の外国為替管理機関が外国為替業務の取り扱いを認めた銀行その他の金融機関に外貨口座を開設しなければならない。
合弁企業は、『外国為替管理条例』を遵守して外貨を処理する。
合弁企業は、外国銀行から直接経営資金を調達できる。
合弁企業の各種保険は、中国内の保険会社に付保しなければならない。
第十条 (自主経営)
合弁企業は認可されている経営範囲内で必要とする原材料や燃料などの物質を公平かつ合理的な原則に基づいて、国内市場若しくは国際市場から購入できる。
合弁企業の海外への販売を奨励する。販売は直接又は関係の機関を通じて行い、又、中国の対外貿易機関によることもできる。中国市場でも販売できる。
合弁企業は必要に応じ、国外に支店・営業所を設立できる。
第十一条 (国外送金)
外国側合弁相手が法律、取決め及び契約に定める義務を履行した後得られた利益、合弁期間満了又は解散により得られた資金は、『外国為替管理条例』に基づき合弁企業の契約で定めた通貨で国外送金できる。
国外送金できる契約で定めた外貨を中国銀行に預金することを奨励する。
第十二条 (外国従業員の個人外貨)
合弁企業の外国従業員の賃金その他の正当な所得は、中華人民共和国税法の定める個人所得税を納付した後、『外国為替管理条例』に基づき国外送金できる。
第十三条 (合弁期間)
合弁期間は、業種、状況に応じて定められる。一部の業種の合弁企業は、合弁期間を定めなければならないが、その他の業種の合弁企業は合弁期間を定めないこともできる。当事者が合弁期間延長で合意したときは、期間満了6ヵ月前に政府機関に申請する。政府機関は申請受領後1ヵ月以内に認可又は不認可を決定する。
第十四条 (終了)
合弁企業に重大な欠損、契約・定款の不履行、不可抗力等が生じたときは、合弁の当事者間で協議を行い合意のうえで、認可機関へ申請を行い、認可後、工商行政管理主管部門に登記されたときをもって、契約終了とする。契約違反による損害は、契約に違反した方が責任を負う。
第十五条 (紛争)
合弁の当事者間に紛争があり、取締役会の協議でも解決できないときは、中国の仲裁機関が調停又は仲裁する。合弁の当事者の協議により、他の仲裁機関に仲裁を依頼することもできる。
合弁の各当事者が契約の中で仲裁条項を定めていない場合、または事後に書面による仲裁の取り決めを締結していない場合は、人民法院に提訴できる。
第十六条 (発効日)
この法律は公布の日に発効する。この法律の修正は全国人民代表大会による。
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