5 サービス
5.1 WTO
サービスに関し中国は加盟にあたり以下の約束をしている。
1) |
許認可手続き、条件の事前公布及び審査期間の法律への明記等。 |
2) |
外国の投資企業が自由に中国側パートナーを選べるようにする。これまでは、中国側パートナーの条件が法律で定められており非常に対象企業が少ない等の問題があった。 |
3) |
幅広いサービス分野についての開放。 |
5.2 貿易権・内販権
物を輸出入する権利、貿易権については外資企業についても下記のとおり2004年までに段階的に拡大することが約束されている。
輸入した物の中国国内での販売、いわゆる内販についても加盟3年後の2004年には制限が撤廃されることになっている。
造船・舶用工業では、舶用製品・艤装品の輸出入等の商社機能及びパーツ輸入を伴うアフターサービスが関係する。2002年末現在、造船・舶用工業関係を含め輸出入を伴う商社業務を行う会社や部品の輸入を伴うアフターサービスの会社を独資で設立することは中国では認められていない。
例外的に上海の外高橋のような保税区に設立された企業については、独資企業であっても貿易権を与えられ輸入販売も実務上認められているため外高橋に本社を登記している会社も多いがそのような制約も今後は撤廃されていくことになる。
(貿易権の開放スケジュール)
・ |
2002年(加盟1年後)中国企業がマジョリテイを有する合弁企業には貿易権を認める注) |
・ |
2003年(加盟2年後)中国資本の入っている合弁企業には貿易権を認める |
・ |
2004年(加盟3年後)独資企業にも貿易権を認める |
注) |
2003年1月31日、「中外合弁対外貿易公司設立に関する暫定弁法」が「対外貿易経済合作部令」として公布されている。 |
5.3 その他のサービス
サービスには、この他次のようなものがある。WTO加盟に伴いこれらのサービスの自由化が図られることは、中国の海運・造船・舶用業界にとって大きなプラスとなろう。
(1)法律サービス(2002年)
現在北京、上海、天津など19都市に限定されている地域制限等がなくなる
(2)保険サービス(2003年)
外国企業にも、海上保険等のサービスが許される
(3)金融サービス(2006年)
地域・顧客の制限が段階的に緩和される
(4)その他
船舶管理、検定、アフターサービス、リースなどのサービスに対する規制が緩和される。
6 関税
中国は、WTO加盟に伴い7151品目の関税率引き下げを約束しており、2001年(加盟時)の平均関税13.6%は、2010年までに9.8%に引き下げられる。すでに2002年1月から中国の平均関税は12%に引き下げられた。鉱工業製品については、12.7%から8.9%に段階的に引き下げられる予定である。
6.1 課税対象価格
中国は、関税対象品目の価格の評価についてWTO規則と合致するように制度を整備した。これが2001年1月1日に施行された「中華人民共和国税関輸出入貨物課税対象価格査定弁法」である。
これまで中国は、輸出国の国内市場価格や第三国への輸出価格等をもとに中国独自に価格を設定し、そのため関税が高くなるということがあった。
しかし、前述の査定弁法ではWTO関税評価規定で定めている評価方法を定め「実際の取引価格」を課税対象の評価価格としている他、11条で輸出国の国内市場価格や第三国への輸出価格、最低価格などを関税の評価基準としないと明記している。
6.2 税率
現在、各種船舶の関税率は6〜9%、舶用製品は15%であるが、2004年1月1日までに舶用製品の関税は大幅に引き下げられる予定である。
各種船舶については一部引き下げられるものもあるが基本的には変わらない。
これに対し舶用製品は「船舶用操舵機とジャイロスコープ」の関税が2002年に0%に引き下げられる他、船舶製造に必要な鋼材、化学製品、加工設備等の輸入関税も大幅な引き下げを予定されている。
表3 船舶の関税引き下げ(例)
商品 |
加盟時の税率 |
最終約束税率 |
実施時期 |
高速旅客船その他の客船、フェリー |
5 |
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|
10万重量トン以下のプロダクトタンカー |
9 |
|
|
10万重量トンを超えるプロダクトタンカー |
9 |
|
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15万重量トン以下の原油タンカー |
9 |
|
|
15万重量トンを超える原油タンカー |
9 |
|
|
容積2万立方メートル以下の液化石油ガス運搬船 |
9 |
|
|
容積2万立方メートルを超える液化石油ガス運搬船 |
9 |
|
|
容積2万立方メートル以下の液化天然ガス運搬船 |
9 |
|
|
容積2万立方メートルを超える液化天然ガス運搬船 |
9 |
|
|
その他の液体貨物運搬船 |
9 |
|
|
冷蔵船(但し、タンカー・ガス船を除く) |
9 |
|
|
コンテナ船 |
9 |
|
|
2万重量トン以下のRo/Ro船 |
9 |
|
|
2万重量トンを超えるRo/Ro船 |
9 |
|
|
15万重量トン以下のばら積船 |
9 |
|
|
15万重量トン超、30万重量トン以下のばら積船 |
9 |
|
|
30万重量トンを超えるばら積船 |
9 |
|
|
多目的船 |
9 |
|
|
その他の貨物船と貨客船 |
9 |
|
|
漁船、加工船、その他の船舶 |
7 |
|
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レジャー・スポーツ用舟艇 |
8-12 |
10-10.5 |
2002 |
タグボート、押船 |
9 |
|
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浚渫船 |
3 |
|
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浮体式或は半潜水式石油プラットフォーム |
6 |
|
|
浮ドック |
8 |
|
|
軍艦、救命ボートなどの機関付船舶 |
5 |
|
|
空気いかだなどのその他の船舶 |
8 |
|
|
解撤用船舶その他の浮体構造物 |
3 |
|
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(議定書附録8により)
表4 鉄鋼製品の関税引き下げ(例)
商品 |
加盟時の税率 |
最終の約束税率 |
実施時期 |
H型鋼・山形鋼 |
6% |
3% |
|
鋼管 |
6% |
4% |
|
ケーブル |
10% |
6% |
|
|
表5 舶用製品の関税引き下げ(例)
商品 |
加盟時の税率 |
最終約束税率 |
実施時期 |
発電機 |
11.7% |
10% |
|
舶用クレーン |
10% |
6% |
|
舶用ガス・タービン |
10.4% |
5% |
2004年 |
船外機 |
11.5% |
8% |
2003年 |
その他の舶用エンジン |
11.5% |
8% |
2003年 |
舶用ピストン・ディーゼル・エンジン |
5% |
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舶用操舵機及びジャイロスコープ |
2.7% |
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2002年 |
舶用操舵機及びジャイロスコープの部品 |
2% |
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2002年 |
舶用シャフト |
6% |
|
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舶用プロペラ及び部品 |
6% |
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