第7章「宿泊設備」には、バリアフリー仕様の客室の必要数、バリアフリー客室の通信機能およびその他の特徴が記載されている。
1) |
一般的に、バリアフリー仕様の客室の必要数は次のとおりである。 |
全体の客室数 |
トランスファーシャワー、ロールインシャワー、またはバスタブを備えたバリアフリー仕様の客室の最小必要数 |
ロールインシャワーを備えたバリアフリー仕様の客室の最小必要数 |
バリアフリー仕様の客室の合計必要数 |
1〜25 |
1 |
0 |
1 |
26〜50 |
2 |
0 |
2 |
51〜75 |
3 |
1 |
4 |
76〜100 |
4 |
1 |
5 |
101〜150 |
5 |
2 |
7 |
151〜200 |
6 |
2 |
8 |
201〜300 |
7 |
3 |
10 |
301〜400 |
8 |
4 |
12 |
401〜500 |
9 |
4 |
13 |
501〜1000 |
全体の2% |
全体の1% |
全体の3% |
1001以上 |
20+A(Aは1000室を超える客室数100室当たり1) |
10+A(Aは1000室を超える客室数100室当たり1) |
30+A(Aは1000室を超える客室数100室当たり2) |
|
2) |
このような客室は、リビング、ダイニング、寝室、エクステリア(中庭、テラス、バルコニーなど)、洗面所など、すべての個所をバリアフリーにする必要がある。 |
3) |
第7章には、バリアフリー応接室の仕様も記載されている。バリアフリー応接室とは、移動が不自由なためバリアフリー仕様になっていない客室には入れない乗客、または移動が不自由な乗客をバリアフリーでない自分の客室に招待できない乗客専用の接待室である。旅客船事業者は、このようなバリアフリー応接室を提供することによって、すべての客室がバリアフリー仕様であれば得られるはずの自然な社交を、移動が不自由な乗客も経験できるようにする必要がある。バリアフリー応接室の仕様は次のとおりである。 |
・入口ドアの有効開口幅は32インチ(815mm)
・バスルームのドアの有効開口幅は32インチ(815mm)
・応接室とバスルームの両方に車椅子を回転できる空間を設ける。
・洗面所とトイレもバリアフリー仕様にする。
・スイッチ類や操作具もバリアフリー仕様にする。
・客船の公用ラウンジと同じ備品を取り付ける。
・そのデッキの普通の客室と同様の設備を取り付ける。
第8章「駐車場」の内容は、100 GT6以下で乗客定員151人以上または宿泊乗客定員50人以上の小型旅客船(46 CFR Subchapter Kの規制対象)および総トン数が100GTを超え、乗客定員13人以上の旅客船(46 CFR Subchapter Hの規制対象)に適用される。
1) |
バリアフリー仕様の駐車スペースの数は次の表のとおりとする。 |
旅客船上の公用駐車場に収容できる車の合計台数 |
バリアフリー駐車スペースの最小必要数 |
1〜25 |
1 |
26〜50 |
2 |
51〜75 |
3 |
76〜100 |
4 |
101〜150 |
5 |
151〜200 |
6 |
201〜300 |
7 |
301〜400 |
8 |
401〜500 |
9 |
501〜1000 |
全体の2% |
1001以上 |
20+A(Aは1000台を超える台数100台当たり1) |
|
2) |
普通車のバリアフリー駐車スペースは、幅156インチ(3965mm)以上、長さ240インチ(6100mm)以上とする。バンの駐車スペースは、幅192インチ(4880mm)以上、長さ240インチ(6100mm)以上とする。大型バス、トランジットバス、小型バスの駐車スペースには、幅96インチ(2440mm)以上長さ72インチ(1829mm)以上のバリアフリー対応の荷積みスペースが隣接していなければならない。(アクセス委員会の車輌ガイドラインと同じ) |
3) |
陸上の駐車場とは異なり、フェリーのバリアフリー駐車スペースは車輌スペースとバリアフリー通路の両方で構成された長方形である。原則として、バリアフリー駐車スペースを必要とする車をどこに置いたらよいか乗員に分かるように標識を設ける。156インチ幅の駐車スペースは、車輌スペースが96インチ、通路が60インチに相当するので、陸上の駐車場のサイズと一致する。同様に、192インチのバン用駐車スペースは車輌用スペースが96インチ、通路が96インチである。さらに、駐車方向が制限されないようにして、フェリーの反対側からも車を駐車できるようにしなければならない。 |
第9章「構成部分」には、デッキの表面、段差、車椅子回転スペース、デッキスペース、膝やつま先の入る隙間、突起物、到達範囲、スイッチ類および操作具について記載されている。
PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』の第9章の仕様は、ADAAG-Review報告書の第3章に記載されている仕様と基本的に同じである。
1) |
デッキ表面はしっかりと安定していて滑り止めが施されていなければならない。カーペットは、クッションが固く、パイルの高さが1/2インチ(13mm)以下のものを使用し、しっかり固定しなければならない。 |
2) |
許容可能な段差は、最大1/4インチ(64mm)とする(斜面および傾斜路についての詳細は、第9章を参照のこと)。 |
3) |
車椅子回転スペースは、円形の場合には足の入る隙間を含めて直径60インチ(1525mm)以上と定義されている。T字型の車椅子回転スペースは、60インチ(1525mm)四方の正方形に幅36インチ(915mm)以上のアームとべースが付いたT字型とする。T字型の両側のアーム部分から各方向12インチ(305mm)以内に障害物がなく、またべース部分から24インチ(610mm)以内に障害物がないようにする。 |
4) |
デッキスペースはスロープ(勾配1:48以下)とサイズ(最小30インチ[760mm]×48インチ[1220mm])などで定義される。 |
5) |
デッキ表面から上へ9インチ(230mm)以内の位置に物体の下端がある場合、その物体の下の空間は「つま先の入る隙間」とみなされる。つま先の入る隙間は、さらに奥行(17インチ[430mm]以上25インチ[635mm]以下)と幅(30インチ[760mm]以上)が定められている。デッキ表面から上へ9インチ(230mm)から27インチ(685mm)の間に物体の下端がある場合、その物体の下の空間は「膝の入る隙間」とみなされる。膝の入る隙間にも、深さと幅が定められている。 |
6) |
突起物、到達範囲、スイッチ類および操作具についての詳細は、PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』の第9章を参照のこと。 |
6 |
「総トン数」は重量ではなく、容積値である。実際、総トン数は、100立方フィートを1総トンとして計算した船舶内の空間、つまり内部容積を表す。 |
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