8−1−3 SV及び温度依存性評価試験
初期活性評価より得られた高活性な触媒を用いてCO2改質及びH2O改質についてSV及び温度依存性評価を実施した。
(1)供試触媒
・CO2−改質触媒
A−8触媒:10wt%Ni−3wt%Ru−3wt%MgO−10wt%CeO2−Al2O3
A−3触媒:10wt%Ni−3wt%Ru−10wt%CeO2−Al2O3
・H2O 改質触媒
A−7 触媒:5wt%Ru−3wt%MgO−10wt%CeO2−Al2O3
A−2 触媒:3wt%Ru−10wt%CeO2−Al2O3
(2)SV、温度変化試験結果及び考察
SV、温度変化試験結果を図8−10〜 8−14及び表8−4に示す。
図8−10 CO2改質触媒のSV及び温度依存性(圧力:1.2kg/cm2−G)
図8−11 CO2改質触媒のSV及び温度依存性(圧力:0.2kg/cm2−G)
図8−12 H2O改質触媒のSV及び温度依存性(圧力:1.2kg/cm2−G、H2O:CH4=85:15) |
図8−13 H2O改質触媒のSV及び温度依存性(圧力:0.2kg/cm2−G、H2O:CH4=76:24) |
表8−4 SV及び温度変化試験サンプル重量変化
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試験時間(h) |
サンプル重量(g) |
炭素析出量(g) |
試験前 |
試験後 |
上 |
下 |
上 |
下 |
CO2改質 |
4.6 |
1.7261 |
1.6905 |
1.8284 |
1.7235 |
0.1353 |
H2O改質 |
5.7 |
2.0218 |
1.6575 |
2.0173 |
1.6569 |
−0.0051 |
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CO2及びH2O改質の目標改質率は、CO2改質率:50%(700℃)、H2O改質率:65%(500℃)であり連続改質器としてCO2+H2O改質率が80%である。圧力は1.2kg/cm2Gに比べて0.2kg/cm2Gにすることで、CH4転化率は向上し、さらに触媒組成の適正化を図ったCO2改質触媒(A−8)及びH2O改質触媒(A−7)が高い性能を示した。CO2改質についてはA−8触媒を用いてSV=5000h−1程度で十分目標値を達成できる。total(CO2+H2O)改質率:80%という研究目標に対しては、SV<5000h−1に設定すれば開発したCO2改質触媒(A−8)及びH2O改質触媒(A−7)を組み合わせてtotal(CO2+H2O)改質率:80%を達成できると考えられる。なおこの結果は、理想的なH2O改質条件下での結果であり、連続改質器、つまりCO2改質の出口ガス組成(CH4、CO2、H2O,H2、CO)でH2O改質を行う試験を実施し、検証する必要がある。
表8−4より、H 2O改質ではサンプル重量に変化は見られず炭素は析出していないと考えられる(重量が減少しているのは、サンプル取り出し時に触媒成分が落下したためである)。しかし、CO 2改質ではサンプル重量増加しており、著しく炭素析出が見られた。この炭素析出はNi金属に起因していると考えられる 17)。従って、CO 2改質触媒においては炭素析出を抑制するためにNi担持量を低減させる検討を行う必要性がある。
※改質率は以下のように定義した。
CO2=CH4 転化率=(1−CH4out/CH4in)×100
H2O改質率=CH4転化率=(1−CH4out/CH4in)×100
又は
=(CO2+CO)out/(CH4+CO2+CO)out×100
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