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8−1−2 初期活性評価試験(触媒スクリーニング)
 試作したテストピース触媒を用いて触媒スクリーニングのための初期活性評価を実施した。
なおスクリーニングはCO2改質及びH2O改質のそれぞれについて行った。
・CO2 改質反応
 CH4+CO2⇔2H2+2CO(△H973K=260KJ/mol)
・H2O 改質反応
 CH4+H2O⇔3H2+CO(△H973K=225KJ/mol)
 
(1)試作改質触媒組成
 高活性かつ炭素析出を抑制した以下の触媒組成において組成割合を変化させたメタル多孔体型改質触媒を試作した(表8−3)。
 
表8−3 試作触媒組成一覧
No. Ni(wt%) Ru(wt%) Pt(wt%) CeO2(wt%) MgO(wt%)
A−1 10 10
A−2 3
A−3 10
A−4 10 2 1
A−5 10 3
A−6 3
A−7 5
A−8 10 3
A−9 10 5
A−10 1 3
・メタル多孔体:80%Ni−20%Cr、孔径0.8mm、比表面積2500m2/m3、φ20×10mm(約1.7g)
・(Al203)/(メタル多孔体)=10/90(重量比)
・触媒活性金属担持量:Al203重量に対する各wt%
 
[触媒前処理条件]
・安定化処理:100%N2、800℃、1時間
安定化処理については、予め触媒を試験温度より高温に保持し、試験温度での安定性を保つために行った。
・水素還元処理:100%H2、450℃、3時間
 
(2)試験装置
 図8−5に試験装置フロー、図8−6に試験装置外観写真を示す。また、図8−7に反応器イメージ図を示す。熱伝対の位置は、触媒層直上及び直下として、上下熱伝対により電気炉を制御し触媒層を均一の温度に保った。
 
(拡大画面:19KB)
図8−5 改質触媒評価試験装置フロー図
 
図8−6 改質触媒評価試験装置外観写真
 
図8−7 反応器イメージ図
 
(3)試験方法
 出口ガス(CH4、CO2、H2、CO)をガスクロマトグラフィーにて分析した。
 
(4)試験結果及び考察
 各種改質触媒サンプルを用いたCO2改質及びH2O改質初期活性試験結果を図8−8、8−9に示す。
 
図8−8 CO2改質条件での初期活性試験結果
注)
CH4転化率=(1−CH4out/CH4in)×100
 
図8−9 H2O2改質条件での初期活性試験結果
注)
CH4転化率=(CO2+CO)out/(CH4+CO2+CO)out×100
 
 先ずA−1〜A−5触媒を試作しスクリーニングした結果、CO2改質条件ではNiと貴金属の複合化により活性が向上し、A−3及びA−5が高いCH4転化率を示した。ただしA−4とA−5を比較するとMgOを添加することによりCH4転化率、H2及びCO生成量が向上していることより、A−3触媒にMgOを添加することで更に活性が向上するものと考えられる。H2O改質条件では、Niと貴金属の複合化の効果はCO2改質ほど顕著ではなかった。貴金属元素の異なるA−2〜A−5については、CH4転化率、H2及びCO生成量はほとんど変わらず活性に大きな差は見られなかったが、A−4 とA−5を比較するとCO2改質と同様にMgOを添加することにより活性が向上すると考えられる。従ってもっとも組成系が単純であるA−2触媒にMgOを添加することで更に活性が向上するものと考えられる。
 上記結果を踏まえ、MgO添加及び貴金属量増大による活性向上を狙いA−6〜A−9触媒を試作し、スクリーニングした。CO2改質条件では、貴金属量の効果はほとんど無く、A−3にMgOを添加したA−8触媒が最も高い活性を示した。一方、H2O改質条件では、A−2触媒にMgOを添加及びRu貴金属量(3→5wt%)を増大させることにより更なる活性向上が図れた。上記スクリーニング結果より、それぞれの改質に対して最も高活性である触媒は以下の通りである。
 
CO2改質触媒: A−8触媒(10wt%Ni−3wt%Ru−3wt%MgO−10wt%CeO2−AI2O3
H2O改質触媒: A−7触媒(5wt%Ru−3wt%MgO−10wt%CeO2−AI2O3
 
 MgO添加により転化率が向上した理由については以下のように考えられる。
MgOは塩基性酸化物であり、H2Oや酸性ガスであるCO2を吸着する傾向がある。従って、MgO添加によりH2OやCO2の吸着が促進され、触媒表面上はCH4との反応ガスであるH2OやCO2濃度が高くなる。その結果、触媒活性金属であるNiやRuに吸着されるCH4との反応が促進され、CH4改質の反応速度が速くなり、転化率が向上したと考えられる。







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