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8. 改質装置の試作実験
8−1.改質反応温度依存性評価
8−1−1 改質触媒試作検討
1. 改質触媒組成選定
 CH4のCO2 改質に関して、既に実施された財団法人シップ・アンド・オーシャン財団における調査を除く平成11年以降について、最新の改質触媒の組成動向及び試験結果について調査した。
 
(1)調査方法
 平成11年1月〜平成14年4月において以下に示すJICST調査を行った(表8−1)。
 
表8−1 検索式及び件数
  検索式 件数
(1) 天然ガス 6411
(2) メタン 11572
(3) 触媒 61105
(4) 改質 12986
(5) CO2+二酸化炭素+炭酸ガス 26285
(6) ((1)+(2))*(3)*(4) 614
(7) ((1)+(2))*(3)*(4)*(5) 328
検索式(7)の328件の文献中からさらに抄録を参照し、関連のある42件を抽出し、整理した。
 
(2)調査結果
 平成11年度の研究成果及び文献調査結果を踏まえ、CO2改質触媒については高活性な成分として活性金属には貴金属系のPt、Ru1,2)及びNi、触媒担体にはAl2O33〜8)を選定した。また、炭素析出抑制には、CeO2又はMgO9)を添加することが有効であることからこれら2種を選定した。一方H2O改質触媒については多くの文献等で報告されている代表的な活性金属であるNi、Ruを選定し、以下に示す触媒系において組成を変化させ試作することとした。
〔改質触媒組成〕
CO2 改質触媒: Ni−Ru−Pt−CeO2−MgO/Al2O3
(5〜10) (0〜3) (0〜3) (5〜10) (0〜3wt%)
H2O改質触媒: Ni−Ru−CeO2−MgO/Al2O3
(0〜10) (0〜3) (5〜10) (0〜3wt%)
 
2. 改質触媒試作
 本研究における改質触媒は、基材には伝熱性の良さからメタル多孔体を使用し、そのメタル多孔体にアルミナを担持し、更に貴金属及びNi を順次担持した。触媒試作にあたってはメタル多孔体に均一に分散性よく触媒担体であるアルミナを担持することが重要であるため、適正なアルミナ担持条件を把握した後、触媒活性金属を担持する試作検討を行った。
 
(1)メタルへのアルミナ担持方法の検討
A. メタルへのアルミナ担持については、メタルとアルミナの表面状態や熱膨張係数の違いにより、アルミナが剥離又は脱落する可能性があるため、密着性よく所定量のアルミナが担持できる担持法を見出した後、触媒を試作していく必要がある。メタルへのアルミナ担持方法としては、浸漬法、蒸着法、溶射法等が挙げられるが、蒸着法や溶射法等では、密着性という観点では非常に有用であるものの、メタル多孔体内部の骨格に対して均一に製膜すること及び膜厚を制御することが困難であるため浸漬法が適切な担持法と考えられる。従って本検討では、メタル多孔体に密着性よく所定量のアルミナが担持できる最適なアルミナ担持法を見出すことを目的に、浸漬法において出発原料、溶液濃度、添加剤を変化させ、これらパラメータがアルミナ担持量及び担持状況に与える影響について把握した。メタル多孔体を脱脂後、調製したアルミナ原料溶液を用いて浸漬によるアルミナ担持を行った。
 
[基本条件]
メタル多孔体:Ni−Cr、2g、 孔径1.9mm、比表面積1000m2/m3
  孔径1.3mm、比表面積1700m2/m3
  孔径0.8mm、比表面積2500m2/m3
担持量:約3wt%
乾燥条件:室温(室温〜200℃)、12h
焼成条件:600℃(500〜650℃)、2h(1〜3h)
 
B. メタル多孔体の骨格表面にアルミナを均一に分散性よく浸漬担持するための出発原料としては、溶液ベース、ゾル、スラリーに大別することができるため、それぞれに適正な出発原料を文献調査10〜16)より選定し、各種アルミナ原料溶液を調製した。また親和性向上効果や増粘効果を期待し、以下のような添加物を選定し溶液を調製した。
[出発原料]
(a)アルミナゾル・・・(ゾル)
(b)硝酸アルミニウム・・・(溶液)
(c)アルミニウムイソプロポキシド・・・(溶液)
(d)γ−アルミナ・・・(スラリー)
[添加剤]
・プロピレングリコール
・ポリビニルアルコール
・メチルセルロース
 上記出発原料を用いたアルミナ担持状況を光学顕微鏡及び電子顕微鏡(SEM)で観察した。
 
C. 各種アルミナ原料を用いて担持試験を行った結果を次の表8−2 にまとめる。
 
表8−2 アルミナ担持結果
A1203出発原料 溶媒 担持状況
アルミナゾル
(部分的に凝集、剥離)
硝酸アルミニウム
(担持量小)
A1イソプロポキシド 水 
シクロヘキサン

(部分的に凝集、剥離)
γ−AI203(粉末)
(良好)
 
D. 目視及び顕微鏡による担持状況結果を以下にまとめる。
(a)アルミナゾルを用いた場合、粘性を調整して所定の担持量を得ることが出来るが、焼成後のアルミナは分散性が悪く一部凝集してメタル骨格に担持されているため脱落し易い。またメタル骨格に薄く担持されている部分には多数のクラックが生じており、非常にもろく剥離しやすい。
(b)アルミニウムイソプロポキシドの場合、ゾルゲル法により担持量を確保することができる。しかし焼成後にアルミナの分散性が悪く凝集し、容易に脱落してしまう。溶媒にシクロヘキサンを用いた溶液の場合には、比較的分散性よくアルミナを担持することが出来るが、焼成後のアルミナには多数のクラックが生じておりメタルとの密着性は弱い。
(c)硝酸アルミニウムの場合は、浸漬直後、溶液として所定量のアルミニウムを保持することが困難なため、担持量はわずかである。溶液濃度、粘性を変化させたが、焼成後のアルミナは分散性が悪く、局所的に凝集してメタル骨格に担持されているため脱落し易い。
(d)アルミナ粉末を出発原料としたスラリーは添加剤を加えることでクラックが無く良好な担持結果を得た。
 
 図8−1に良好な担持状況であるγアルミナ粉末を出発原料としたアルミナスラリーを用いたアルミナ担持メタル多孔体のSEM写真を示す。表面写真よりアルミナがメタル多孔体骨格表面に凝集せず分散して担持されており、また骨格断面写真よりメタル多孔体骨格表面に約5μmの厚さでアルミナが担持されていることが分かる。以上の結果より、各種アルミナ担持法の中では、γ−アルミナ粉末を出発原料とし添加剤を加えたスラリーを用いることで、メタル表面に所定量のアルミナを担持することができ、最適であった。
 
図8−1 アルミナ担持メタル多孔体の断面SEM写真







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